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マリコカザンさんインタビュー「桜島と移住とジオガイド」

今回は、私が学んでいるPOOLO JOB1期生で同期のマリコカザンさんのインタビュー記事です。

マリコカザンさんはお名前からもわかるように火山が大好き、特に桜島が推しだとのこと。現在はなんと、その推しである桜島にお住まいです。
学校の授業で名前を聞いたことはあり、噴火をよくしているようだがそれだけしか知らない桜島。場所は鹿児島県鹿児島市、市内からはフェリーに乗って15分で着くとのこと。Googleマップで見てみると、「日本で最も活発な火山」と説明されています。それって大丈夫?

桜島は鹿児島県の中心地にある火山

さて、マリコカザンさんはどうして桜島に魅せられて住むことになったのでしょうか?そして、今は移住コーディネーターをしながらジオガイドもされているとのこと。その興味をそそられるお話をハキハキにこやかにしてくださいました。

熱心だった教員を辞めるキッカケは、授業のために訪れた桜島だった

- 最初にマリコカザンさんの経歴のお話を聞かせてください。もともとは東京で教員をされていたと聞きましたが。

はい、中学校の理科の先生だったんです。担任も持っていたんですよ。
理科って物理、化学、生物、地学って 4分野に分かれるのですが、 私の専門は化学だったんです。教員免許は理科で出るので 全部教えなきゃいけないんですよ 。だから正直、地学はそんなに詳しくなかったんですよね 。

- 地学で火山の授業があったので、そのために桜島を見に行かれたと。

そうです。自腹を切って、夏休みを潰してね。 
そしたら先生を辞めるという結果になりました。 

私って趣味がなくって、遊ぶのがすごく下手なんですよ。 
仕事になる、何かためになることをやってこなきゃみたいな、変な真面目さがあって。だから、初めての時は仕事の延長で桜島に来ました。 

- その時に、夜の噴火の様子を見たそうで。桜島には夜の観光ツアーもあるんですか。

初めての時はそうでした。
観光というか、ジオガイドさんに案内をお願いしました。地球と生活の繋がりや、地球の面白さをガイドしてくれるのがジオガイドです。噴火が見られるポイントまで連れて行ってもらうツアーに参加しました。

でも、その日の噴火はあんまり大きくなかったんです。 
今思うと、噴火にカウントされるかされないかみたいな小さな噴火だったんです。 

- 小さな噴火でもマリコさんはすごく感動されたと。

もう感動しましたね!
あの噴火が火山好きになったスタートです。

たぶん私はハマりやすいというか、オタク気質があるというか、 すごいと思ったら何回もリピートする派なんですよね。 
それをきっかけに、休暇のたびに年間3回くらい来ていました。

- 初めて桜島の噴火を見てから4年後ぐらいに、桜島に移住されたんですよね。 それはもう学校の仕事に見切りをつけて? 

そうです。その頃はちょうど37歳だったのですが、忙しいし先は見えないし、辞めてしまいました。 

噴煙をあげる桜島の近景

ミヤコ感想:当時のマリコカザンさんは、早朝から夜遅くまで学校で働いていたそうです。部活も担当していたので、土日も学校漬けの日々だったそう。私も部活を熱心にやっていたタイプの生徒でしたが、先生の立場で考えると大変だったろうなと思います。
教員を辞め、大好きな桜島に住むことを決断されたマリコカザンさん、移住のお話も聞いてみました。

絶えず噴煙のあがる桜島へ移住

- 今は移住のコーディネートのお仕事もされてるんですよね。鹿児島の桜島に住むとなった時に、そういうサービスが当時もあって利用されたんですか。 
 
そうです。鹿児島市役所にある移住の相談室に相談して、2019年の4月に移住してきました。最初は観光施設で働いていましたが、移住コーディネーターの募集があり、それに応募して採用されたのが2022年の3月です。 

- 今住んでいる桜島の家ってすぐに見つかりました? 

これはですね、何回も桜島に通っている中で、 ジオガイドさんに「いよいよ桜島に引っ越したいんですけど、 家はどうしたらいいですかね」って相談したんです。そうしたら「 じゃあ、ちょっと地元の人に聞いてみるね」と家を口コミで紹介してもらったんです。 
そのジオガイドさんには、今でもすごくお世話になってます。

- 桜島に住むと何か特別なこと、たとえば、灰が降ったりするんですか?

灰は降ります。 
実は、灰は桜島じゃなくても降るんです。
風に乗って降るので、 むしろ私が住んでる方は火口から反対側になるので、 普段は降らないんです。たまにじゃりじゃりしますが。
夏だけ風向きが変わるので、その時期はちょっと降るかなという感じです。

- 2022年の夏に大きな噴火があったと聞きましたが大丈夫でしたか?

噴火警戒レベルが5に上がり、避難指示が出ました。ただ、一部の地域だけだったんです。桜島には3800人くらい住んでいるのですが、そのうち50人ほどが避難指示の対象でした。私が住んでいる地域は大丈夫だったので、次の日も普通に仕事に行きました。普段でも、ちょっと大きめの噴火がある時は、空振と言って噴煙が上がった反動で空気が震えるんですよ。その時は、それもなかったですね。

- 噴火のことに詳しいですが、それは桜島に来てから学ばれたんですか? 

