日本版ハルクを調査してきた

こんばんは、オギユカです。

先日、Xで日本版ハルクの存在を知り、ハルクオタクを自称する身としてはいてもたってもいられず、
本日国立国会図書館でどんな話なのか調査してきました。

日本版ハルクとは
講談社刊の週刊ぼくらマガジン 1970年11月24日号から連載が始まった漫画です。全22話。
劇画:西郷虹星 構成:小野耕世の布陣でしたが、4話目から構成が小池一雄に変わり、小野耕世は監修になりました。
16話で第一部完といった形になり、17話から第二部が始まり、作画担当が西郷虹星から森藤よしひろに変更。小野耕世が監修から降りたようで、クレジットから名前が削除されています。
22話目で週刊ぼくらマガジンが事実上の廃刊となり、連載が終了しました(話は一応完結しています。)

登場人物
・荒木俊一
日本版ハルクの主人公。フルネームは9話でようやく判明し、それまでは基本的に荒木博士と呼ばれる。
ハルクになった理由は原作版とほぼ変わらず、
ガンマ爆弾の実験場に迷い込んだ少年を助けるために、爆発が迫る中実験場に飛び出しガンマ爆弾の爆風を浴びたことにより、興奮状態に陥るとハルクに変身してしまう。
日本オリジナルの設定として、広島での原爆投下により両親を失っており、自身も被曝者である。
ガンマ爆弾の開発目的は核兵器を不能化させることであり、これが守られる理由かつ命を狙われる理由となっている。
・西田みつ子
本作のヒロインであり、荒木博士の恋人→妻。
原作におけるベティだが、ロス将軍と血縁関係はないため、ベティを巡るいざこざが存在しない。
また、第二部には登場しない。
8話目にしてハルクの正体が荒木博士と知るが、ハルクも含めて愛すると誓い、9話で荒木博士に着いて行くため結婚する。
愛称はみっちゃん。
・リッキー
原作におけるリック・ジョーンズ。
名前がリッキーなだけで殆どリック・ジョーンズと変わらない。
荒木博士が自分のせいでハルクになってしまったことに責任を感じ、荒木博士のフォローを全力でするし、体を張ってハルクを助ける。
・ロス将軍
荒木博士にガンマ爆弾を作らせた張本人。
この漫画にはベティがいないため、荒木博士を嫌ったりしておらず、
リッキーを助けようと荒木博士が飛び出した時も博士を止めようとしたり、ガンマ爆弾実験のカウントダウンを止めようとしており、普通に良い人。
・タルボット将軍
名前からするとグレン・タルボットだが、シールドに所属しているなど、若干設定が異なる。
・ダム=ダム=デュガン
本作のメインヴィラン。ハルクを追いつつ、護衛対象の荒木博士を守っているが、ハルクの正体について勘付きつつある。ビジュアルは原作と大きく異なり、何故か催眠能力を持っている。

ここからはハルクファンが国会図書館で実際に日本版ハルクを読んだ感想を綴っていきます。
初めは主人公を日本人に変え、少しだけ設定を付け加えただけなので大変読みやすかったです。
ただハルクの圧倒的な強さみたいなのは少々控えめで、話の軸は荒木博士が段々ハルクに自我を飲み込まれていくホラー要素(ハルクの時間が変身するごとに増える様子)と、出会う人間の殆どに攻撃されることにより人間を嫌っていくハルクなので、そこにハマれるかどうかかもしれません。
個人的に読んでいて問題に思った点が二つありまして、ハルクによる殺人が明確に描かれているところと第二部の話の展開です。
アメコミでもハルクによって殺された人はいるのですが、割とマイルドな描写で、直接的な殺害シーンはあまり見たことがありません。
しかし、日本版ハルクではハルクが自分を攻撃してきた人間を倒すではなく、明らかにハルクのせいで死んでいる描写が描かれています。
第二部でもハルク:グレイのうさぎと同じような展開があるのですが、対象が小さな子どもです。
ハルクへの銃撃から当たらないように守っていた対象が下敷きになってしまったのを悲劇的に描かれているのですが、展開があまり納得できる形ではありませんでした。
第二部で荒木博士の登場は一話にとどまっており、味方が誰一人おらず、人間不信をどんどん募らせていく様子は読んでいて正直ストレスでした。
最終回もなんというか…雑誌が休刊となってしまったとはいえ、こんな終わりかぁ…という気持ちは否めないですね。

権利の問題なのか、現時点では単行本化されていない日本版ハルクですが、少なくとも第一部はかなり原作アメコミを踏襲したまさに「日本版ハルク」といった内容でした。
興味のある方は、国会図書館のPC端末から誰でも読むことが出来るので、一度読んでみてはいかがでしょうか?


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