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みんユルクロニクル#14 『思索と構築Ⅳ:午前3時の路上』

※前回までのお話はこちら。みんユルクロニクル#13『選択と構築Ⅲ:冒険者たち』

もう少しマシな理由

2020年5月30日 土曜日

 この日も朝から渋谷へ。今週はずっと同じ場所に通いっぱなしだった。一応おれは会社員なのだが、日々違う場所で作業をしているので、毎日同じ場所に通う生活、というのは割と新鮮だった。昨日の宿題であるオープニングの方針は、当然のことながらまだ決まっていなかった。

 よく、クリエイターのインタビューなどを読んでいると、日常のふとした時になにかを思いついたり、トイレやお風呂でアイデアが浮かんだり、などというエピソードを目にするが、おれはそういうの皆無である。家中にメモ帳が置いてあって、思いついたらすぐメモるんです、みたいなシュッとしたかんじ、超憧れるのだが、全然ない。

 昔からそうなのだが、白い紙を目の前にして、さあ考えよう!と思わないとなにひとつ思い浮かばないのだ。ぼくにとってアイデアとは、白い紙(いまはタブレットだが)を目の前に髪を振り乱し、歯軋りをしながら脳味噌を振り絞り、苦悶の末にようやく舞い降りるものなのだ。元来、集中力がなく、自分に甘い性格なので、なにもない状況に追い込まれないと徹底的にサボり続ける。いや、時にはなにもない状況に追い込んでもサボることすらある。理由はよくわからない。とにかく締め切りぎりぎりになり、やらないと本当に職を失うぞ、というタイミングになるまではサボり続けるのである。それでも、やらなきゃというプレッシャーまでなくなるわけではないので、やらなきゃまずい、という強迫観念に狩られながらサボる、という行為と、かれこれ20年近く戦い続けていることになる。まさに、夏休みの終わりのような毎日である。
 本当はモノを作る仕事は向いていないんじゃないだろうか、と思うのだが、これ以外やらずにここまで来てしまったので、時すでに遅しである。いや、そんなことはどうでもいい。マジ本当にどうでもいい。

 とにかく、この朝、オープニングが思いつかないことに関して、ちょっとづつ感じていたプレッシャーは、もはや完全に焦りとなっていた。なにしろ、編集室が使えるのは泣いても笑っても今日1日しかない。おれはどんよりとした焦燥感を抱えながら自転車を漕ぎ続けた。

 編集室に着き、今日の作業が始まる。一日寝かせてもう一度つなぎを見てみると、色々気になる部分が出てくる。そのへんの修正から作業が始まった。触れば触るだけよくなる系のブラッシュアップ作業を続けた。オープニングの方向性の部分を除けば、編集は概ねいい方向に進んでいる、と言えた。いいものが出来つつあることは確信できていたし、さらによくなる自信もあった。

 おれは感動系ディレクターと呼ばれることが多い。一応業界内では、泣ける映像が得意なやつ、ということになっている。と思う。それは、この作品がブレイクした時についたイメージだ。実際自分でも得意だと思っているし、この方向性は好きである。もともとおれはポエミーなことや夢見がちなことも平気で垂れ流せるロマンチック野郎なのである。そのポエム力を生かしてくれ、と言われて、こんな作品を作らせて頂いたりもした。自分で書いた言葉を松坂桃李さんに読んで頂けたのは嬉しかった。おれの一人称は、すべて松坂桃李さんの声で脳内再生して頂ければ幸いである。

 そういう意味では、東京ガスさんのCMを演出するのがふたつの意味で夢!演出させて頂けたらこの仕事やめてもいい!とずっと言い続けているのだが、オファーが全然来ない。だから向いてないかもしんないと思いつつ、この仕事を全然やめられずにいるのだ。何卒よろしくお願いします!

