BPLS3 IIDX部門 コストの担い方大全

はじめに

 BPLS3 beatmaniaIIDXのレギュラーステージも残り1放送となりました。各回の最後に次回放送分の選手オーダーが発表されるため、現時点で全選手のコスト消費量が明らかになりました。ここで全32選手のコスト消費(=出場する試合の分布)を分類し、共通点をいくつか見出してみようという試みをしたいと思います。

コストについてのルール確認

 ルールを確認します。詳細は公式サイトのルールをご覧ください。

  • 選手一人あたりコスト100を持つ。

  • 試合出場にはコストを支払う。必要量は先鋒戦で10、中堅戦で20、大将戦で30。

  • 全ての選手が4試合以上に出場せねばならない。(レギュラーステージは各チーム6試合)

 ルールからわかることを2つ述べておきます。

  • 試合成立に360のコストが必要 → チームでコストは40しか余らない。

  • チーム4名の出場試合数は(6,4,4,4)か(5,5,4,4)の2通りしか無い。

 今まで3シーズン開催されたIIDXのBPLの中で最もコスト管理に厳しいルールであり、取れる選択肢はあまり多くないチームが多かったように思います。
 それでは内容に入ります。


コスト100消費の選手

 選手個人が持つコストをすべて消費した選手で、18名の選手が該当します。必然的に出場回数も多くなり責任も重くなるためかドラフト上位選手が多くを占めます。(具体的にはドラフト1順目がTATSU選手を除く7名、2順目が6名、3順目が4名、4順目はただ一人で46選手)
 18名全ての選手が大将戦に出場しています。ルール上は中堅戦に5回出場してコスト100を消費することも可能でしたが、そのような戦略を取ったチームはありませんでした。

※以後、この記事の中では大将戦、中堅戦、先鋒戦を「大」「中」「先」と略します。例えば「大中中中先」と表記した場合、大将戦に1度、中堅戦に3度、先鋒戦に1度の計5戦に出場したことを意味します。

※選手の並び順は、高難易度の試合により多く出場した選手を先に挙げています

「俺がスターだ」型 大大大先

該当選手:KKM* TAKA.S 46 WELLOW U*TAKA NUCHIO
 大将戦に3度出場するという最も存在感のあるパターンです。言うまでもなく自身の成績がチーム成績に直結する起用であり、チームの顔といえる選手が並んでいます。高難易度に強い選手が多いですが、ドラフト順は1から4まで揃っており意外とまばら。4順目の46選手にこのポジションを任せるノバ東北の起用法はやはり異端でしょう。
 難易度の内訳を見るとKKM*選手とTAKA.S選手は3度☆12で起用されており、3度の大将戦がすべて☆11だったのはNUCHIO選手のみでした。

大黒柱型 大大中中

該当選手:SEIRYU CORIVE DINASO UCCHIE
 前項の大将戦に3度出場するパターンだと、1度は先鋒戦に出場する義務が発生してしまい中心選手のコスト10がややもったいないようにも思えます。中心選手のコスト100全てを試合の中核に据えるとこのオーダーになるでしょう。該当するメンバーを見ても中核と呼ぶにふさわしいメンツです。
 SEIRYU選手とCORIVE選手は☆12に2度出場する一方、UCCHIE選手は☆11の大将戦のみに出場しました。今期のUCCHIE選手はまだ☆12をプレーしておらず、クオーターファイナル以降での出場があるのか注目です。

懐刀型 大大中先先

該当選手:KUREI G* PEACE
 コストをフルに使いつつ多くの出場回数を確保するタイプです。メンバーを見ると「対応できる譜面タイプが多い」「中低難易度にも強みがある」「他選曲奪取能力が高い」などの特徴がありそうです。BPLのルールは誰かが他選曲のポイントを奪わないと勝利できないため、その力がある選手の出場回数を多くする戦略は妥当でしょう。

