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銘柄評価:楽天グループ(4755) 71点

1) 会社の概況と特徴

楽天グループ株式会社は1997年に設立され、2000年に上場しました。ネット通販で国内双璧を成し、金融、旅行など多岐にわたる事業を展開しています。2019年に携帯電話事業に参入し、通信インフラの外販も行っています。連結事業として、インターネットサービスが売上の53%(利益率6%)、フィンテックが32%(利益率17%)、モバイルが16%(利益率-93%)を占めています。海外からの収益は売上の15%です。総合路線を進める一方で、携帯事業の赤字が課題となっています。金融事業の再編や決済アプリの統合を進めることで、運営効率の向上を図っています。

2) 株購入における総合評価

楽天グループは多岐にわたる事業ポートフォリオを持ち、特に金融とインターネットサービスに強みを持っています。しかし、携帯電話事業の赤字が大きく、全体の収益性に影響を与えています。新プラン投入や経費削減策により赤字は縮小しつつありますが、完全な黒字化には時間がかかると見られます。時価総額は17,171億円であり、サービス業界内での競争力は高いものの、リスク要因としては事業の多角化による収益の安定性が挙げられます。長期的には成長が期待されるものの、短期的な課題も多いことから、投資判断は慎重に行う必要があります。

3) 売上と利益、成長性

楽天グループの売上高は2023年12月期に2,071,315百万円を記録し、前年同期比で増加していますが、営業利益は-212,857百万円と赤字が続いています。2024年12月期の予想売上高は2,250,000百万円で、営業利益は-70,000百万円と、赤字幅の縮小が見込まれています。2025年には売上高2,400,000百万円、営業利益50,000百万円と黒字転換が予想されています。

4) 株価と時価総額、総資産

2024年6月17日時点での時価総額は17,171億円で、サービス業界内での時価総額順位は3位です。総資産は23,851,066百万円、自己資本は852,580百万円、自己資本比率は3.6%です。自己資本比率が低く、財務健全性には課題があります。

5) キャッシュフロー、現金

営業キャッシュフローは7,241億円、投資キャッシュフローは-5,974億円、財務キャッシュフローは2,919億円です。現金等は51,276億円を保有しており、流動性には問題はありませんが、設備投資と研究開発費が大きく、資金繰りには注意が必要です。

6) 配当性向

2023年12月期の配当金は0円で、過去の配当実績を考慮すると、当面の間は配当が期待できません。収益の安定化が図られた後に、配当再開が見込まれます。

7) 採点と解説

  • 業績と財務 (20点中12点): 多角化事業であるが、携帯事業の赤字が大きく影響。

  • 株価の安定性 (20点中15点): 株価は大きく変動しており、安定性に欠ける。

  • 成長性 (20点中16点): 長期的には成長が見込まれるが、短期的なリスクが大きい。

  • 業界地位と競争力 (20点中18点): ネット通販、金融、旅行などで高い競争力を持つ。

  • 配当性向と株主還元 (20点中10点): 配当が停止しており、株主還元が期待できない。

8) 総合評価

総合評価は100点中71点です。成長性と業界での競争力は高く評価されますが、財務健全性と株価の安定性、配当性向には課題があります。投資判断は慎重に行う必要があります。

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