マニュアル作成初心者向け・おすすめ書籍案内(第7弾・「自分史白書シリーズ」・自分史白書編集委員会 著)

「マニュアルを作成するための参考図書」を探してまとめ始めた本稿も7冊目。今回紹介する本は、もう完全に私が作ろうとしている「自分史ライター・マニュアル」のためのものであり、一般のマニュアル作成者は置いてきぼりである。ご容赦いただきたい。

さて、今回取り上げるのは自分史白書2016、2017、2018、2019の4冊である。内容は自分史を作ろうとしている一般の人向けの内容と、自分史をビジネスにしている人(正確には、もう少し範囲が広い。自分史を活用しようとしている人……とでも言った方が良い)向けの内容である。

<自分史白書2016>

・自分史を英語でいうと、「Biography」である。私の自分史作成サービスも将来は海外展開する予定なので(中国、台湾、インドネシア、タイ、マレーシア、インドその他のアジア系お金持ちを対象にする)、知っておきたいところだ。

・「色川大吉」という人が、日本における「自分史」の始祖(自分史という言葉を初めて使った人)だと本書では述べられている。彼の著書「ある昭和史 自分史の試み(中央公論社・1975年)」に定義されたらしい。自分史ライターならば押さえておきたい人名・書名だ。

・自分史を書く際のコツとして、主人公(自分史の作者。以下同様)の恩人について述べる場合、感謝している気持ちばかりを書くのではなく、なぜ感謝しているのか、その根拠となる出来事をしっかり書くようにすると良い。

・自分史に家族が登場しないのは、読み手からすると不自然に感じる。特に幼少期の家族の存在や影響については、きちんと書くこと。

・自分史において、主人公の個人的な出来事は事実であろうと記憶違いだろうと読み手にとって違和感はないが、社会的な出来事の記憶違いは「誤記」と認識されてしまう。自分史ライターはしっかりとチェックして修正しなければならない。私の経験でも、顧客が特攻機の「桜花」と「橘花」を取り違えていた事例があった。「桜花」が飛行場に着陸するのを見た……と自分史に書いてあるのは、非常にまずい(「桜花」は敵機に向かってロケットで突っ込む片道グライダー兵器である)。

・一般の人には絶対に知られていないと思うが、8月7日は「自分史の日」である。ちゃんと2012年に日本記念日協会からも認定を受けているのだが。8月は終戦記念日、広島・長崎の原爆忌、そしてお盆という自分のルーツを思い、祖先に語りかける季節である(←これは自分史作成サービスのPRに使えそうなフレーズだ)。なお、自分史ライターには、ぜひピクサーの「リメンバー・ミー」という映画を見てもらいたい。ご先祖様を大切にしたくなること間違いなしである。

・自分史に「社会的な出来事や事件」を書く方法は3つある。1:直接的な関係があるなら、その体験を書く。2:直接的な関係がないなら、その事件が発生した時に、自分がどこで何をしていたかを書く。3:直接的な関係がないなら、その事件について当時の自分の感想や意見と、現在から見た感想や意見を書く。

・自分史の顧客が会社員や会社役員、経営者なら、その会社の「社史」が自分史を作成する上で非常に役立つ資料となる。

・自分史を作りたくなる「人生の節目」は以下の通り(本書に掲載されたものから、自分史ビジネスにつながりそうなものを抜粋)。ふと思ったが、自分史ライター試験の問題に使えそう。

成人式
結婚
死去
法事
転職・退職
還暦(数え年60歳・以下同様)
古希(70歳)
喜寿(77歳)
傘寿(80歳)
米寿(88歳)
卒寿(90歳)
白寿(99歳)
百寿(100歳)
皇寿(111歳)

・恩人でも述べたが、親友、ライバル、仲間について自分史に書く時も、どのような関係なのかを書くだけでなく、出来事やエピソードが欲しい。どのように人生観に影響を与えたのかなど、自分との関わりを記述すること。

・自分史で生い立ちを語る際、可能ならば先祖のことも記すと良い。

・古い地図を参照しながら顧客に自分史インタビューをしたり、自分史に地図を掲載するのも良い。国土地理院のホームページから、過去の地図や空中写真を入手できる。

・本書には各種の参考書が掲載されている。大塚から徒歩10分の「あやめ自分史センター」に所蔵されているかもしれない。また、「自分史白書2016の付録」だったという「7人の自分史業者の覆面座談会(現在は在庫切れ)」はぜひ読みたいので、探してみよう。

