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Light Infantryあれこれ話

こんにちは、isonosukeです。
この記事は自作ゲーム「Light Infantry」についての色々な事を書いたものです。
ネタバレとなる内容もあります。ご注意ください。
また、RTAで使用されるテクニックなどについても触れていくので、RiJのアーカイブやRTA動画などをご覧いただくとわかりやすいと思います。


はじめに・お礼など

昨年末、RTA in Japanにて「Light Infantry」のスピードランが行われました。
多くの人の目に止まる事になり、非常にありがたい話です。
走者・解説者のお二人を始め、早期にRTAを走ってくださった方達、他にもプレイされたストリーマーの方、クラウドファンディングへのご協力をして頂いた皆様、もちろん普通にプレイして頂いた方達も含めて、皆さんのお陰でこういう場に恵まれたと思います。ありがとうございます。

さて、以下に続く内容は、こういった大きな場で紹介をされた時に書こうと考えていた、Light Infantryの裏側のアレコレです。
かなり踏み込んだ、プレイヤーへの狙いやこだわり、仕様なども含めた話なので野暮な内容も多く、そういうの萎えるわ…という人は読まなかった事にして頂ければ幸いです。

このゲームのテーマについて

このゲームのテーマは大きく2つあります。
表テーマは
「能力を駆使してひどい絵面を楽しむ高難易度アクションゲーム」
そして裏テーマは
「それを更に用いた、「バグ技」の発見を楽しむゲーム」
です。
といっても、「裏テーマに気づくほうがプレイヤーとして上等!最大限に楽しんでいる!」という思惑は全く無いです。
バグ技を知らなくても、時オカやムジュラの魅力が損なわれる事は無いですよね。そんな感じ。

タイトル画面(嘘)

当初、「バグを題材にしたゲームを作ろう!」という事で表テーマのみで絵面の面白さを優先に作っていたのですが、
バグ技というか、能力がバグっぽく見えるだけではないか?
と思い、一年近く作っていたシステムを解体して作り直す事になりました。

今でも色んなゲームでバグ技というものが編み出されていますが、それを動画で見たり、自分で再現する人はいても、自分で発見してそれを攻略に活かすという経験はしたことが無い人がほどんどだと思います。
そういう、独力によるバグの発見という点を狙ってゲームそのものに組み込めないか、というのが裏テーマになります。
また、バグそのものが題材になので、バグ技を用いた攻略への引け目や非正規ルート感などを取り除いてバグ技を使えるのではないか、という思いがありました。

ゲームシステムと「おじさん」の独立性

このゲームを作成するに当たって気をつけたのが、バグの神様であるおじさんのシステムを完全に独立させる事でした。これは言い換えると、おじさんという存在をゲームシステムから抹消してもこのゲームは正常に動くという事です。
あくまでおじさんは外部から干渉するチートやウイルスの類であって、ゲームの一部ではあるべきでは無いと思ったのです。内部の処理的にも。
よって、作中にも述べている通り、おじさんが提供する能力は、外部から呼び出し可能な機能の悪用であって、どれもこのために作られたものでは無いわけです。
ブロック変化は敵グラフィックのアニメーションのためのものだし、
自機の無重力化やブロック生成はステージ生成時の処理に使うものです。
おそらくプレイヤーのみなさんが感じたであろう、
「なんで一発弾を撃たないと能力使えないんじゃい!」
という部分も、そこらへんの仕様から来ています。開発側の都合を言われても…という話ではありますけどね。

そして、おじさんの代わりにチートツールを制作して入れた場合、同様に機能します。故に敵キャラは常に「ズルした事」に対してのみ言及してくる。
バグの神様が居ない本来のお話は、
軽装歩兵に撃たれて倒れる残念な男の物語。で終わりという事です。

ゲームプロジェクトにおけるおじさんコンポーネント。
これを消すとおじさんがまるごと消失する。

ちなみに、おじさんのモデルについてですが、
グラフィックについては自分の顔にジジイフィルターをかけたものを参考にして、キャラ性については宇宙人討滅人のオジサンを参考にしています。
どっかのゴルフの人みたいになったのは偶然です。

ステージスキップについて

意図的にクリアフラグを生み出すステージスキップですが、裏テーマにおける一番の目玉商品でもありました。
いかにさり気なく、気づける形にできるかという仕組みづくりをするわけですが、おじさんに与えられた攻撃方法(以下、「バグ攻撃」)によるブロックの変化というのはちょっとした法則があり、それに基づけばクリア判定のあるブロックを認識しやすくしています(SNS上で指摘されている方もいました)。
RiJでも特に話題に上った敵キャラの犬も気づくための仕組みの一つでした。
犬はその特性上、何度も、時には連続でバグ攻撃を食らわせる事が多いです。
その内に偶然クリア判定に引っかかったり、ちょっとした法則に気づいたりするような変化の仕組みを、ゲーム開発環境的にも自然な流れで組み込めるようにしていました。

ステージ2のタイルセットの一部 扱いやすい形に整えている。
「ア」は「物理判定アリ」、「ナ」は「物理判定ナシ」

空中浮遊とブロック生成

空中浮遊

能力を貰う切っ掛けの地雷地帯は頑張れば突破できてしまいます、が、それ以降のステージも(めちゃくちゃ)頑張れば空中浮遊ナシで突破できます。
ブロック生成の時についでに空中浮遊も貰えるのでそこまでとなりますが、想定内のプレイ方法となっていました。
頑張って地雷を消した人へのスペシャル特典縛りプレイ…と思ったのですが、あまりスペシャル特典じゃなさそうでした。

