今年読んだBL小説のどん底設定受け選手権

先日、1年の締めに最低の攻め選手権をやってしまったのでどん底の受け選手権もやりたいと思いました。
BL小説を毎日読んでると、不幸な受け多いな〜どいつもこいつも親が亡くなってるな〜とよく思います。不幸で不憫な受けはこの世に星の数ほどいるけれども、その中でもひときわ輝く受けの星を見つけたい。しかし幸福の形が人それぞれなように不幸を測る物差しは存在しないわけで。ならば「社会的」にどん底の受け選手権するかぁ!と思って集めてみたら、中卒の受けコレクションみたいになっちゃった…てへ。オメガバースは差別と不幸の温床なので除外。それでも両親の不在や虐待、差別、ブラック企業、借金等々…社会的弱者がめっちゃ多くて両親との死別だけじゃ予選落ちになっちゃうんですよ。怖っ。
余談ですけど、受けが不幸だろうと幸福だろうと、攻めがクソだろうとウンコだろうと面白いものは面白いしつまらないものはつまらないです。エンタメは非情。

以下オチまでのネタバレも含みます。ご注意ください。

エントリーナンバー1
有村葉(19)(ボナペティ!/月村奎/2019
①中卒 ②両親死別、天涯孤独 ③バイト暮らしで困窮、貧乏 ④開始30ページいかないうちに行き詰まり感マックスで受けが自殺することを決める ⑤最後の晩餐で憧れのビストロに行き、栄養失調と貧血で倒れる
中学の卒業の頃に身体の弱かった父親が病気で亡くなる設定ですが、お父さん保険入ってへんかったん!?誰かに息子のこと頼んでいかない!?…と私がツッコミしているうちに受けはビストロのシェフに溺愛されていたのだった。ハピエン♪

エントリーナンバー2
藤島尚行(21)(竜の妻恋/いとう由貴/2017
①両親がガンで相次いで死亡 ②ホームレス ③理不尽に搾取されながら日雇いバイト生活 ④高校中退で学歴中卒 ⑤コミュニケーション能力に難あり自信もなく友達もいない
しかし攻めと出会って溺愛ルートに入りると、翌日貯金通帳にサクッと10億振り込まれる。愉快。BLの攻めはこうでないと。

エントリーナンバー3
鈴木秋人(15)(黒曜の災厄は愛を導く/六青みつみ/2015
①母子家庭で10才で母が亡くなり児童養護施設へ ②父親の浮気で離婚したと思っていたが自分が托卵子だったからだと知る③施設でできた友人は実は資産家の息子で、半年後に友人は引き取られて裕福に暮らす ④高校で再会したその友人を召喚する異世界転移に巻き込まれる ⑤言葉の通じない転移先で災厄の導き手として疎まれ殺されかける ⑥災厄なので殺されかける(2回目) ⑦半年近く野宿窃盗しながら異世界で一人サバイバルで生きのびる ⑧しかし災厄なので殺されかける(3回目) ⑨異世界人とセックスしないと死ぬ病気で死にかける ⑩なんか色々あって死にかける
この小説の良いところは殺されかけるのとは別に、受けが誰にも必要とされない、求められず疎まれる、友人は求められ優遇され愛されているという対比を繰り返す作者の容赦なさです。(六青先生は他作品でも容赦ない対比描写で読者に胃酸と涙を過剰分泌させます、好き)この記事を書くにあたりちょっと読み直したけどやっぱり胸が痛くて少し泣いちゃった。

エントリーナンバー4
川原理緒(18)(お兄ちゃんのお嫁入り/間之あまの/2014
①母親が突然の事故死 ②それをキッカケに父親が辞職、転職先は続かず投資に手を出して破産、アル中、無職 ③高校どころじゃなくなり中退 ④受けはダメな父親の代わりにスーパーで働きながら双子の弟妹(3才)の子育てをする⑤引越しすると父親に騙されマンションの不法占拠の占有屋の片棒をかつがされる。帰れる家は引き払っていて当然もうない。
そんで不法占拠先の弁護士のお兄さんに溺愛されて嫁入りします、ハピエン♪片親生きててもクソ親だと地獄〜

エントリーナンバー5
斎条十有(19)(愛傷コレクション/葵居ゆゆ/2017
①母親の再婚相手から性的虐待で高校受験失敗 ②滑り止めの高校に入るけど性的虐待は続いて自傷 ③限界が来て17歳で家出(結果中卒) ④そのまま暴力的なセックスをする相手についていって、攻めと出会うまで暴力とレイプとセックスの日々
攻めが変態紳士で溺愛してくる。葵居先生なのでどエロなんですが、この本は傷と痛みが前面に出てくるので切なくて萌える。両親がいても、いたらいたで地獄になりがちなBL界

エントリーナンバー6
江鳩青依(20)(玉の輿ご用意しました/栗城偲/2017
①友人や恋人の家を渡り歩く住所不定無職 ②中卒で働くけど怪我をしてクビになる ③その後当たり屋業をしてたけど失敗を機に仲間に見捨てられる ④ちなみに両親兄弟は存在するけど借金で自己破産して一家離散しており連絡はつかない
BL小説のマイフェアレディ。攻めは振られた恋人を見返すために、偽の恋人として学なし素行の悪い受け(顔はいい)を躾けます。シリーズが続いて最終的に高卒の資格取って大学行くんじゃなかったかな、どん底設定だけど受けが卑屈じゃないし、元気のある生意気くんなのでいい感じです。

ここまで書いてみてだいぶ、しんど…な気持ちになったのでここでやめます、探すとまだまだまだまだあるんですけど…

優勝は……十亀俊司(16?)(リバーズエンド/木原音瀬/2012)で…。1歳から家族単位でホームレス経験者、いつも空腹で残飯漁りもする。母親は無理がたたって8歳で死別、父親は酒飲みで肝臓悪くて入退院繰り返し余命6カ月、中卒の姉が頑張って働いてるけど借金が返しきれず困窮、「最後」に家族4人で過ごそうと姉と弟が父親を病院に迎えに行き…。……。(もうまとめられない)ネットオフが間違えて私に送ってきたBL本なんですけど名作だったんですよ〜…キャッスルマンゴーというBL漫画と併せて読むとずっと泣いていられる、まぁこの人は受けじゃなくて攻めなんですけど~!どん底を経験しているAV監督の攻めです!優勝!
どん底受けには甲乙つけられないので、お茶を濁して終わりたいと思います。

なんかもうここまで読むとお腹いっぱいでしょ。軽く読み直したので私はぐったりしました。胃酸で。
とりあえず胸が痛い本を読みたかったら、強度の違いはあれども上記の本どれも美味しいのでおすすめです。うーん、もっと笑える選手権したいですね…性格の悪い受け選手権とか…(木原音瀬作品が圧勝して終わる)
それでは皆さん、良いお年を。

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