・自分史作成サービスで顧客と最初に話し合うべき「企画」とは、次の5W2Hであるという良いアドバイスが本書にあった。これについて顧客と事業者は認識をすり合わせる必要がある。

Why:自分史を作る目的。何を書きたいか。作った自分史をどうするのか。
What:どんな自分史を作りたいのか。本の大きさ、ハードカバーかソフトカバーか、ページ数、カラーか白黒か、文章メインか写真や絵、俳句が中心か。
Who:できた自分史を誰に渡すのか。想定する読者によって書き方も変わる。
When:いつまでに自分史を作りたいのか。
Where:打ち合わせ場所や取材場所はどこか。
How:どのように自分史を作るのか。具体的には、顧客と事業者の役割分担を決める。表にすると分かりやすい。
How much:どのくらいの費用をかけて自分史を作るのか。お金をかけようと思うと際限なくかけられる。だいたいの予算が決まっていなければ、他のことも決まらないので重要なポイント。なお、事業者はページ数で見積もりをすると、実際に出来上がった自分史のページ数が少ない時に赤字が生じるので、見積もりにおけるページ数の比率は小さくした方がいい。

・「自分史作成サービスにおいて、顧客との初対面における最初の挨拶が取材の成否を分ける。ビジネス的なやり取りだけでなく、しっかりと人間関係を構築する必要がある。個人情報を話してもらう必要があるので、話しやすい雰囲気づくりは必須である」というアドバイスが本書にはある。これは私も同感なので、マニュアルには具体的に挨拶や連絡方法を書くつもりだ。

・でき上がった自分史については、ライター側で「他人のプライバシーの侵害がないか」、「整合性は取れているか」の確認をする必要がある。

・カラー印刷をする場合は、色味を顧客に確認してもらった方が良い。実際、私も「この写真の色が……」とダメ出しされたことがある。ちゃんと見本刷りをしてくれる印刷業者を使おう。

・自分史の納品は、自分史ライターが手渡しした方が喜ばれるとのこと。顧客と記念撮影をして、コメントも頂ければ、顧客の声として自社ホームページに掲載できるので、ぜひこのようにしたい(だから顧客は近いところに限定したいのだが……)。

・支払い時期は事前の出版契約書で決める(契約直後に半金、印刷前に残金が良い)。顧客が経営者の場合、支払い元が法人か個人か確認しておくこと、というアドバイスも。

・でき上がった自分史で差し障りがありそうなところは、その内容の関係者に事前に確認を取った方が良い。

・自分史の顧客層を分析したデータがあった。50代から関心を持ち始め、70代から作ろうと決意するのでは、という推測。「70代以降の人口はこれからも増加していくので、将来性のある市場である」というフレーズは、自分史ライター養成講座の宣伝文句に使えそうだ。

・顧客に対して「残暑お見舞い」「年賀状」を送ると関係が続き、新たな顧客を紹介してもらえることも、とのアドバイス。

・本書のまとめに、「顧客と自分史ライターの信頼関係の構築が欠かせない」と結ばれている。将来、「わたしの物語」を広めていくためには、きちんとしたライターを養成し、フォローアップする仕組みが必要であろう。あるカメラマン会社では、次のような体制をとっている。「独り立ちするまでは、先輩カメラマンが同行」「納品前に先輩がチェック」「独り立ちした後も、定期的に先輩が困っていることはないか、サポートの電話をする」「必要な機材を本部が提供」「レタッチ部隊・顧客サポート部隊など、カメラマンをサポートする後方部隊がいる」……自分史作成サービス「わたしの物語」でも必要だろう。

<自分史白書2017>

・自費出版の歴史が書いてあった。自分史ライターはこんなこともスラスラと言えた方がいいのではないかと思われたので、まとめておく。

1985年:自費出版が盛んになる(戦争に行った人たちが定年を迎えたため。戦争体験記が流行)
1998年:団塊の世代による自分史が盛んに
2010年代:教養自分史(小説、エッセイ、俳句……)が盛んに

・かつての自費出版ブームではトラブルが続発。具体的には、文芸社(現在も営業中)と新風舎(2008年1月に倒産)である。詳細は百田尚樹氏の「夢を売る男」という小説に詳しいが、要は「文学賞詐欺」である。ちょっと古い業界人は皆知っていて、「自費出版=怪しい!」というイメージだったようだが、10年ひと昔というくらいで最近の人は意識していないようだ(私も2012年にこの業界に参入した新参者なので知らなかった・笑)。

