声優に興味がないというかむしろ距離を置いていた僕がデレマスを通して声優が好きになった話

僕のアニオタ遍歴は年齢にしては浅いもので、大学デビューと言っても過言ではないほどだ。
そもそも中学生まではお小遣いもなく漫画を買うことも買ってもらうこともほぼなかったので、なぜかお小遣いをもらっていた兄のコロコロコミックやガンガン、りぼんやマーガレットをこっそり盗み読みしていたくらいだ。
(今考えれば兄だけお小遣いをもらっていたことより、兄が少女向け漫画雑誌を買っていたことの方が不思議だ)
あと、母親が昔の少女漫画をたくさん持っていたので、ベルばらや大島弓子、萩尾望都なんかはなんとなく通ってきてはいる。

大学はいわゆる芸術系の専攻だったのもあり、周囲にはハルヒなどのラノベ系、ガンダムなどのロボット系アニメを嗜好する知り合いが増えた。
京都にいたのと、ちょうど『けいおん!』がやっていたのが僕のアニオタ人生の始まりだ。
学術書や昭和初期以前の文庫小説ばかりだった本棚にも漫画が増えた。

それでも観るアニメは少なく、友人たちのように声優に詳しくもなく、「奈々様」という呼び名くらいしか知らなかった。
山ちゃんとか大山のぶ代とか、国民的声優だけが僕の知識の限界だと思っていた。

声優ではないけれど、大学時代に友人達と大ブレイクする前のももクロにはまった時期がある。
夜な夜な上映会をし、あかりん卒業を嘆き、カラオケでは振り付けまでこなす入れ込み具合だったが、不思議とライブに行きたいとは思わなかった。
いわゆる「オタ芸」がネックだったのだろう。
大勢で同じ動きをしてかけ声を合わせて、という行為が、せっかく目の前で好きな人たちが好きな曲を歌って踊っているのに、もったいなく思えてしまったのだ。

ネットで目にする声優のライブレポでも、アイドルのライブと同じ様子がうかがえた。
声優を好きな人たちは僕の苦手な「オタ芸」をする人たちで、声優のライブの客席は「そういう場」なのだろう。
そもそも、顔と名前が一致した声優がいてもキャラが変わると聞き分けられない自分に、キャラクターが出てこないライブは例え『けいおん!』でもノれないに決まっている。
僕が好きなのは声優ではなく、キャラクターなのだ。

そんなあるとき、とある将棋アニメを観ていた僕は気づいた。
「あれ?この子の声、すごく聞き覚えがある」
前の年にアニメ『アイドルマスターシンデレラガールズ』で諸星きらりを追っていた僕は、346プロが不穏な動きをし始めた頃に、見た目にそぐわぬ言葉遣いで常務をdisった少女の声に惹かれていた。
知り合いから薦められて「デレステ」をやりこんでいた時期だった。

市原仁奈という、9歳の女の子が好きというと一般的に周りからは距離を置かれるのは承知の上だが、『3月のライオン』のモモちゃんの声に気づいたとき、僕の頭には他のアニメキャラクターも浮かんできた。
――カードバトルアニメのあの白いキャラクター。
――アクションバトルアニメのあのうるさい豚。
このとき僕は初めて、「久野美咲」という名前を検索した。
その後、『魔法使いの嫁』で水の妖精の声を聞いて確信した。
この声、この声優が好きだ。

決して深追いはできていない。
事前情報を得て観たのは『ひそねとまそたん』くらいだし、デレマスライブも出るか分からない久野さん目的だけではやはり足が動かなかった。
そしてまだ「オタ芸」への偏見と引け目は根強かった。

やはり キャラクター>声優 という図式は変わらないままだったが、それでも僕の中で「その声を求める」という初めての体験は大きかった。
この体験を皮切りに、CDを求め、とうとうライブまで参戦することになるのだが、それはまた別のエントリで。

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