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Log_2023.11

・まえがき

 コンスタントに文を書く習慣をここ3年くらい続けているからこそ、「あ、書けない」と思うタイミングが必ず年に一度は来るんだよね。これは精神的な負荷の総量には全く関係なく、前触れもなく、急にやってくるからどうしようもない。

 厄介なのはこの「書けない」という焦りに似た気持ちが喉に刺さった小骨みたいに転がり続けることと、さっきも言った精神的な負荷が、書けなくなるきっかけにはならないくせに、筆だけは重くすること。このちょっとした違和感と負荷と連れ添って過ごしたひと月の記録。


・11/4 at 渋谷①


異様に音楽の聴こえる謎のビル


 tipToe.プレゼンツ、定期的病気イベント……の皮を被ったしっかりとした単独ライブ。ゆるゆるとした仙台の昼の雰囲気を想定していたのでいい意味で期待が外れた良い時間だった。「前半は地球のハロウィンを楽しみにきた宇宙人がたまたまtipToe.を好きになってメンバーの体を乗っ取りライブする→MC中にメンバーが目を覚まして「これがtipToe.だ!」と披露するという設定」←長い長いわかるわけないだろ!!!!

 本編の病気要素は登場の猫耳だけ。しっかり病人としての役割を果たさせていただきました。

異常者

 ライブ後、すーぱー病気タイムッッッ←あらんこ語

 自らの武器が何たるかを理解しないと選択できないコスチューム。「メイド服着られたら冥土行きだよな~、困るんだよね、そういうの」と思ってたら全く予想外のところからぶん殴るのは、何とは言わんが持たないので、やめよう!!!

・11/4 at 渋谷②

 ライブの後でもないのに、アイドルの特典会に行くことはたいへん恥ずかしいことなんですよ。だけどさ、ね。特典会の時間中にライブ観てるとさ、いくらいいライブを観てもさ、行けないじゃん。

完全にこれ

 という言い訳をし続けて半年、お久しぶりでした。これくらい空くと40秒くらいじゃ足りない気持ちが分かるのかもしれない。遠目からなんだかんだ観てるし、観られているんだな~というのが感想。

「いろんなところに行ってて元気そうだし、そのアイドルさんと被ることも多いから、いい場所に行ってるな~と思う」

 この言葉はこの人ならではだし、この人から聞いたからこそ嬉しい言葉だなと思った。

・11/9 at 恵比寿

 この日に合わせて気持ちを作っておいて、本当に良かった。まずはその気持ちでいっぱい。

 大好きな曲も4ヶ月ぶりに聴けて、このグループでは久しぶりにイントロとともに地面と一体になったし、間隙から見える女性はとんでもなく良い表情をしていたし。Kolokolというグループ、どこかでコンテンツライブのような気持ちで、観たい時にパチンとハマればものすごく伸びるライブをする、と言ったけれど、まさにこの日がそれ。没入という言葉がぴったりな2時間。ここが一区切りだけど、これから先も続くことがわかる余韻を残した。

 一度踏み込んだ場所、少し距離を置くとしっかりと追いきれてない、そういう自責の念との戦いになる。

 10月、いろいろと悩んだなかで、少しだけでも観て、話したことがいいように働いたんだろうな、と思う。また観たい、と思うときに足を運んで楽しみたいし、そのときは必ず楽しめるような気がする。



 この充実に浸る暇も無く、その日の夜に大きな報せが入る。

 意外と、落ち着いていた。
 このあと20時間ほど、何も飲み食いすることができなかった以外に身体に変化は無く、このあとに訪れる場所、群青の世界を観るための、最初で最後の遠征をもっと良いものにしたい。その先はどうなるかはわからないけれど。そういう気持ちをゆっくりと作っていった。

 3日間だけのお姫様の続きにあった、半年のアディショナルタイム。その幕引きを見届けられるのは、早すぎるだけで、幸せなことなんだろう。「答えは最後にしか分からない」ことも彼女が教えてくれたことのひとつ。


・11/10 at 渋谷

 

 招待を貰ったわれプワワンマン。

 ちょっとした痛みを抱えながら行くつもりは無かったけど、この状態なら振り切って楽しめる場所として正解だったんだろうな。

 忘れられないことを、忘れようとして踊ることに意味がある。そんなフレデリックの歌詞みたいなことを思った一日。柱の影で踊り続けてたからステージの記憶が恐ろしいほど無かったけど、減速しかけたギアを戻すのに一役買ってくれたのは間違いない。

オフショット

・11/11 at 下北沢

毎月定期もここでええ!

