7月20日(狐の嫁入りについて)

ぼくの近所では、狐の嫁入りのあとにはきまって地面から水蒸気がのぼり立つ。降った雨が白昼に夢のなごりとなって、ごく微かなしゅーという音を伴い辺りをひんやりと白くする。あるかなきかの音は狐の花嫁がまとう白無垢のあえかな衣擦れとして水気の尾をひいてゆく。しぜんと地面を踏みしめる確かさが薄れていくその時間、ぼくは狐の嫁入りをそれは密かに祝う。

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