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あの人にまた会いたい

中学生の頃、塾で出会った遠い中学校から来ていた彼。
高校受験のために通っていた塾だけど、彼と同じクラスになりたくて
勉強して一番上のクラスにいつもいれるように頑張った。
高校は別のところになっちゃったけど
私は彼と出会ったその場所が忘れられなくて、大学受験のためと
そのまま塾を続けて通った。
そうしていたら、彼もまた戻ってきて週に何回か会えるようになった。

大好きだった彼には、もう大好きなことを伝えていて、
初めて素直になれる人だった。
携帯電話がまだ通話が高かった頃、家電によくかけて何時間もおしゃべりした。
お姉ちゃんやお母さんが出てくれればいいけど、本人だった時がすごく恥ずかしかった。
携帯電話がお互い持つようになって、彼からの着メロは宇多田ヒカル。
今でもその曲がなると心が苦しくなるくらい、毎回ドキドキして
彼が大好きだった。
恥ずかしくて、どうしようもないときもあったけど
それでも素直で全部話せたのは彼女がすでにいたからだったのかも。
叶わないと分かっていても、それでも会えるだけで嬉しかった。

大学も別のところになって、完全に会う機会が無くなってしまった。
彼は浪人したようだった。
たまに朝同じ電車に乗ることが分かって20分だけど
まだつながっていられると本当に幸せな20分だった。

ある日何故か彼が私の大学にいた。
突然電話がかかってきて、今どこにいる?って。
大学での新しい友達の前で恥ずかしかったけど、はしゃいでしまった。

それでも、どうしてもさぼれない必修の前だったために
一緒にいたかったけど、彼も友達といたし長くは居れないかなと
予感して授業をとった。
それから多分1回別の日にご飯を食べに行った気もするんだけど
その記憶がない。何故かちょっとがっかりした記憶もあるし
夢だったのかなと思うくらい楽しかったかも。
考えすぎてあれは現実?とわからなくなってしまったのが悲しい。

それから十数年。
それ以降連絡はとれない。
地元の、仲良くない人に突然連絡したりして
なんとかすれば
もしかしたら今どこで何してるかわかるかもしれないけど
そんなストーカーみたいなことはしたくない。

大好きすぎて、好きと憧れの違いってなんだろうとか
なんでこんなに好きなんだろうとか
何年も会ってないのにずっとずっと好きな彼。
今でも夢に出てくる彼。

叶うなら、高校生だったあの日みたいに、
二人で休憩時間に外のベンチでおしゃべりしたり、
彼が後ろから覗き込んできた私のパソコンをそのままの
体勢で、
頬が触れ合うくらいに近い距離で、
心臓がはちきれそうなほどドキドキしながら
すぐ右隣りにある彼の頬の温度を感じながら、
彼は私が好きなの知っているのにそういうことをしてくる。
私はただ恥ずかしい、でも嬉しい。
彼の気持ちはわからない。

でももしも叶うなら、また彼に会いたい。

#もしも叶うなら

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