 踊ってない夜を知らないDay2。
 翌日に推定ツラくなるだろうなライブを控えていたから、その前にできるだけはっちゃけたいと思って結果的に大正解。

 薄ピンク顔を眺めて楽しめるPRSMINから始めた一日、Axelightで神に、Mirror,Mirrorで天皇に、situasionでマサイ族に、airraticで屋根裏の住民になれて最高の気分。そのあとは先月ある程度自分の手札として築いたQuubi、ホームのさとりモンスターで好き放題しまくるという完璧なDaytime。

 オールナイトは言わずもがな。Quubi→Axelight→さとりモンスターですべて出し切って泥。つむちゃん、みことちゃん、あずちゃん、ぼく頑張ったよ…..君たちでバトルモンスターやってください。ホントに。

 そんな楽しいだらけの一日のなかで異質の感情を持ったのが推定ツラくなるライブをこの月あとふたつも控えたグループであるところのtipToe.。

 正直ワンクッション挟むかすら悩んだけど、ワンクッション挟まなかったらもっと翌日が辛くなると思った。
 「Cider Aquarium」→「僕たちは息をする」という絶妙に苦しいラインを突いてくるセットリストと、ふと見上げたときのめみちゃんの表情にやられ、ツアー最終日前日の熱気あるフロアの中で、動きながらも取り残されたように冷静な自分がそこにいたのを鮮明に覚えている。


・11/12 at 渋谷

 オールナイト明けの疲労+昨日味わった疎外感がいつもの坂を登る脚を鈍らせながらも、なんとか会場に着地。

 ツアーってバンドもアイドルも変わらず色んな土地を周りながらものすごくパワーアップしていくのが肌で感じられるのが良いところ。
 足を運ぶようになって半年、「tipToe.2期のテンプレート」かのように何度も一曲目として登場してきている「春の風速、帳が揺れて」の入りから「Silent Sign」までの迫力、「静かの海」からの深く沈むような表現、そして「ホワイトピース」以降の高揚感、すべてが何度も観た光景のようで、何段階もパワーアップしている。修学旅行でなにも学んでこなかった劣等生ぼくには修学旅行でしっかり成長していくアイドルさんがとても眩しくてたまらないよ……

 このつけてきた力を見せるライブだからこそ、真新しいものは映えるし突き刺さる。

 新曲「勿忘草と花雨」。柚月りんという千両役者の殺気すら感じるステージさばきに目を見張り、曲が進むにつれて次第に自分の色に目がスライドしていく。ステージ上でのことを「演じている」と言っていた彼女の、驟雨に打たれた寒さによる白い息が見えるかのような表情。よりにもよってこんなタイミングにぶつけられる、「君が足りない」という歌詞。

 「ツラい」

 「ツラいのに、目が離せない」

 半年が経ってようやく、この感情をはっきりと口にできたライブ。この場所で知り合った友人とも、昔からの友人ともこの感想が共通していたから、「終わりに向かう何かを背負っている」集団のなかにようやく取り込まれたんだな、と自覚した一日。修学旅行が終わってからがあっという間だった学生の頃のように、あっという間に去っていくんだろう時間、どう過ごそうか。そんなことを考えるようになった。

 おめでとう、ありがとう、おつかれさま。

・11/13 at 渋谷

謎の音が聴こえるビルの3階

 前日だけじゃどうしても足りなかった精神負荷分散のために5日連続もライブに行ってしまい、申し訳ありません……と謝りながら遠征ラストのQuubiさん。

 先月、リリイベ→対バン→生バンド対バン→生バンドワンマンというあまりにも綺麗なステップアップで締めたからモチベーションが落ち着くと思っていたら全然そんなことがないから不思議。オフィスカジュアル姿でアルコール片手に拳を突き上げて聴く「The voice you saved」、あまりにも至高。