・自費出版に関係したトラブルを減らすために「自費出版ネットワーク」という団体ができ、「自費出版契約ガイドライン事業者」というのを認定しているらしい。これを取得すると、「わたしの物語」のホームページでPRに使えるかもしれない。

・「戦前までは親から子へ、子から孫へ伝承し、受け継ぐという文化が定着していたから、それまでの人たちには書き残そうという姿勢があった。しかし最近は断捨離ブームなど、継承する文化が希薄になってる」このように本書が指摘している内容は、まさにその通りである。しかしながら、そのような風潮を苦々しく思っている層は、国内にも海外にもある程度存在する。それがまさに自分史作成サービスの顧客であろう。

・自分史ライターが自戒しなければならないことで、良いアドバイスが本書にあった。「顧客の話に感動して相手を美化して書いたら、顧客に『これは私ではない』と言われた」というエピソードだ。自分史ライターが顧客に共感し、興味を持って(身を乗り出すように)話を聞くのは当然だが、同時に冷静でなければならない。マニュアルに明記しておこう。

・「おや?(相手の話のピピッときたところに食いつく) まあ〜。(相手の話に相槌を打つ) へえ〜!(相手の話に感嘆する)」の取材三原則で話を聞き出す。

・オンデマンド印刷の自分史費用は30〜50万という相場観。プラス10〜20万するには、アップセルが必要か(家系図、写真ほか)。自分史活用アドバイザー同士で連携する必要もあるだろう。また、私にとっては「自分史ライター」も顧客と考えられる。彼らが働きやすい環境を提供し、彼らが面倒くさいと思うところを代行する仕組みを提供することで料金をいただく仕組みを構築しよう。

・本書に描かれた経営者の一周忌の記念誌事業。やれないことはないが、私が目指す「ビジネスの定型化」から外れているような気がする。効率が落ちそうなので、断るようにしよう。

・若い女性が自分史の取材をしたところ、「時代感覚がずれて話がかみ合わない」とクレームが顧客からついたという本書のエピソード。1985年なので、今から35年前だから今はそんなことを言う人は少ないかもしれない。おそらく、戦前と戦後教育の違いではないか。1945年以降生まれ(2020年現在で75歳以下)、正確には義務教育を戦後に受けた世代だから、1938年以降生まれ(2020年現在で82歳以下)は、だいたい現在の人と同じ感覚だと思われる。だいたい85歳以上の人をインタビューするときは若い女性ではなく、ある程度の年齢(40歳以上か?)の男性を担当させよう。

・かつては印刷会社を代理店にして、自分史作成(製本のみ)を広めた時代があったらしい。「わたしの物語」の相場観で印刷会社を使うと高いので、代理店は「個人(専業・副業のライター)」とする。

・先に「社会的な出来事・事件」を自分史に書く方法があったが、本書でもあった。「出来事・事件」の概要を述べた後、「そのとき私は……」と繋げれば良いそうだ。

・自分史の書き方として、「生い立ちから年次順」に書いた後、構成を変えるのがセオリーとのこと。冒頭にドラマチックな場面をおき、そこから回想して生い立ちから語る……と言うパターン。私もよくやる。冒頭に「機銃掃射を受け、間一髪助かるシーン」から、生い立ちへ。

・心に響く文章(自分史)の書き方テクニックとして、本書では「禁句」を決めろ、というアドバイスを載せている(例:「おいしい」と言わずに食べた感想を伝える)。ようは感覚や感情を表す常套句・形容詞で済ませるな、ということだろう。悲しい、楽しい、うれしい、美しいなどが例に挙げられていた。確かにこれらを使うと、小学生の作文「遠足に行きました。楽しかったです」になってしまいかねない。マニュアルに採用しよう。

・せっかくの自分史が「自慢史」になると他人に読んで貰えない。だから、お世話になった人のこと、具体的にどのようにお世話になったのか、エピソードを添えよう。自分史が「人生の感謝状」になれば万全であろう。