ブロック生成

RiJの際に解説されていたのですが、FPS依存の挙動になります。
偶に僕もよく分からなくなりますが、それが気に入って採用しました。
真横に移動できる場合と、下にめり込んでしまう場合を考えて隔壁があるステージの突破方法が2種類になるようになっています。

キャラクター達について

おじさんとの会話パートはあくまで一歩引いたメタ会話であり、物語を回すのは自然と敵キャラクターになるので、できるだけキャラが立つようにしました。特徴的なキャラクター達ができてうまくいったと思います。

戦闘力トップ3(たぶん)

キチンと死ぬ描写が多かったと思いますが、普通に悪いことをしているので報いは受けてもらいました。悪の帝国だからね。
以下ふわっと決めていた裏設定です。公式が勝手に言っているだけです。

・牛頭
任務遂行における民間人の虐殺、敵兵の拷問、自軍兵士の使い潰し
・奇術師
快楽目的の殺人(遊園地に一般人を開放してその観察をしていた)
・現場監督
危険作業の強制、パワハラ、暴力行為を伴う地上げ
・将軍
自治区に平安~江戸の武士成分をミックスしたオリジナル法令を強制した。
・技師長
目的を知った上での自主的な技術供与、生命の危険を伴う人体実験。
・帝王
これらの行為の教唆、国家転覆。

ボツネタいろいろ

初めはおじさんが積極的にストーリーに関与する予定でした。
敵から隠れるシーンでぶっ込んで来てバレたり

隠れてる所を
ドーン

ボスを倒したものの上に吹っ飛んで戻れないのを助けに来たり

実寸はでかい神様

後はプレイ中にもリアルタイムでチャチャを入れる予定でした。

OAS(Ojisan Advice System)
読み飛ばしやプレイの邪魔になる可能性があったのと、調整が難しかったのでボツ

ライバルキャラも作る予定でした。ラスボスの原型です。

俺は………お前だ…

実はこいつも旧ブラックソルジャーという設定でした。
死亡後に博士が回収して、復活・改造を繰り返す内に感情が死んでいき、忠実な戦闘マシーンになる…という計画だったのがバグの神様が介入する事によってズレが生じたという話です。最初の銃が弱いのもそこらへんの伏線でした。
着地所を見失いボツになりました。

また、シナリオには他にもボツ案があり、それは
「帝王には相手の能力を吸収する力があって、それでバグの力を吸ってしまい暴走する」
というものでした。
実は生きてたボス幹部達と力をあわせて世界の崩壊を防ぐ…という話でしたが、結果的にボツになりシンプルなストーリーになりました。それでよかったと思います。

本当にバグ

クリア後のタイムアタックモードにおいて、テキスト周りのバグがありましたが、まあ本編は無事に終わったしええやろ…と思って放流しました。


速攻でバレました。すいません。
今もアプデする気は無いです。すいません。
自由に罵ってください。

問題点

上記のバグとは別に、ゲームデザインとして問題になる所や改善すべき所もありました。

ゲームシステムの不親切さ

特にボスの攻略周りについて問題がありました。
例えばダークソウルは高難易度ゲーとして知られていますが、とりあえず突っ込んで攻撃を当てるだけでもHPバーが減り、クリアに一歩近づくわけです

しかしこのゲームは、おじさんのテキストを読み飛ばすとボスの攻略方法が全く分からなくなり、高難易度とは別軸の「不親切さ」が目立ったな、と思います。また、仕様をある程度理解する必要があり、前提となる部分が多かったと思います。
攻略の方法さえ分かれば相手のパターンを見きって攻撃を叩き込む、覚え型の高難易度ゲーには仕上がりましたが、そこまでの導入をスムーズにできなかったな、という所がありました。

「バグ」を題材とする事の難しさ

当初はとりあえずノリでトレーラーを出したら数字が良かったのでクラウドファンディングもやってリリースまで走り切るぜ!という感じでしたが、冷静になると、「バグ技を狙って出すゲームだとしたら、それはバグ技では無いのでは」という感じになり、難しいなと思いました。
また、ボツになった案の一つには、本当に一見クリア不可能なゲームを作る、という案がありました。
別アカウントでYoutubeに攻略動画やバグ技を上げておき、詰まった人が検索した時にそれをヒントにしてもらうというメディアミックス的な展開を考えていましたが、購入者の騙し討ちみたいになるのでボツにしました。
なんとか自分的にはまとまったと思いますが、そもそもこの「バグで攻略」というものは色々な要素が偶然重なり合った結果生まれるもので、人によってこの「バグ」というものの受け取り方も変わってくるので、おいそれと見た目と字面の派手さでバ~ンと打ち出すものじゃないなあ、と反省してます。

難易度調整

協力してもらったのは動作確認程度くらいのもんで、ほぼ一人でデバッグまで済ませたら難易度調整がちょっとムチャクチャになりました。
今度はうまくやります。

最後に

そんな感じで、色々な経験になったゲーム制作でした。
これからもプレイしてくれる人もいるでしょうし、ええ…何それ…?本当に知らん…みたいな攻略を見せてくれる人もいるかも知れません。楽しみです。
(というか気づいてなかったクリアフラグの出し方とか、ブロック高速移動の精度とかには普通にビビってます)
現在、音楽活動の方がメインになっていますが、これからもゲーム制作はしていく予定です。たまに案を練ったり、試作を作ってボツにしたり、ぼちぼちやってますので気長にお待ち下さい。
ここまでご覧いただきありがとうございました。

isonosuke


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