 まあ、そういった作風だから、どちらかと言うとドラマ系の作品でオファーをいただくことが多いのだが、最近あることに気づいた。泣かすつもりで演出してるわけじゃないのに、なぜか泣けた、と言われるケースが結構ある、ということに。明るい内容で、全然湿っぽくないのに、泣けたと言われるのだ。正直、なぜなのかはわからないのだが、みんユルもそんなふうになるんじゃないか、という予感はしていた。

 たびたび、アタマどうしますかねー?とプレッシャーをかけて来るエディターの言葉を躱しながら、編集は進んでいく。この日の山場は、ラストのマルチ部分だった。運転する謎のノンラー男のサインをきっかけに、4面、9面、16面、121面とマルチ画面が増えていく。16の次がいきなり121なのは、1、2、3、いっぱい、みたいなことだ。これを並べるのは一見大変そうに見えるのだが、我々はプロである。ひとつひとつ並べるようなことはしない。便利なプラグインを躊躇なく使い、それほど苦労せずに完成する。こういうこと、本当は書かない方がありがたみがあるのだが、正直なので書いてしまう。

 マルチを多用しないことは最初から決めていたが、逆に言えば、最後は絶対にマルチにすることも決めていた。ちーかまさんが作った最後の盛り上がりには、スケール感が絶対に必要だったからだ。おれらの業界で、スケール感のある派手な画のことをビッグビジュアルと呼ぶのだが、まさにこれがそれだ。エンディングが出来上がったことにより、残すはついに先送り、先送りにしていたオープニングだけになってしまった。いよいよ、職を失う寸前、といった心持ちである。

GET UP AND DANCE!

すべての戦う人に、リスペクトをこめて。

 サマリーシートから抽出したコピーを受けて、歌がスタートすることだけは決めていたが、その手前のイントロ部分がどうにも決まらない。

 なんかダッサいエフェクトかけてみたりとか、色々と試行錯誤はしてみるのだが、どうにも全然しっくりこない。エディターからのプレッシャーはどんどんキツくなる。おれはかなり追い詰められていた。だがしかし、ヒントは意外なところに隠されていた。

 実はこの編集と並行しながら、みたけさん、獣さんを中心に、不備のある応募素材の再送や、追加の素材についてのやりとりが進められていた。その中で、ある一人の方から、参加できなかった奥様の名前をクレジット出来ないか?という相談をみたけさんが受けていた。もちろんそれはそれでも構わないのだが、おれとしては、どうせならなんとか頑張って映像を撮影してもらい、作品の中に映像として残ってもらいたかった。
 その方とは個人的にやりとりをさせていただき、かなり無理を言って撮影してもらった素材が、この時届くことになっていた。

 新しく届いた素材を編集機に取り込んでもらう。その時、ふと思ったのだ。あれ?この素材なんか他と違うぞ?と。
 一瞬なにが違うのかわからなかったが、すぐに気づいた。送られてきたばかりで編集していないこの素材には、当然のことながら前後に余尺が付いたままだったのだ。昨日、今日と編集してきたタイムライン上にある素材は、レイヤーを重ねた際に、リップとは関係ない部分をカットしてあった。ずっとその状態を見ながら編集していたので失念していたのだが、それぞれの素材には使っていないオフショットの部分があったのだ。

 慌てて素材を確認してみる。するとそこには、歌以外のオフショットが大量にあった。腕を伸ばして録画ボタンを押す様子や、スマホを据えてから所定の場所に行くまでの様子、歌う準備を整える姿などが、当然のことながらきちんと撮影され、素材に入っている。これに気付かなかったのは、本当にマヌケ極まりない。

やったぜ!これだ。一気にオープニングのプランが出来上がる。歌う準備をする参加者の方々を連ねたら、これ以上オープニングにふさわしい構成はないじゃないか!一気に筋道が開けた。完全に行き当たりばったりで本当に恥ずかしいのだが、最高に気持ちいい瞬間だ。

 もう一度、素材を洗い直し、構成を作っていく。すべての素材を探した結果、ベストだと思えたのは、アコギを演奏してくれたこの方だった。黒バックにコピーが入った後…

画面を覆っていた手が離れていき…

ギター侍が姿を現し…

 照明の光源が見えて、ハレーションが入る!おお!いいじゃん!なんかカッコイイ幕開けになった気がするぞ!さらに、つぎつぎと準備をしていく参加者の皆さま。起きろ!さあ!やるぜ!まるで気合いのスイッチを次々入れて行っているようだ。

そして、最後にドロンパサングラスを装着!