・夫婦、子供、親戚にもプライバシーがあるので、自分史での書き方には要注意。これもマニュアルに採用。

・「自分史事業者の現状を知り、穴場を見つけよう!」という記事があったのだが、あまり現状も穴場もわからない記事だった。どちらかというと、事業者のリストとアンケートやインタビュー、自分史を作った人へのアンケートやインタビューによる属性調査結果などが面白いのではないか。自分史白書の編集委員に立候補し、提案してみよう。

・自分史には、自分が嫌だと思うことを書く必要はない。←名言・金言である。「自分史ライターマニュアル」の冒頭に採用しよう。

・「宮本武蔵」を書いた作家、吉川英治が自分史に書いた名言がある。これは自分史作成サービスの宣伝文句に使えるのではないか。また、吉川英治クラスになると、自分史作成サービスの顧客がよく知る有名人に当てはまるのではないか。(吉川英治も自分史を作ってますよ、みたいな広告が作れる)「過去の親たちが歩いた泥ンコな道にも、振り返れば、これからの子が、ぬかるみを歩く用意の足しになるぐらいなものはあろう」

・自分史では幼少期の楽しかったこと、嬉しかったこと、そうしたことを教え与えてくれた人への感謝なども書き添えると良い。

・本書に「政治家の自分史は自慢史なのにイヤミがない」と書いてあった。残念ながらそのコツは分析されていないのだが、おそらく自慢できる業績を述べるとともに、その業績をあげる際に協力してくれた仲間や恩人のことを具体的エピソードと共に取り上げ、感謝の言葉を述べているので、自らの功績について語っているのに嫌味にならないのではないだろうか。これはインタビューで引き出し、自分史を書くときに使えるテクニックなので、マニュアルに掲載しよう。

・もう一つ、政治家の自分史を分析した内容として「一部で主張が全面に出すぎて興ざめ」とある。これはそのような主張や信条を持つに至った「具体的なエピソード、きっかけ」を添えて、自らの主張や心情を披露するような書きぶりにすれば良かったのではないか。これもインタビュー時に聞き出しておく必要があるので、インタビュー中に(……自慢が始まったな)と思ったら、使うべきテクニックとしてマニュアルに掲載しよう。

・中小企業経営者の自分史は社史になることも多く、その内容は「創業から事業の変遷を回顧」「事業承継に際しての次世代へのメッセージ」というものになる。経営者の人生哲学や経営理念を織り込む力が問われる。まあ、気負わずに「哲学は?」「大切にしてきたことは?」「判断基準は?」「次世代に伝えたいことは?」「御社の経営理念は?」「大切にしている価値観は?」「それが導かれた理由は? エピソードは? きっかけは?」と質問してみれば良いだろう。

・本書では自分史プラス社史の例として、「自分史+社史+経営論」という作品が挙げられていた。

・自分史は一人歩きするものなので、関係者が多い顧客の場合、自分史ライターは特に慎重に書く必要がある。

・自分史を製作する場合には、写真、手紙、日記を引用、掲載すると良い。

・自分史を作る理由として、「自分が今伝えておかなければ、子供や孫たちが祖先のことを知る機会がなくなってしまう」というポイントは大きい。

・自分史に家系図、墓石の文字を掲載するのも良い。本書で紹介されたように、自分史作りを通じて疎遠になっていた親戚を訪ねた人もいるなど、家族同士の絆を再びつなぎ、記録にとどめ、次世代に伝える重要な役割を自分史は果たしている。
・自分史を作る理由「生きた証」を残したい。70代を過ぎたあたりから、「今のうちに自分の体験したことを書き残しておきたい」「自分の親や祖先のことを子供や孫たちに伝えておきたい」といった使命感が沸き起こる。

・生前葬で自分史が使われた事例もあるが、かなり特殊ケースだろうから、自分史作成ビジネスでは無視して良いだろう(日本で開催される生前葬って、年間何件だろうか?)。

・「自分史」のうさんくささを払拭する方法として、本書では下記の方法が提案されている。

*実際に製作された本を見せる
*自分史活用推進協議会という団体があり、三越で展示会を何度もやった
*朝日新聞や読売新聞も全面広告で自分史を取り上げている
*社会現象として一つのムーブメントになっている

・自分史を作るメリットとして、本書では次のポイントが挙げられていた。これら「自分史作りの先にあるエピソード」を本とともに、伝えると良いという考え。

*親子の関係が良くなった
*自分が知らなかった親の歴史を知ることができた
*親孝行ができた
*罪滅ぼしができた

・「自分史」を書くほどの人生じゃないという人には→空襲体験、戦争体験など実際の自分史で取り上げられた題材を紹介すると、「あ、そういうことを書けばいいのか」となる。

