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日本人の食事摂取基準(2025年版)案 その6(策定の留意事項)

今回から「3 策定の留意事項」に入ります。
17〜23ページ(7ページ分)です

今回は、前半の4ページ分です。

3-1 摂取源

基本的には、経口摂取される通常の食品を対象としています。
しかし、耐容上限量については、いわゆる健康食品やサプリメントも含んでいます。

基本は通常の食品を対象としますが、
胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために
①妊娠を計画している女性
②妊娠の可能性がある女性
③妊娠初期の女性
に付加する葉酸に限り、
いわゆる健康食品やサプリメントに含まれる葉酸の摂取についても提示しています。

3-2 摂取期間

食事摂取基準の基準値は「1日当たり」です。
しかし、毎日その「1日当たり」の量を摂取しないといけないという意味ではありません。

では、どれくらいの期間でその「1日当たり」を満たせていたらよいか。
おおむね「1ヶ月程度」で考えたら良さそうです(しかし、この1ヶ月は極めて大雑把に考えた時のおおよそです。)。

だいたい1ヶ月程度が良さそうなのですが、栄養素の中には、ナトリウムの過剰摂取のよる血圧上昇のように数十年間にわたる栄養管理が必要となるものもあります。

よって、栄養素やその目的により考える摂取期間は大きく異なると考えられます。

生活習慣病などは数年〜数十年単位で考える必要がありそう。
災害時では、どれくらいの期間で欠乏症が現れるか栄養素ごとに知っておく必要があるのかもしれません。1ヶ月〜数ヶ月くらい?これを知っておけば災害時に優先される栄養が分かりそうです。

3-3 行動学的・栄養生理学的な視点

食事摂取基準は栄養生化学的な視点から策定されています。

なので、朝食欠食や食べる速さについては記載されていません。だから、これらは考慮する必要はありません。


とは、なりませんよね。
朝食欠食も食べる速さも健康的な食習慣の大切な要因です。
食事摂取基準に書いてないから、気にする必要がないのではなく、食事摂取基準だけでは、食習慣と健康に関してカバーしきれてはいない部分もあるということです。

参考 2 栄養素の指標の概念と特徴

食事摂取基準に出てくる参考資料って、すごく大切なことを書いてくれています。
この参考資料を見た私の感想を書いているので、私が書いていることは参考にはならないかも。

まずはこれ↓

EAR、RDA、AIの研究の報告数は「極めて少ない〜多い」になっています。
EARは欠乏症が出現するかしないかの報告だったり(?)。倫理的にも実験研究とかも難しそう。
だけど、AIは実際の栄養摂取状況を観察して健康な状態であれば、AIの基準値を作れるから研究報告数は多いのか?

ULは、過剰摂取だから、症例報告がメインで、報告数が少ないのは想像しやすい。ULの値を決めるのに不確実性因子を考慮するのもこういった背景があるから?

DGは、疾患の発症予防に関する研究になります。
まず健康な人を観察して、その後、疾患を発症したのか追跡したら、どんな食事をしている人達が疾患を予防しやすいかが分かる。
健康な人は多くいるので対象者が多いから、研究も多いのではなかろうか。

次にこれ↓

EARの算定された値を考慮する必要性の部分で「可能な限り考慮する(回避したい程度によって異なる)」の解釈がイマイチわからん。分かるようでわからん。

鉄に関しては、貧血が特にない人は今の食習慣であまり気にする必要はないけど、貧血がある人は出来る限り考慮して、鉄の摂取不足を回避するってこと?この例えは合っているのか?わからん。

自分がどれくらい栄養素を摂取できてるかは知らんけど(推定平均必要量を下回っているものもあるだろう)、欠乏症は出てないから、そこまで気にする必要ないけど出来る限り考慮しようね。ってことでいいの?難しい。

ULは、必ず考慮する必要があるけど、UL未満であれば絶対大丈夫かというと、可能性は低いけど絶対ではないらしい。不確実性因子で調整はしているけど、ここも個人差があるから1点のみの基準値が必ず正解ってわけではないみたい。
思えば、摂取不足の回避は確率論でEARとかRDAとかあるのに、ULは1点のみの記載やもんな。ULにも個人差(分布的なの?)があってもおかしくないよね。

DGは、関連する要因がたくさんあって(運動とか)数年〜数十年単位で考慮するものになります。生活習慣病の予防に関して、食事は大切だけど、予防できる要因の1つでしかないという見方もできると思います。

3-4 調査研究の取扱い

●国民の栄養素摂取状態に関するデータ

国民の栄養素摂取状態を反映していると考えられる代表的な研究論文を引用します。
それがなければ、平成 30・令和元年国民健康・栄養調査のデータを引用します。

●研究結果の統合方法

日本人を対象とした研究があれば、なるべく日本人を対象とした研究結果を優先して用いています。
体質とかが欧米人と日本人では違ったりする(例:インスリンが出る量がかなり違う)ので、「日本人の」研究結果を優先しているのかなと思います。

●通常の食品以外の食品を用いた介入研究の取扱い

通常の食品以外の食品は、原則として、数値の算定には用いないこととしています。
しかし、数値の算定に当たって参考資料として用いることを目的として、検索、収集、読解作業の対象としています。

これだけで検索、収集、読解作業がめちゃくちゃ多くなりそうなのに。すごい。

●お疲れさまでした〜

留意事項も奥が深いですね。
こうやって書いてる手前、じっくり読んでるんだけど、ここまで総論をじっくり読んだことなかったかも。

次回で「3 策定の留意事項」が終わりです。
しかし、私の苦手(ちゃんと理解できていない)な外挿方法があります。
どこかで1回ちゃんと自分の中で整理しないと外挿方法はやっつけることが出来なさそう。

ちなみに、いつ頃、正式な報告書はでるんやろ。

では、お疲れさまでした〜

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(案)

厚生労働省ホームページ

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