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日本人の食事摂取基準(2025年版)案 その10(食事評価と留意点)

今回は「4-2 食事評価と留意点」の続きです。

食事評価の食事調査以外の部分です。
ページにしたら2ページ分になります。

今回のメインは食品成分表です。
食品成分表のところ以外は2020年版から
変更はなかったようです。

食事摂取基準2020年版が出た後に
日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)が出され、そこで大幅な変更があったため、食品成分表に関する記載が増えています。

4-2-4 身体状況調査

身体状況の中でも体重及びBMIは、エネルギー管理の観点から最も重要な指標です。

BMIの変化よりも体重の変化の方が数値 の変化が大きいため、鋭敏な指標になります。
体重の減少又は増加を目指す場合は、体重を定期的・継続的に計測記録し、16週間以上の追跡を行うことが勧められます。

4-2-5 臨床症状・臨床検査値の利用

栄養素摂取量の過不足の指標として、
臨床症状及び臨床検査値が利用できる場合があります。
しかし、臨床症状や臨床検査値は、対象とする栄養素の摂取状況以外の影響も受けた結果であるため、慎重な解釈と利用が望まれます。

栄養素の摂取状況以外の影響を自分なりに考えてみました。
運動(生活活動含む)、遺伝、食習慣(朝食欠食、夜食等)、性別、仕事の種類、所得、教育歴などがあったりするのかなー。根拠示してる訳ではないので、鵜呑みにしないでください。

4-2-6 食品成分表の利用

●食事摂取基準と食品成分表(八訂)で異なる栄養素の定義

食事摂取基準と食品成分表2020年版(八訂)では栄養素の定義が異なるものがありますが、ビタミンEのみのようです。
下の表15をご覧ください。

表15

●食品成分表(八訂)ではエネルギー量の計算が大きく変わった

日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)は、
日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)からの改訂の際に、エネルギー量の計算が大きく変わりました。計算方法は下記のように変更になりました。

日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)でのエネルギー量計算方法
◯たんぱく質…基準窒素量に換算係数をかける
◯脂質…食品中の有機溶媒可溶性成分の総質量
◯炭水化物…水分、たんぱく質、脂質、灰分等の合計を100gから差し引いて算出
●エネルギー量…上記3つにAtwater係数を乗じてエネルギー量を算出

日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)でのエネルギー量計算方法
◯たんぱく質…アミノ酸組成によるたんぱく質
◯脂質…脂肪酸のトリアシルグリセロール当量
◯炭水化物…利用可能炭水化物、食物繊維、糖アルコール
◯アルコール
◯有機酸
●エネルギー計算…それぞれにエネルギー換算係数を乗じて算出(下記表を参照)

日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)に記載してある表

同じ献立を基に計算すると、八訂では七訂よりエネルギー量が低く算出されるようです。

しかし、食べ物のエネルギーが変わったのではなく、エネルギーを測るものさしが変わっただけです。
ですので、エネルギー量を合わせようと多く食べたら太るでしょう。

●食物繊維の測定方法が最新のものに

食物繊維の測定方法も新しいものになり、測定できる食物繊維の範囲が広がりました。よって、新しい方法で測定された食品の中では食物繊維量が増えている食品があります。
しかし、新しい測定方法で測られた食品はまだ多くはありません。八訂に載ってる食品のおよそ1割程度だった気がします(あやふやですいません)。

従来の食物繊維の測定方法である
プロスキー変法では
○高分子量水溶性食物繊維
○不溶性食物繊維

が測定できていました。

新しい測定方法であるAOAC.2011.25法では
◯低分子量水溶性食物繊維
○高分子量水溶性食物繊維
○不溶性食物繊維
の3種類が測定できるようになりました。

●食事摂取基準2025年版の基準値は食品成分表(七訂)での計算値のもの

食事摂取基準2025年版で参考としている研究の多くが食品成分表(七訂)の方法で計算されたものであるため、食事摂取基準2025年版の基準値は食品成分表(七訂)での計算値のものとして策定されています。

●食品成分表と実際に使用する食材

食品成分表の栄養素量と、実際にその摂取量や給与量を推定しようとする食品の中に含まれる栄養素量は、必ずしも同じではありません。
しかし、この誤差の方向やその程度を定量化して示すことは困難です。
そのため、食品成分表を利用する際には、この誤差の存在を十分に理解した上で柔軟な対応が望まれます。

柔軟な対応って具体的にどんなことなんだろ。
例えば、数値にこだわるより、だいたいどれくらい摂取できているか(推定平均必要量らへんなのか、推定平均必要量と推奨量の間くらいなのか)で考えるみたいなことかな。

●調理損耗

私達が食べる食事(栄養)は
食材準備時(生の状態)ではなく
料理を食べる段階(調理後)の栄養価になります。

ですので、栄養計算する際も、調理後(茹でや焼き、煮るなど)の栄養価を計算しないと正確な栄養価は計算できません。
しかし、調理損耗の程度は調理条件により大きく異なるため、慎重な対応が望まれるようです。

確かに重量変化率とか調理損耗も考慮するのが良いと思うんだけど、やるとなったら今までと比べて、最初はかなり手間がかかりそうですね。栄養価計算ソフトのバージョンアップに期待?笑

●お疲れさまでした〜

日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)で大幅な変更があったため、食材のエネルギーを測るものさしが変わりました。

食事摂取基準と食品成分表を
両方をしっかり理解した上で
どう考え、どう使うのか
両方を使う人に委ねられているのかなと思います。

正直、食品成分表は七訂まで
たいして読んだことなかったです。
使う人が道具を理解していないとなー。

それでは、お疲れさまでした〜

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(案)

厚生労働省ホームページ

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