ちょっとずつちょっとずつ、桜島に通っていた時からジオガイドさんに教えてもらっていました。本当にオタク気質なんだと思います。
 
それと、移住した時にガイドになる講座を受講したんです。だからそれも大きいですね。 その研修や実技のやり方とかも合わせて、ガイドになるための試験を受けたんです。だからその時に勉強した部分もありますし、ジオガイドになって先輩から教えてもらったこともあります。 

鹿児島市内から望む桜島

ミヤコ感想:何も知らない私にとって、噴煙の上がる火山の麓に住むことはギモンだらけでしたが、そう恐れ過ぎる必要はないのかも。そういえば、向かい側に県庁もあることだし。
それにしても、移住前にジオガイドさんと仲良くなっていたマリコカザンさん、桜島への熱い思いが伝わっていたんでしょうね。
そんなマリコカザンさん、今はジオガイドもされているんですよ!

手ごたえが見えてきたジオガイド

- ジオガイドのお話も聞かせてください。 いつからジオガイドはされてますか? 

鹿児島市の認定ガイドに2020年の3月に合格してからです。だからその後ですね、ジオガイドを始めたのは。 

ガイドをしてみたい思いはあったんですけど、当時はどうやってなるかもわかりませんでした。でも、こっちに来た時に声をかけてくださった方がいるんです。移住してきた時に、ジオガイドの勉強会があるからと教えてくださったんです。

マリコカザンというこの名前、実はインスタのアカウント名が始まりなんです。 桜島に感動してから火山のことばっかり上げるインスタを始め、移住する前から鹿児島の人たちとつながっていました。

私、移住する行動力があるのに人見知りなんです。自分からお願いできなくて、人間関係もうまくいくか不安に思っていました。でも、本当にありがたいことに、来たタイミングで勉強会へ声をかけてもらったんです。

「桜島がすごく好きな人が来たよ」ってみんな面白がってくれたり喜んでくれて、 本当にありがたいです。計算外でした。
鹿児島に移住してきて、こんなに人間関係が濃くなるとは想像できませんでした。 まさかジオガイドをさせてもらえる未来が待ってるなんて、そんな嬉しいことにという感じなんです。 

- 今、ジオガイドの仕事をされていてどうですか?

ジオ満喫コースという2時間のコースがあるんですけど、 それを主にやらせてもらっています。
最近、遠くの方にちょっと手応えが見え始めてきました。

でも、数をこなせばこなすほど、ここがうまくいかない、あそこがうまくいかないとか思ってしまいます。授業をやってきたので、人と話すことも説明することにも抵抗はないんですけど、だからこそ、説明ばかりでなく、もっと楽しませることができるはずなのにって思っちゃって。

最近は、いろんな仕掛けをしてみようとか、 お客さんが望んでるんだったらこういうやり方もありかなとか、 ちょっと遠くに手応えかもしれないものが見えてきて楽しくなってきました。

他の地域に住む火山女子を案内したときの様子。右がマリコカザンさん

- いいですね、まっすぐにお客さんのことを考えていますね。 私もマリコカザンさんにジオガイドをしてもらいたいです。 

本当ですか!
桜島に世界中から人が来てくれればいいなって思っています。
もっといろんな人に、桜島への興味を持ってもらえるようになってほしいです。 

鹿児島は観光やPRがヘタなんです。 すごく良い場所なんですけどね、
たぶん鹿児島の人にとって当たり前なんですよね。 
桜島があることも当たり前だし、桜島が噴火することも当たり前で。 桜島が噴火した写真を「今日もきれいだな」って思って撮るんですけど、噴火とかには全然見向きもしないです、鹿児島の人たち。 

- そこまで当たり前なんですね! 

ええ、当たり前なんです。 「今日雨降ってきたね」みたいなことかも。 雨が降ってきても普通は写真を撮らないですよね。 多分それくらい当たり前なんだと思います。

でも、鹿児島の人たちは桜島のことをすっごく誇りに思っているんです。 シンボルだし、パワーをもらえるとか、あれを見ると元気になるよねっていう人もいるし。 一番多いのは県外から帰ってきた時に桜島を見ると帰ってきたなとか、ほっとするって皆さん言いますね。

 鹿児島の人たちが誇りに思っている桜島を私が好きだったので、だから余計に受け入れてもらいやすかったんだろうなと思います。「一人で東京からやってきて住んでるよ」って怪しく思われることがあってもおかしくないのに。 
ありがたいことに本当に皆さんによくしていただいてます。 

もうもうと噴煙をあげる桜島

冒頭の地図以外の写真は、全てマリコカザンさんより提供していただきました。

マリコカザンさんのSNSリンク


ミヤコ感想:インタビュー後、私の住むイタリアの火山へと話題が移りました。実は、鹿児島とイタリア南部の町ナポリは姉妹都市だそうです。ナポリにあるベズビオ火山の形が桜島に似ている縁からだそう。
マリコカザンさんが、嬉しそうに桜島のお話をされるのを聞いていて、私も火山のことをもっと知りたいなと思い始めました。
いつかマリコカザンさんと一緒に、ナポリのベズビオ火山を見に行けるといいな!


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