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長谷川潔 1891-1980 展 ―日常にひそむ神秘―

2022年7月16日〜9月25日、町田市立国際版画美術館にて。

1919年に渡仏して、一度も帰国しなかったという版画家、長谷川潔の作品展。銅版画にいろいろな技法があるのは何となく知っていましたが、いくつもの技法を使いこなした版画家の展覧会は、個人的に初めてのような気がします。

技法によって、作風も違うように見えますね。僕が好きな作品は、ドライポイント技法のものが多かったです。白地の背景にインクの線がくっきり写り、グラスに生けた花など日常的なものなのに、どこか非日常的な雰囲気が漂います。南欧の村の風景も、さらっと乾いた明るい空気を感じさせます。

一方でメゾティント技法の作品は、黒地の背景で輪郭線はなく、むしろ静物画の伝統に忠実で、しかし独特の幻想的な美しさがあります。

一部の作品は撮影可能だったので、写真に収めてきました。

スペイン風景
1936 ドライポイント
花(切子ガラスに挿したアネモネと草花)
1944-45 アクアティント
アカシアの老樹
1954 エッチング
野辺小禽
1957 エングレービング
狐と葡萄(ラ・フォンテーヌ寓話)
1963 メゾティント

これらの作品は、全部技法が違うんですよ。いかがでしょうか。
記事タイトル画像は、「メキシコの鳩 静物画」(1966 メゾティント)です。

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