父の思い出の曲のCDをメルカリで買う

父から急に「メルカリって使ったことある？」と聞かれた。
どうしたのかと聞き返したら、どうしても欲しいCDがあるので検索したが、どこにも売っていない。
検索を辿って行ったら、メルカリというところにあったと。

今でこそ丸井の一階でポップアップストアを開いたり、様々なところでリアルのキャンペーンを見かけるメルカリだが、5年くらい前の話なので、今ほどメルカリの知名度は高くなかった。
そのため、父もメルカリというのがどんなものか心配だったらしい。

オタクの私はグッズを買うためにメルカリに登録したことがあって、取引経験もあったので、久しぶりにメルカリをのぞいて、父の言っていたCDを検索することにした。

「なんかこう、ネットに無いの？」

推しに会うまで音楽に疎かった私は、音楽配信サービスとかの名前が出ず、父に雑な質問をした。
しかし、父「現物のCDが欲しい」とのこと。
今ならわかる。現物欲しいよね。私も推しのCDは現物で欲しいもの。

私がメルカリ内で検索して「これ？」と見せると「それそれ！」と父がうれしそうに笑った。
古いCDだ。父が言うには、どこの店舗にもなく、大手のショッピングサイトにもなかったそう。

「このCDの中のこの曲が聴きたいんだ」と父がCDの曲名リストを指さす。
推しに出会って音楽を聴くようになった今だからわかる。
あるよね、このCDにだけ入ってるこの曲が聴きたいとか、この楽譜集のこの曲の楽譜だけ見たいとか。

CDの年を見ると、20年前くらいでそんな大昔ではない。
でも、今は商品の回転が速くて、かつ、場所を取るから在庫を取っておかないらしい。
昭和の名曲みたいな音楽集に入らないもので、かつ、古い曲のCDを探そうとするとなかなか難しく、遺品や断捨離で出品されたものでしかないそうだ。なんなら販売したメーカー自体にもないとか。

大掃除やお引越しの時「こんな古い物、誰もいらないでしょう」と思うかもしれない。
しかし、それは、ただの古い物でなく、誰かとって探し回っているものかもしれない。

一度、次に必要とする人のためにメルカリに出すのも考えてみて欲しい。
父の思い出の曲の入ったＣＤを買ったものとして、音楽をする人を推してる人として、そうお願いして、筆を置くこととする。

#メルカリで見つけたもの