 まるでウルトラセブンに変身する、モロボシダンみたいだ!まさに戦闘態勢が整った!という感じじゃないか?

 ブレイクスルーとは、まさにこういうことをいうんだと思った。追加で送られてきた映像をヒントに、一気にオープニングが出来上がってしまった。編集作業のカタルシスはこういうところにある。

 ここまで来れば、ほとんど完成したも同然!そう調子に乗りかけたところで、エディターが提案してくる。

Editor:「最後のロゴ、アニメーションすんのどっすか?」

 そういうと、彼はAfter Effectsでoomiさんのロゴを動かし、アニメーションを作り始めた。ちなみにおれはアフター全然使えません。こういう部分でプロの技をチラ見せする感じは嫌いじゃない。

 彼が最初に作ったアニメーションは、マフラーを広がり、文字が決まるだけの動きだった。これでも十分いい感じだったのだが、少しだけアレンジを加えてもらった。煙のアニメーションを足して、たぬきが化けるようなイメージにしたかったのである。ドロンパ!っと。東京といえば当然たぬきなのである。121面マルチの後に、ロゴがアニメーションして終わるエンディング。めっちゃよくなった!と思っていたのだが、もうひとアレンジ加わることにした。ロゴが決まる手前に、マフラーを掲げるアクションのある参加者の画を1カット増やした。

 中盤でビールを掲げていたこの方に、大トリを勤めていただくことにした。マフラーを掲げるアクション自体は他にもやっている方がいたのだが、掲げるスピード、やってやった感溢れる表情など、オーラスにふさわしい。この方おいしすぎるな、とは思いつつ、参加者を代表して頂いた。まさに止めの一撃。これにより掲げたマフラーがロゴに化ける、という一連の動きがつながった。ちーかまさんが作った最後のジャン!をかなり効かせたエンディングになったと思う。自我自賛するのは寒いのだが、この終わり方、マジでいいと思うんですよね。かなり気に入ってます。

 さあ、これでついにアタマからケツまで、ひととおり構成が出来上がった。二週間に及ぶ日々が結実した瞬間であり、感無量、と言えなくもない気分だった。最後に気持ちのいいブレイクスルーがあったおかげで、なんというかやたらと爽やかな気分だった。

 それでも、こんな時に完成した!と言わないのは、この手の編集には終わりがないからである。再生すればするだけ気になる部分が出てくるし、いくらでもいじれてしまう。締め切りのない状態のままでは際限なく作業してしまう。編集室での作業はこの日までだったが、ここから先は自宅での作業になるので、よりいっそう自由に出来てしまう。だから、公開日を決める必要がある。ここまで公開日に関してはビビって触れずに来たのだが、ついにDMグループでそのことに関して言及する時が来た。

 こう書いてはいたものの、まだタイトル要素も入っておらず、音楽も最終盤ではなかった。ここらへんはoomiさんとちーかまさんの具合次第でもあり、おれひとりで決められることではない。特に、参加者全員をクレジットしたエンドロールの制作がもっとも大変な作業だった。この日の編集の裏で獣さんとoomiさんが中心となって参加者リストが作られていたが、その作業は難航している様子だった。

