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長編小説

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十年ぶりに連絡してきた稲本典子(通称テンコ)に懇願されて、物部索朗は霧白村の古民家で一週間を過ごすことになった。
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2014年10月の記事一覧

虹の立つ家

全編

「古民家に住んでみない? 」
 受話器を耳に当てるなり言われた。
 電話越しでも通る声。十年以上見ていない糸目が頭をよぎった。
「テンコなのか?」
「そうよ。どう? 住んでみる気ない?」
 高く澄んだ声色も、歯切れの良い言い回しも変わらない。相変わらずだなと苦笑いしながら物部(もののべ)は大学時代と同じ調子で返した。
「怪しい話ならお断りだよ。いま何をしてるんだ?」
「霧白村の村長よ。先週

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虹の立つ家

(全編)

 長編小説「虹の立つ家」。
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 よろしくお願いします。