王の顔つき

 Quubi?全然知らないけど全員話したね。

 西側諸国のグループのスクリーンプレイのような距離の縮め方は共通なのだろうか……(Kからはじまるグループのピンクの人とAからはじまるグループの青の人のことを考えながら)


・11/16 at 下北沢

 今月のリスポーン地点。

今は亡き

 1月から乗り込んだこの定期公演の船もあと2回と思うと寂しくなるね。ただその寂しさを感じさせない催しがこの日のフロアライブ。すべてを忘れて楽しめる、吐き出せる場所が下北沢にもしっかりある。忘れそうな頃に思い出せるから、モザイク以外で定期公演続けてほしいと思うばかり。

このあと知らない人五人と乾杯する

 万里菜回のアンコールが「英雄讃歌」なの好きすぎ。不意にウルっときて予定にないのにおたおめ伝えに行っちゃった。


・11/19 at 新宿

ともだちにはなれるけど繋がれない

 今月の大集合イベントその2。LOFTがヒナタバの顔くらいパンパン、準備運動という名の多動airraticから一日フロアでずっと遊んでた。

 先週から引き続き見たQuubiは藤宮パートで大前進、プワとダルフォンはSEからダンス。PANDAMIC、PLEVAIL、Ringwanderungの久々に観た組が軒並み楽しかった。花琳ちゃんさんの萌えボって実は万病に効くんだよね、あと名前にTOKYOって書いてあるグループを札幌以外で初めて見た。LOFTの段差でツーステ踏んで転んでるオタクが痛そうだった。

 唯一苦しかったポイントがやっぱりtipToe.なのも先週のダビングのようで。諸事情で外に出たときに聴こえてきた「ユナイト」、苦しくて苦しくて……この日はゆうかちゃんが歌えなかったから「4人なら耐え……」と思ってた。

 この日、特筆すべきはさとりモンスターとsituasion。さとりモンスター、自分から誰かを巻き込んで楽しむ行動を起こす、という観点では、無二の場所なのかも、という気付きを得た。

 普段後ろのほうで見知った顔が全然居ないのが寂しかったからという理由で思わず後ろを向いて奇妙な呪文を唱えたり奇妙な踊りを始めたりしたらtipToe.で知り合った人間が一緒に奇妙な動きを始めてくれて、誰も居なかったはずの後方がいつものひどい光景に変貌を遂げていて感動した。最後の「ハイスコアガール」。モーセのように道が割れてなのぴに向けて突っ込んでいく落ちサビ、最高。またやりたいね。

 後者、楽しかったけど混沌すぎ。後日話しに行ったayu_situasionさんが「あの日ホントにみんなひどくてすごく心配しちゃった~」って言ってました。ゆんちゃんを泣かせるヤツは俺が許さないぞ……


・11/23 at 仙台

朝の駅、好き。

 2ヶ月前、最高のライブを見た最悪の垂れ幕だらけの街。街並みが臙脂色すぎて宗教的に不快になってしまうから、次来るときなんてあるのかなと思ったけれど、予想に反して早く足を踏み入れることになった。

 沖縄にも神戸にも分身したかったけれど、この日は何があってもここ、と決めていたのが幸か不幸か、いや、この日の景色からすると幸せ以外に何者でもない選択だった。

 最初で最後の群青の世界を見届けるための遠征の一曲目、「青い光」。

 この場所が自分にとってどういうものだったのか、まとめにかかるための第一歩としてはあまりにも出来すぎた開幕。

「ずっと追い続けた スタートはここから」

 心の穴を広げた一日4月15日の始まりの曲であり、心の穴の治療の最後として、突きつけられた一日10月15日の始まりの曲。自然と視界が歪むのを感じていた。 

 のしかかる2人分の重みに負けないよう、身体は動かなくても、顔だけは前を向いていよう、そういう気持ちに対するちょっとしたご褒美のように、歌詞に合わせてこちらに向けて、「ライブ中ずっと笑って」、指をさしてくれる人がいる。借り物の船のような気持ちで乗り込んだこの場所は、いつしかそういう場所に変わっていったんだなあと思った。

