見出し画像

『間違いだらけの「優秀な人材」選び』の書評

「今年の新卒は優秀だからね〜」

「あの会社の人ってまじで優秀。」

こんな話を色んなところで聞くこの頃ですが、「『優秀』という言葉ほど抽象的で正体がわからない表現はないな」とずっと思っていました。コミュニケーション力が高ければいいのか、ルーティンワークを早く回せればいいのか、はたまたエクセルをうまく使いこなせればいいのか...。「優秀」という言葉を使うときは仕事の場面がメインですが、考えれば考えるほど謎は深まるばかり。「優秀」って一体なんなの!?

そう思って手に取ったのが、『間違いだらけの「優秀な人材」選び』。巷で言われる「優秀な人材」の本質についてストーリーを織り交ぜながら説明している本です。本書でポイントとなる概念は、コンサルタントとして活躍する著者が、仕事を通して検証を重ねて体系化した「キーポテンシャル」。生産性高く仕事する人が備えるべき要素を可視化した指標であり、これを踏まえて優秀な人材の定義と優秀そうだけど実は違うかもしれない人材に対しての会社での対処について書いています。

キーポテンシャルダイアモンドとは?

本書のコアとなるキーポテンシャルダイアモンドについて説明します。
著者はこの指標(アセスメントという言葉を使っていますが、わかりやすく指標とします)のことを「生産性の創出に強く働きかける能力体型」(同書84ページより引用)と説明しています。ダイアモンドというだけあってひし形になっていて、4角にそれぞれの能力が記されています。

(本書84ページより)

まず大事なのは、生産性を高める2大キーポテンシャルについてです。

①成果管理能力(組織のために働く力、何とでも成果を出そうとする意識)
②概念化能力(思考する力、新たな価値を生み出そうとする力)

があります。それぞれ、生産性高く働くためには欠かせない2大要素で、このどちらが欠けてしまっても優秀な人材にはなれません。

①を含むのは

- 当事者意識
- 成果意識
- 目標を定める力
- 収束する力
- リーダーシップ

②を含むのは

- 思考する意欲
- 情報を集める力
- 情報を選ぶ力
- 情報を結びつける力
- 理論を高める力

それぞれ詳しくは説明しませんが、上記のような要素をどれだけ持っているかによって、生産性高く働けるかをある程度測れるそうです。

続いて、2大キーポテンシャルを活性化させるサポーターキーポテンシャルについてです。

③内部強化能力(モチベーションを高める力)
④外部強化能力(新たな情報を獲得する力)

前者は、自身のモチベーションを把握してそこから自分の活動に対してエネルギーを投入できるかどうかという力で、後者は思考や行動のベースとなる外部情報をしっかり取ってこられるかという力です。

こういった4つの能力を人材に照らし合わせて、どの能力がどのくらいの値なのかによって、その人の優秀さを測り、適性によって人材配置を考えるためのツール。それが、キーポテンシャルダイアモンドなのです。

自分はどうだろう?

これらのキーポテンシャルを見た時に、自分にとってと強みと弱みはどこだろうと考えてみました。

正直、強みといえるほどのポテンシャルは未だ持ち合わせていません。強いていうなら、概念化能力の情報を集めて結びつける力であれば、編集・ライティングに関わっていた学生時代から意識していたことなので、そこそこ自信があります。ですが、それをより一般化させて汎用性を上げて応用していくところまではまだまだ及んでいないのが現状です。

また、圧倒的弱みとしては成果管理能力が挙げられます。新卒研修でもここに課題認識をしたのですが、成果に対しての意欲が弱く、何かあったら他の人に気を使ったり、正しさにこだわり過ぎたりと、働くゴールを成果に固定できておらず、不安定になってしまいます。

成果管理能力が弱い原因は、目的をきちんと定めずにコトに向い始める傾向があるからです。目標の大事さはわかりつつもなんとなく始めてしまったり、目的・目標を立てたとしてもそれを達成しようとする意思が弱い。目的がふわっとしているので成果という観点が抜け落ち、結果的に中途半端に終ってしまうのが自分の弱いところだなと。

ではどうするか?

本書では、成果管理能力のない人は大きく変わらないと書かれており、そういった人をどうやったら成長させていくかという観点がないのは非常に残念です。ですので、自分で考えたいと思います。

まず、何をやるにも目的とゴールを明確にすること。当たり前ですが、これを習慣化していかないと成果管理能力はつきません。
書評を書くのであれば、なぜこれをやるのか、どうしたらゴールといえるのかを明確にすることで、ただの作業で終わらせず次に繋げたり、高いレベルでの学びを得ることができます。

こういった習慣を心がけ、成果を常に意識できるビジネスパーソンになりたいと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?