オールラウンダー型 大中中中先

該当選手:LICHT RIOO MIKAMO 8S. 1-PIN
 
コストをフル活用しながら出場回数も確保するパターンその2。中堅戦で2タテを食らってしまうと勝利のためには大将戦で2タテし返さねばならず、堅実に勝つことが求められるポジションです。メンバーもエース格ないしは確実な武器を持つタイプの選手が並んでいるように見えます。
 ここに当てはまる選手のうち☆12をプレーしたのはLICHT選手のみでした。

コスト90消費の選手

  コストを10だけ残した選手で、6名の選手が該当します。前述の通り全32名の選手のうち18名がコストをフル消費したため、10のコストを残すだけで消費量はリーグの下位半分に属することになります。
 ドラフト順については1~4順選手がすべていますが、ボリュームゾーンは3順目です。

極端型 大大先先先

該当選手:TAKWAN VELVET
 
5度出場しながら中堅戦には一切出ないという極端なシフトです。2名の選手が該当しますが、両者ともにKKM*選手やPEACE選手という超強豪選手と複数回マッチしています。戦略上は2タテを狙うというより、強い相手から自選曲を持ち帰る役割を期待されていた2名に思えますがどうでしょうか?

準エース型 大中中中

該当選手:I6VV TATSU
 
コストを残しているものの、出場全てが中堅以上でありタフな試合を多く任されています。TATSU選手はスクラッチ、I6VV選手は中~高難易度とある程度チーム内での役割が明確な2名と言えるでしょうか?
 なお、ドラフト1順の選手でコストを残したのはTATSU選手のみです。実は3名の選手がコストを残したのもノバ東北だけだったりします。(唯一のコストフル使用は46選手)

多忙型 大中中先先

該当選手:KENTAN
 
先鋒戦から大将戦までフル回転でした。4順目選手の中では46選手に次ぐコスト消費の多さです。中堅戦で格上相手に2度ポイントを獲得しており、特にTradz戦でのポイント獲得(楽曲は『怪物』)はチームの勝利に不可欠なものでした。もっとも視聴者にとって一番印象に残ったのは”侵略者”KKM*の盾となるべく出場した☆12大将戦でしょうか。”破壊”されてしまった大将戦も含めてチームに献身的なベテランの姿を見せられたシーズンでした。

皆勤賞型 中中中先先先

該当選手:CYBERX
 
今シーズンで6試合出場したのはCYBERX選手ただ一人でした。執筆時点で戦績は5戦5分です。対戦相手は3順目選手が4回と2順目選手(RIOO選手)が1回であり、同等以上の相手でも取りこぼしが少なかったと評価できるでしょう。しかし残りの1戦はUCCHIE選手が相手かつストラテジーカードの被弾が濃厚です。非常にタフなマッチになりそうですが持ち前の精密なリズムキープ力が活かせるか、必見です。

コスト80消費の選手

いぶし銀型 中中中先先

該当選手:NIKE.
 
BPLで強烈な存在感を見せ続ける、もはや説明不要の中~低難易度職人NIKE.。個人賞では執筆時点で「カウンター賞2位」にランクインしており、先鋒から中堅での他選曲奪取能力が非常に高い選手と言えます。つまり出せば出すほど勝ちにつながる選手で、しかもコストはそれほど食わないというBPLルールで最も理想的な働きをする選手の一人でしょう。

コスト70消費の選手

 コストを70しか消費しないということは、チーム内で余剰する40のコストのうち30が自分の手元に残るということです。必然的に起用は限定的なものとなり、先鋒戦が主な仕事になります。ドラフト順位で言えばCHP*1E選手のみが3順目で他は4順目の選手が占めます。

ステップアップ型 大中先先

該当選手:LOOT KIDO.
 
