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Article "Understanding AlN sintering through computational thermodynamics combined with experimental investigation"について

文献を読んで、覚えておきたいことをメモしておくためのnote。

Understanding AlN sintering through computational thermodynamics combined with experimental investigation
J Mater Process Technol 161 [3] (2005) 415–422
[PDF]

メモ

  • 窒化アルミニウム(AlN)の単結晶の熱伝導率(320 W/mK)はAl2O3の16倍。熱膨張係数は4.4×10^-6/℃はAl2O3やBeOより低いだけでなくSi(3.2×0^-6/℃)に近い。

  • AlNは共有結合のため拡散性が低く、高温で焼結する必要がある(1600-2000℃)。

  • 助剤がなくても表面のAl2O3による緻密化効果によって高密度が得られる。

  • イットリア(Y2O3)は最適な助剤であり、液相焼結により緻密化し、表面の酸素、Al2O3、がY2O3と反応してY-Al-O-N融液をつくり、粒子の再配列と緻密化を促進。

  • 二元相図の熱力学データを考慮に入れて、AlN-Al2O3-Y2O3の等温相図を計算した。

  • 2000℃:主要な結晶化は起こっており、溶融の領域、AlN、Al2O3、Y2O3の異種類の主要な結晶からなる領域、AlNの多形が液相とともに平衡状態で存在。

  • 1900℃:ほとんどの二元共晶点が現れている。7個の二元共晶の領域(L+二種類の結晶相)がある。新たにYAM、YAPおよびYAGの凝固が起きている。

  • 1800℃:溶融の領域は小さくなるが、融液はまだ平衡状態になっている。Al2O3とYAGの共晶点が出会う(L+YAG+Al2O3の領域)。AlN、YAG、SpinelおよびAl2O3の主要な凝固の領域が、融液と共に平衡状態で残っている。

  • 1700℃:凝固の後段階で、融液は残っていない。5個の三種結晶相の領域と1個の二種結晶相の領域がある。

  • 焼結助剤として必要なY2O3の添加量はAlN粉末に存在する酸素量による。

  • 密度はアルキメデス法(ASTM Standard C373-72)で測定。

  • 理論密度は比重瓶で測定。

  • 熱伝導率は、比熱容量0.74 J/kg K、実測した密度、熱拡散率から得た。

Results and discussionより

  • >1850℃、1hの焼結で全ての組成物は完全に緻密化した。

  • 集合相図(phase assemblage diagrams)から、全ての組成物は液相を生じていたと推定。

  • 組成Ⅰは1800℃で、他の組成よりも密度が高くなったが、これは集合相図で説明できる。この組成は1782℃で液相生成が始まる。

  • 1900℃、1h以内に、全ての組成物が焼結が完了する。これは、この温度では全ての組成物で、予備的に融液が存在するため。

  • 1900℃、1hの焼結でY2O3無しでも99%の密度になる。これは表面のアルミナとAlNの反応により、aluminum oxynitride (Al-O-N)の融液が生成するため。

  • Y2O3の添加によって、4元の融液(Y-Al-O-N)が生成し、より豊富な融液が生成。

  • Y2O3を含む組成では、第二相(白)は粒子の連接点のみに現れ、粒子の縁に沿っていない。

  • 組成Ⅰ:AlN、YAGおよびAl2O3で構成される。XRDでは、Al2O3は少なすぎて検出限界を下回るため、AlNとYAGのみ。Al2O3はAlN粒子に薄い表層をつくり、この表層とSpinelのために、熱伝導率はとても低い。残留Al2O3と完全に反応してAlNを高純度化し、また結晶格子と表面から完全に酸素を除去するには、Y2O3が不十分。

  • 組成Ⅱ:AlN、YAGおよびYAPで構成される。YAPよりYAGのほうが多い。XRDの結果も同様に、YAGのピークはYAPより強い。

  • 組成Ⅲ:組成Ⅱに似た構成(AlN、YAGおよびYAP)で、各相の相対量が異なる。

  • 組成Ⅳ:AlN、YAMおよびYAPで構成される。YAPよりYAMのほうが多い。XRDの結果も同様に、YAMのピークはYAPより強い。

  • Aluminate相の熱伝導率は低い(<10 W/m K)ため、体積率が増えると、全体の熱伝導率は低下すると推定。

  • Y2O3無しで焼結したAlNの熱伝導率は、Y2O3を添加して焼結したものに比べ、著しく低い(65 W/m K)。

  • 助剤は熱伝導率に対し、2つの影響がある。
    (a)粒子表面から酸素を除去する。
    (b)微構造が変化する:Aluminateが粒界を脱濡れし、粒子の隣接点に分離して、AlN-AlN粒界接触となる。

  • 組成Ⅱ、ⅢおよびⅣの熱伝導率が組成Ⅰに比べ高いのは、酸素層が第二相のYAG、YAPおよびYAMの生成に消費されたため。

  • YAPは、YAGまたはYAMに比べ、ALN表面をより濡らすため、AlN-AlN表面接触を防ぐ。

  • 組成Ⅱ、ⅢおよびⅣはそれぞれYAPを含み、YAPの含有量が多いほど、熱伝導率が低下する。

Condlusionsより

  • AlN-Al2O3-Y2O3の熱力学モデルはAlNの焼結挙動を理解し、実験結果を説明するための重要な根拠となる。

  • 密度が高いサンプルほど融液生成温度が低い。

  • 熱伝導率は第二相の化学特性と関係がある。

  • 残留Al2O3および/またはSpinelがあると熱伝導率が低い。

  • YAPはAlN粒子表面を濡らし、AlN-AlN粒界形成を妨げるため、YAP相の量が増えると熱伝導率が低下する。

  • Y2O3を添加しなければ、Al-O-N相がAlN粒子を完全に覆い、連続相を保ち、この低熱伝導性の粒界相によって、全体の熱伝導率が低下する。

所感(得られた知見を活用できるか、どう活用するか)

得られた知見を活用することができる。(個人の意見です)

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