TIME Alpe d'huez DISC 2024 購入記 その4 インプレ編

ついに届いた!!

2023年に発注をかけ、2024年1月には手元に届くと思っていたAlpe d'huez DISCだが、結局フレームが近所の自転車屋さんに届いたのは、2024年3月の最終週となった。
最初に頼んだ時は2023年モデルであったが、やはり来たのは2024年モデルのカラーリング。同じショップで私よりちょっと後に別のカラーを頼んだ方も、2024年モデルが到着したとのことだった。
最終的に私の手元にパーツを組んだ状態で来たのは2024年4月中旬。
フレームが入ってきてから、私の手元に車体が届くまでに時間を要したのは、BBがなかなか販売店に入らなかったことに起因する。
最終的には当初予定をしていたTOKEN ninjaからスギノPOWER SLEEVEというセラミックベアリングの非常に高価なBBへと販売店の好意でアップグレードしていただいて納車となった。
また、当初TCRのコンポを移植するつもりでいたのだが、TCRをそのままの状態で乗りたいという友人が現れたため、コンポ一式も新品の状態で納車してもらう事となった。
 

フレーム:TIME Alpe d'huez DISC 2024
ホイール:Mavic Cosmic SLR32
タイヤ:Panaracer AGELIST DURO TLR 28c
コンポ:SHIMANO Ultegra R8170(F:50-34 R:11-34)
ハンドル:DEDA ELEMENTI SUPERLEGGERA RS(420mm)
ステム:DEDA ELEMENTI SUPERBOX(100mm)
サドル:selle sanmarco Shortfit 2.0 3D Racing WIDE
BB:Sugino POWER SLEEVE BB386EVO
シートポスト:DEDA ELEMENTI SUPERLEGGERO
ペダル(パワーメーター):Garmin Rally RS200
重量:約7.8kg(ペダル、ボトルケージ込み)

ファーストインプレッション(見た目)

見た目の印象としては、単純にカッコいい!!黒い車体にアメサイドのタイヤがクラシカルな印象のロードバイクでありながら、単なるクラシックという事ではなくロードバイクが正常に進化していくとこうなるという見本のような佇まいを有している。
狙ってやったことなのでオーナーとしては大満足なのだが、あまり高いバイクには見えない。TIMEのロゴも目立たないし、エアロ感もないのでホントに普通のロードバイク。。。しかしながら、よく見るとカーボンの織の目が只者ではない感じを訴えてくる。
個人的にはこのアンダーステートメントな感じは、これだけでも買ってよかった!と思えるほどの出来栄えだ。

サイズはM。水平換算のトップチューブ長は555mm
※筆者の身長は183cmなので一回り小さめのフレームを購入した

ファーストインプレッション(走り)

この原稿を書いている時点で、既に800km程度の距離を乗った。主には富士ヒルクライム2024に向けてヤビツ峠に行くことが多かったのだが、180km,2700mupというロングライドも経験している。
まず、最初に思ったのはウワサ通り乗り心地がいい、という事。路面のざらつき等を適度に吸収しながらも、タイヤからのインフォメーションは的確に伝えてくれる印象を持った。
しかしながら、それ以上に大きく印象に残ったのは”よく進む”という事だった。ペダルを回していて雑味がないというか、自分がクランクを回した力がしっかり推進力となって地面に伝わっていくことがよく分かる。
これは、あくまで自分が以前に乗っていたのがTCR ADVANCED2のフレームとアルミリムのホイールの組み合わせだったから、それとの比較でしかないのだが、フレームとホイールでここまで変わるか!!という事を認識できた。
特に印象的なのは、3-4%程度の緩斜面においてのスピードの伸びが非常に良い。よく言われる表現だがギア1枚分軽くなったような印象である。また、アップダウンの場面においても、下り→上りを一息で登りたいという場面において、そのまま一気に行けるのでフロントギアをアウターからインナーに落とさずとも軽く超える事ができる。
この様な特性から、乗り方を少し変えたことでヤビツのタイムも2分程度自己ベストを更新することが出来た。(とはいっても、ようやく45分台に入った、という程度だが。。。)


しかしながら、これもあくまでTCRとの比較であるが、フロント回りの剛性感については、若干TCRに劣る感触がある。それを感じるのは、下りで路面にスピード抑制のために路面が赤く凸凹している舗装がなされている場面で、ハンドルが安定しない印象がある。ハンドルのブレが大きく、しっかりとフロント荷重にしてそのブレを抑え込んであげれば問題ないのだが、下りで若干気を遣う場面がある事は書いておきたい。
これは、全体的に車重が軽くなったことも影響しているのだと予想しており、かつ特殊な場面での事で、下りが安定しないという事ではない。
下りの場面でも、タイヤからのインフォメーションは豊富であり、通常の路面においてはかなり切れ味のいいコーナーリングができることは付け加えておきたい。

メンテナンス性など

本来ならば、フレームへのパーツの組み付け作業については自分で行おうと思っていた。人によっては、「整備はプロに任せる」という信条の方もいらっしゃるとは思うが、私は自転車程度であればマニュアル類をしっかり読み込んで自分で触れた方がいいと思っている。もちろん、”プロ”と”アマチュア”で技術の差が出る部分や、専用の高価なツールが必要な場面(ホイールの振れ取りなど)はお金を払ってプロにお願いする部分もある。ただ、パーツの組み付け・調整程度あれば自分でできた方が、出先でのトラブルに対処できる幅も拡がると思っている。
しかしながら、今回はちょうど納車の時期に本業の仕事が大炎上をしており、時間の都合からショップへそのまま組み付けもお願いした。
それでも、最初からフロント、リアのディレイラー調整が一度で上手く行くはずもなく、ポジションについても微調整が絶対に必要になる。
今回、自分で行ったのは
・ディスクブレーキのオイルのエア抜き
・ポジション調整
・F、Rディレイラー調整
オイルのエア抜きについては、慣れてしまえばそんなに難しい作業ではなく、また、最新世代のシマノのディスクブレーキはすこぶる整備性が良いので全く問題ない。また、ブレーキホースがセミ内装ではあるが、変な場所に空気だまりができる事も無く、すんなり行ったので基本的にはオイルラインの通り方についても大きな問題はないだろう。
個人的に感動したのは、ポジション調整、特にサドル高の調整のし易さだ。というのも、当たり前の話で、Alpe d'huezのシートピラーはΦ27.2mmの丸型で、クランプについても汎用品ではないが、ごくごく一般的なバンド式のものだ。今まで乗っていたTCRにはエアロ形状のシートピラーに臼型のシートクランプシートが付いていた。コレがなかなか曲者で、ズリ落ちないギリギリの締め付けトルクとパーツ指定の最大締め付けトルクの間にあまり余裕がなくトルクレンチを使っても調整が難しかった。また、精神衛生上よろしくない”パキッ”という音が聞こえたり、シートピラーやフレーム内側をイジメるザラザラしたカーボンペーストを塗布してやる必要があったり、非常に嫌いなパーツであった。
それが、普通の丸シートポストにバンド式となると最大トルクまでネジを締めこまなくても、またカーボングリップを塗布しなくてもしっかりとした固定力を発揮する。やはり、円周方向に綺麗に力がかかる、この単純な固定方式はポジション調整のハードルを一気に下げてくれる、という点で本当に素晴らしい!!

総論として

このバイク、本当に無理を押して買ってよかった。自転車に乗る喜びを改めて感じさせてくれる。
上の”メンテナンス性など”の項を書いてから、しばらくこの記事を公開せずに放置してしまったのだが、3000km以上すでに乗り込み、富士ヒルの出場、富士山3peaks等を経験したが、苦しい場面でもバイクが後押ししてくれる、というかTIMEに乗れる喜びが苦しい気持ちに勝るという副次的な効果もあった。
また、それなりの距離を乗り込んで気がついたのだが、平坦が楽しい!自分なりに大きめのトルクを掛けると、バネのように進む感覚が得られる。これが楽しくて無駄なスプリントをしてしまう。。。
登りについては、エンジンが貧弱なためなかなかスイートスポットに入れてあげる事が出来ず、リズムを掴みにくい感じがある時もあるのだが、きちんとペダルを回してやれる時は淀みなく進んでくれる。

決して多くのフレームに乗ったことがあるわけではないが、このフレーム(バイク?)は見た目同様に、ロードバイクの正常進化をきちんと感じる事が出来る1台だと思う。


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