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丸に梅鉢SS・C『子天狗の愛されるカフェ』

日本の「天狗」には様々な逸話が残っている。

「天狗」といえば、羽団扇を持ち、赤顔鼻高、山伏の格好に、一本歯下駄。
そんな姿を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

それにしても、「天」の「狗(いぬ)」と書くのは不思議だ。
風の使いとしてびゅんびゅん飛び回る姿が「天」を表すことは、なんとなく想像できる。
しかし、「狗(いぬ)」の要素は見当たらない。

この「天狗」は元々、中国の言葉だ。
隕石がオゾン層を通過するときに「キャン」という音が聞こえて狗のようだったことを由来とする。

日本に「天狗」というものが入ってくると、次第に隕石の意味はなくなり、山の精霊だとか、山神だとか、山伏が修行ののちに転生して、天狗となっただとか言われるようになった。

とにかく、日本の「天狗」は山のもの、なのだ。

日本に驚くほどの天狗譚が残っているのも、山岳信仰の深さにあるだろう。
山自体を御神体とする神社も残っているし、天狗を神とする神社も残っている。

皆さんは、『四十八天狗』なるものをご存じだろうか。

その『四十八天狗』についての話を、アイドル団体になぞらえた例え話をしよう。
48という数字、そして、アイドルとくれば、皆さんもうお分かりだろう。

実は天狗の世界でも、所属土地が天狗団体の名前となっている48グループの文献が残っているのだ。

江戸時代中期に書かれた密教系の祈祷秘経『天狗経』である。

(これは余談だが、某アイドルグループの「土地の名前の頭文字と48という数字で団体を表す」というのは、四十八天狗から来ているのではないかと思っていた。調べてみるとどうも違うらしい。仮にそうだとしても、10〜20代のアイドルグループの名前が密教系の祈祷秘経を由来すると公言するのはやめてほしいが。)

日本に住んでいれば、なんとなく見たことがあるな、と感じるかもしれない天狗団体を一つあげたい。
「愛宕山太郎坊」という天狗団体だ。

所属土地が「愛宕山」
団体名が「太郎坊」

これを、現代風に言うとATG48(株式会社太郎坊)になる。
あたごふぉーてぃーえいと、だ。

そして天狗には、大天狗、若天狗、小天狗が居る。
大天狗はプロデューサー、若天狗は先輩アイドル、小天狗は駆け出しアイドルだ。

今回はハイヤーセルフ*に「子天狗」がついている私の体験をもとに、天狗界の年功序列を感じた瞬間について話したい。

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