 もう一度、最終試写という名目で編集を最初から最後まで確認する。よし。この時点で思いつく限りのことは全てやった感があった。確認を終えて、エディターと会話する。

isomix:「どう思う?」
Editor:「いや、めっちゃいいと思います」
isomix:「FC東京興味ない人から見ても?」
Editor:「そっすね。ぼくはずっとそういう目線でつないでるんで。逆にサポーター目線とかは無理なんで」
isomix:「そりゃそうか」
Editor:「普通の人目線でグッと来る感じになってると思いますよ、マジで」
isomix:「やっぱ表情とかなのかなー」
Editor:「たぶんそれデカいっす。やらされてる感がまったくないんですよね、この人たち」
isomix:「あーたしかに。全員自主的に参加してるからね。間違いなくチーム愛すごい人たちだし」
Editor:「あ、でもちっちゃい子とかでやる気ない子もいるんですけど、それはそれでリアルでいいんすよね」
isomix:「たぶん、全体的にリアルだからいいんだよな。嘘がなくて」
Editor:「普通、企画っぽくなりがちなんですけどね」
isomix:「ちなみにさあ、東京サポーターってどう見えた?」
Editor:「アホだと思いました。いい意味で。弾けてんなーって。サポーターっていうと、なんかフーリガンっぽい恐いの想像してたんすけどね。他のチームもこんなかんじなんすか?」
isomix:「あーよくわかんないけど、恐いところは恐いのかな?東京にもいろんな人いるけどね。けど恐いってかんじはあんまないかもな。コロナ終わったら来てみりゃいいじゃん、味スタ」
Editor:「あ、それは考えとくっす!」
isomix:「おれ初めての人を連れてく時はチケットとマフラー、最初のビール一杯は奢ることにしてるから」
Editor:「行くときは連絡します!」
isomix:「絶対来る気ねーだろ…」
Editor:「まあまあ、けどいいの出来てよかったっすわ」
isomix:「あーホント。マジありがとな。めっちゃ助かったわ」
Editor:「貸しにしとくんで!」

AM3:00

2020年5月31日 日曜日 午前3:00

 ここから先の調整は自分のPCで行うことになる。それが出来るレベルの軽いプロジェクトファイルを作るため、エディターがデータを整理を始めた。素材数が多いので、それだけでも膨大な時間がかかった。結局、データ整理が終わったのは午前3時を回っていた。

 おれはエディターにもう一度礼を言うと、気分良く自転車で自宅を目指した。深夜の代官山を走りながら考える。思えば、このプロジェクトが立ち上がったのは、ほんの2週間前のことだった。あのときはどうなることかわからないまま、自転車を漕いでいた。今日もあのときと同じようにペダルを踏んでいたが、おれの鞄の中のSSDには、つなぎたての編集素材が入っている。しかも、今夜は自転車の充電が十分に残っている。疲れてはいたが、晴れやかな気分だった。

 ふと、目の前の信号が赤になった。路上には誰もいなかったし、車も走っていなかったが、おれはきちんと信号を守って止まった。2週間前、青梅街道と環八が交差する四面道の交差点で、みたけさんに参加表明するリプライを送ったんだよな。そんなことをぼんやりと考えていた。なんせおれはロマンチック野郎なのだ。

 信号が青になった。おれは鼻歌を口ずさみながら自転車を再び漕ぎ始めた。今日1日、いや、この2週間聴きっぱなしだった歌を。

When you walk through a storm
Hold your head up high
And don't be afraid of the dark

 帰宅すると、自宅の環境でシーケンスが動くことを確認すると、スタッフ確認用に書き出し、YouTubeに限定公開した。

 もう朝だったので、リアクションは待たずに寝た。ビビっていたせいでもある。どんな作品であってもそうなのだが、編集した映像は、一般公開やオンエアよりも、一番最初にスタッフに見てもらう段階が一番緊張するのだ。それまでは作品に入り込んで作業し、当然いいと思ったものを見せるのだが、必ず、全然間違った方向に突っ走ってたらどうしよう、とか思ってビビるのだ。

 ぼくは寝た。本当にちょっとだった。みんなからのリアクションが気になって起きてしまう。小物である。

 直感的に反応してくれるちーかまさんと、言葉にしてくれるoomiさん。こういうふうに反応してもらえると一気に安心する。超アガる。おれは褒められて伸びるタイプなのだ。さらに、oomiさんが今後のスケジュールについてまとめてくれていた。

 この日に公開という目は厳しそうだな、と思った。oomiさんが言う通り、参加者のリスト化が完了していないこの時点では、もう2〜3日程度は必要だ。さらに、みたけさんから。

 今グループDMを読み返してみたら、みたけさん編集の感想を言ってくれていない!意外とドライな反応だったんだな、と思ったのだが、公式の方ではちゃんとリアクションしてくれていた。

 ちなみに、さきほどのDM内でみたけさんが言及していることが、このプロジェクト全体を通した、おれの一番のやらかしの発端になっている。残る獣さんは?と思ったのだがこの時、獣さんは体調を崩されていた。