 だからこそ「However long」は現実を突きつけてくるナイフのように差し迫ってきた。この曲に斬り付けられるのは二度目だけれど、血を流していることすら気付かずに斬り付けられた一回目と比べれば、肌に、心に刃が届く痛みも感じられたし、この日のセットリストが楽しさ、かっこよさで適度に血止めをしてくれたからこそ一日を良いものを観たという余韻で終えられた。この場所に帰ってきたときはあんなに苦しかった「ステラ」が血止め薬の側の曲になるなんて、考えもしなかったな……


 この遠征、裏テーマといってしまってはなんだけど、人の縁を今まで以上に感じた旅だった。仙台に着いてすぐ、派遣コンテンツ(笑)時代から何年も付き合ってきた友人たちとのドライブにはじまり、ライブ、宿、帰りのバスまで。

 オタクといちばん距離が離れていたのはふみか列にひとりで並んでいるタイミングだったんじゃないかってくらい。ずっと「同じものを好き、好きだった誰か」がすぐ近くに居た時間、とても居心地がよいものだった。


 その「同じものを好き」という括り、その中には間違いなくこの人もいて。彼女が好きで、戻ってきて、守ってきた場所。ここを自分も好きなんだな、と思った。本当にありがとう。ラスト1枚のタオル、特に掴んでくれた場所を大事にします。


・11/25 at 渋谷


 とはいえ、ツラいものはツラい。

 終わりゆくものが終わっていこうとするさまを見届けたあとで、「終わりが見えているもの」とか、「最後だと分かっているもの」を観に行くのは。正直足取りがとても重たい一日、2週間前の予想通り、床を舐めるような気持ちで会場に向かった。

 そういうときのワンクッションってなんとなく良い印象になりがち。SW!CH、はじめて観たけど楽しかった。問題はそのあとのコラボ……


も、も、も、萌え、、、


 普段の衣装がかっちりしている印象があるぶん、こういうゆるっとした衣装は飛び道具。効果抜群。
 

 それを着て歌う緊張:感慨=3:7くらいの表情。憧れを身にまとった主役の姿、10分弱じゃ足りない。けれど、もっと長い時間眺めていたら「tipToe.という場所が閉じた先」「他の衣装を着ることになるif」に苦しむことになる。欲と辛さは紙一重。「萌え」にとどまるくらいのちょうどいい尺だったね。

 そしてライブ。

 観るのがツラいという気持ちを包み込む毛布のようで、しっかりと最後に気持ちをメッタ刺しにされた。「ビギナー」でにこにこと笑ってたら次のイントロ、「ユナイト」。ほんとに良くない。いちばん好きって言い続けた曲を、二度と来ないこの生誕という時間に持ってくるのは。

 下手に居たからひどい顔は観られていないと思っているけど、見上げたときのパステルピンクさんのしてやったり顔がなんか、もう、ねぇ……SNSでパステルパープルさんもひっそりいじめてきたし。(りんちゃんには好きな曲のこと言ってないのになあ)

 MCでも言っていたとおり、彼女がこの日のために「悩んだ」ことをひしひしと感じてくるようなセットリスト、そして内容。それを終わった後軒並み知り合いたちが絶賛していたのが自分のことのように嬉しかった。「自分の好きな人が褒められているのがシンプルに嬉しいって気持ち」を自覚したのははじめてかも。


 この現場に何とは言わんがイジってくる人が増えました!遭遇前顔面名前認知すごすぎたね

キラキラなエブリデイ、過ごせるかな

 自分の誕生日の日めくりが良くて、ニッコリ(いや、全部良いが……)

・11/25 at 吉祥寺


 怒涛、激動の月。
 余韻に浸るべきだとは思ったけれど、むしろ行ったほうが心安らