見出し画像

幻視の小宇宙 現代漆藝家4人の燐光

セイコーハウス銀座ホール(旧和光ホール)にて、2022年12月1日~11日開催。漆芸家の青木千絵さん、浅井康宏さん、樋渡賢さん、吉野貴将さんの4人展です。

お目当ては浅井康宏さんの作品でした。いつもながら、一分の隙もないかっちりした精巧な美しさ。外からの光を蒔絵や螺鈿が反射して送り返すが、作品そのものは結晶のようにただ美しく、まったく揺るがないといった印象です。
ぜひ写真に収めたかったのですが、残念ながら撮影禁止でした。

他の3人の作家さんたちもそれぞれに個性的で、大変見ごたえがありました。

樋渡賢さんは、繊細な表現が印象的でした。吹けばふわふわと揺れそうな金の細線で描かれた羽毛や、大小の丸い粒々を敷き詰めたエイ革のような螺鈿文様が素敵でした。

吉野貴将さんは、漆の技法を用いた立体像を出品されていました。乾漆偶像のシリーズは、どちらかと言えばかわいらしい表情ですが、杜甫の詩から「城春草木深」と名づけられた女の能面は、頬がこけた鬼気迫る表情で、表現の幅広さを感じました。

青木千絵さんの作品は、黒漆でつるつるに仕上げられ、半分溶けかかったような人物像です。漆である必要があるのか、プラスチックや石ではだめなのかと考えてしまいましたが、実際に像を見てみると、つるつるというよりはねっとりした人間の情念や欲望の塊のような印象は、漆ゆえのものかもしれないと思いました。

作家さんのお名前から、それぞれのホームページへリンクしています。ぜひ皆さんの作品をご覧になってみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?