偶然にもこの2名は試合順が「先→中→大(→先)」とステップアップしていきました。特にKIDO.選手は2試合自選をキープしたかと思えば、3試合目では大将戦でMIKAMO選手からポイントを奪い、最終的にはU*TAKAの無敗伝説を崩す活躍を見せました。
 LOOT選手も固定オプションに異常に強いという特徴を活かして、コンスタントにポイントを持って帰ってくる堅実な活躍を続けています。

尖兵型 中中先先先

該当選手:NAGACH CHP*1E
 
中低難易度に強みを持ち、試合の流れを生む役割を期待された2名です。CHP*1E選手は5試合中3試合がスクラッチでの出場であり、チーム内での役割がはっきりしていたように思います。(そして自慢のスクラッチでTATSU選手やRIOO選手からポイントを奪っています。)
 NAGACH選手は5戦の中にソフランスクラッチのような変則ジャンルは無く、こちらも「☆10☆11の鍵盤系」という明確な立ち位置を与えられた形でしょうか。

コスト60消費の選手

 チーム全体で400のコストを持つ中で、試合のオーダーを埋めるには360のコストが必要です。よってコスト60消費の選手がいるチームは、他3名が100のコストをフル活用したことを意味します。ここに属する選手は全員がドラフト4順目の選手ですが、意外にも2名が大将戦に出場しています。
 ある選手に先鋒戦を6回担当させて、他の選手は(大大中中)とすることでもシーズンを成立させることが可能ですが、そのようなチームは現れませんでした。

爪隠し型 大先先先

該当選手:U76NER RAITO.
 
4順目選手の基本的な任務である先鋒戦をこなしつつ、1試合のみ大将戦に出場した2名です。それらの大将戦の相手はU*TAKA選手とUCCHIE選手であり超強豪を相手したと言えるでしょう。4順目選手を大将戦に出場させる意図はリーグ戦全体の勝利数の最大化だと思われます。ただし選手自身はコスト管理というフレーズに甘えず貪欲に勝ちを目指す姿が印象的でした。(特にU76NER選手)

仕事人型 中中先先

該当選手:FRIP
 
FRIP選手はどこで出場させてもコンスタントに好スコアを残す印象があります。ゲームパニックの場合は☆12の試合を全てTAKA.S選手に任せる決断をした時点でコスト運用の方向性も決定されたように思います。つまり、☆10☆11でMIKAMO選手やPEACE選手のコストを残す意味は全く無いということです。クオーターファイナル以降もあくまでFRIP選手を除く3選手で獲得ポイントを最大化するオーダーを組み、残ったポジションをFRIP選手に任せる運用が続くでしょう。それでも確かなプレーで存在感を覗かせ続けるのがFRIPという男の魅力であると筆者は思います。

まとめ

 以上、全選手のコスト消費をテーマに分類してみました。全体を通した特徴を述べると、大将戦に出場する選手のバリエーションが大幅に増えたといえます。コストのタイトネスが上がったことはチームにとっては苦しかったかもしれませんが、KIDO.選手の躍進を代表として今まで見られなかった選手の魅力が引き出されたのではないでしょうか?
 最後に、記事を書く中で見つけたその他の今シーズンの特徴を挙げておきます。

  • 6試合に出場したのはCYBERX選手ただ一人

  • 大将戦に27選手が出場した。シーズン2は22選手だったので5人増加している。

  • シーズン2に比べて大将戦に出場した4順目選手は激増した(シーズン2は1名、今シーズンは6名)

  • シルクハット、Tradz、レジャーランドはチーム4名全員が大将戦に出場した。(シーズン2及び2021で該当チームなし)

  • 中堅戦に出場していない選手は4選手、先鋒戦に出場していない選手は6選手に過ぎず、各選手に求められる役割は広くなっている。

  • ノバ東北にしか見られない特徴が複数ある。(1順目選手のコスト残し、3名の選手がコスト残しなど)

 以上、長くてマニアックな記事にお付き合いいただきありがとうございました。シーズンもファイナルが見えてくる時期になりましたが、最後まで張り切って応援していきましょう!

文責:ユキジ X(Twitter) @isuzumi_BPLFan



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?