・「お金がかかるでしょ」という人には、自分のイメージに見合った金額で作る方法がありますよ、と伝える。

・有名な小説家に自分史を頼んだら、あまりにも波乱万丈かつ自慢のオンパレードで、恥ずかしくて人に見せられないものになってしまった。これは顧客が周りの人に配っても恥をかかないようにするという配慮がライターになかったため。顧客をリスペクトするとは、自慢話をさらに脚色して大げさにすることではない、ということが本書に書かれていた。面白いのでマニュアルに採用する。

・自分史作成サービスは自分の地元の中小企業経営者に、社史と自分史の両面で営業をかけるといい、というアドバイス。

・著名人と一緒に写っている写真は著作権に引っかかる可能性も。

・自分史で他人を傷つけてはいけない←マニュアル採用

<自分史白書2018>

・自分史を製作する際、顧客と思い出の場所に行くとエピソードが広がる。まあ、予算による(それほど交通費がかからないなら、行ってみてもいいだろう)

・本書の自分史作成手順「人生の節目を聞き出して、自分史の仮構成を立てる。その上で、それぞれの節目の中で、どのような出来事や体験、出会いがあったのか、それが主人公の人生にどのような影響をもたらしたのかを聞いていく」←生い立ちから順に聞くパターンより難しい? 最初の打ち合わせで、特に書きたいテーマや時代は聞き出しておこう。

・良い文章は「共感」と「発見」が必要。「読み手にとって、主人公が身近な存在に感じられること」が「共感」。「読み手の知らない情報が文章に盛り込まれていること」が「発見」。

・「先祖を訪ねる」というドキュメント記事が面白かった。面白かったポイントは以下の通り。

*役所で戸籍を入手する際は、「先祖供養のため」ということ。「ルーツを調べている」は発行を断られる。
*地元の図書館は地元の人物や建物について、無料で色々調べてくれる。
*先祖の出身地に行くと、ワクワクするらしい。

・自分史を図書館に寄贈することで、作者が生きた時代の様子を知ることができる貴重な資料を後世の人たちに残せる。自分史を作ることは高い公共性を持った取り組みである、というのは良い宣伝文句になりそう。

<自分史白書2019>

・自分史は方言で作るのもあり。大いにあり。

・経営者の自分史は、メッセージが社員に真っすぐ伝わる構成にする必要がある。そのために経営者の生い立ちは後ろに回し、会社のスタートから始める。原稿は社内の人間にも読んでもらった方が良い。この本を周年記念パーティーで配る場合は事前に参加者に配布し、読んでもらってからパーティーに来てもらうと話が弾む。自分史を作ることで後継者と社員、そして社外の関係者にも事業承継のために必要なメッセージを届けられる。

・自分史を作ることで、事業承継において最も大切な「経営理念」を承継できる。1人の後継者だけに伝えるのではなく、社員や関係者も手にとって読むことができる。だから、事業承継を考える経営者は自分史を作った方が良い。

・東日本大震災の教訓「記録は流されても、記憶は流されない」

・写真の整理方法や預かり方法をマニュアルで規定しよう。輪ゴム、小箱、付箋紙が三種の神器らしい。

・画像をスキャンする場合は、プリント写真の段階で時系列に並べ替えてからスキャンすること。あとからファイル名を付け替えるのは大変。

・自分史は面白い必要はない。面白さは顧客の生き様、その人らしさから滲み出すもの。

・自分史を作成する場合、ライターは最初に親族の説明を受け、概略の家系図を書いてから話を聞くこと。そうしなければ、インタビューに登場する親族の相関関係がわからなくなるので注意。マニュアル採用。

・本書でリスト化されているように、自分史を取り上げた小説や映画は意外と多い。特に松本清張の「強き蟻」は参考になりそう。

今回紹介した白書には、いろいろと自分史作成に参考になる情報が大量にあった。そのなかでは触れられていなかったが、私自身が大切にしたいと考えているのは「読みやすさ」だ。読者(これには顧客、主人公も含まれる)が読んでスッと頭に入ってくるように書く。難しい言葉や漢字はあまり使わない。そんな素直な文章を書くことも、自分史作成サービスにとって大切な技術ではないだろうか。

(終わり)


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