 この後、体調を崩しているにも関わらず、獣さんにはとんでもない苦労をおかけしてしまうことになってしまうのだが、この時点ではまだなにが起こっているかを把握している者はいなかった。

終わりへと走り出そう

 この時点では、この後の作業ボリュームから逆算し、3日後の6月3日20時に公開という流れになっていた。ただし、6月3日という日付にはなんのストーリーもなかったので、なにか後付けでこじつけられないかと散々調べたのだが、ムーミンしか見つからなかった。oomiさんにはみんユル本篇のタイトルまわりの制作、という大きな仕事が残っていたのだが、同時にカウントダウングラフィックも作らなくてはならない。

 6月3日公開!に決定しかかっていたところで、oomiさんがあることに気づいた。Jリーグの再開日が7月4日である、という死ぬほどキャッチーな事実に。公開日を一日ずらした6月4日にすれば、再開のちょうど1ヶ月前、ということになるのだ。

ブラボー!こんなに美しい日、他にあるか?またしても行き当たりばったりながら、完璧なストーリーが出来上がった。スケジュールが決まったのなら、即公式からリリースしなくては!

 さらに、昨夜送った編集を見たちーかまさんから、こんな提案があった。

 このオーダーを受けたoomiさんが、さっそくエンドクレジットを仮組みしてくれた。

 いやはや、すごい分量である。アカウント名だけでこの分量で、この後家族分などが増えていけば相当な人数になる。そう考えると、エンディングはやはりロールタイトルにしないととても納まりそうになかった。だとすると、エピローグ的に音楽をつけないと間がまったく持たない。普通なら音楽どうしよう…と悩むところなのだが、カジュアルに曲を作ってくれる、というちーかまさんの頼もしさたるや!本当にこのチームは仕事をしやすい。

 全然関係ないが、あまりにもしやすいので、プロジェクト終了後、oomiさんとちーかまさんには本当に仕事を頼んでしまいました。みんユルで見せた勘の良さとセンス、そしてスピード感は健在でした。

 午後になって、oomiさんから公開日決定グラフィックが上がってきた。

 ついに、公開日をリリース出来る。しかも時間的な余裕はたっぷりあって、予定していた作業だけではなく、ブラッシュアップする余裕も十分にありそうだった。編集が出来ている余裕から、ぼくはこの日、だいぶ早い時間から一杯やっていたことを告白しよう。一杯どころではなかったことも告白したい。ビール、缶酎ハイ、焼酎水割りと順調に飲み続けた結果、20時のリリースが近づくころには、だいぶ出来上がっていた。

  このあたりは、かなり酔っ払った挙句のツイートである。妙なこと呟かなくて本当によかった。余談ではあるが、みんユルプロジェクトを通して、ツイートの内容には本当に気を使っていた。普段からネット上にネガティブなことは書かない主義だったし、意見の分かれそうな政治的なツイートなども不断の努力をもって我慢している。また「喧嘩は拳の届く距離で」というポリシーもあり、ネット上での争いは徹底して避けている。…のだが、Twitterの教則本1ページ目に書いてあるとおり、酔っぱらった時のツイートが恐ろしい。みんユルのスタッフが変な発言をしていたら、参加者の方にも迷惑がかかってしまう。

 油断している間に、いつの間にかリリースの時間が迫ってくる。

そして。

 みたけさんにより、公式から公開日が発表された。これでもう、逃げ場はなくなった。ただし、正直な話、この時点ではかなりの余裕があった。ぼくは参加者の方々の反応を眺めながら、泥酔ゆえの眠りについた。ここまで飲んだのは、この2週間で初めてかもな、とか思いつつ。

 みんユル公開までは、あと4日。映像はほぼ完成していて、あとは詰めるだけ。すっかり油断していたぼくらに、まさかこの後、あんなに恐ろしい最後の戦いが待っていようとは、想像だにしていなかった。

【#14 おわり】

 公開日も決定し、ほっこりしていたスタッフ陣を、突如襲った恐怖とは。クライマックス寸前に起こった問題に挑む、第15話!ちーかまさんによる、エンディング曲の別候補も公開しちゃいます!次回、みんユルクロニクル#15 『Closer to the Edit』をお楽しみに。

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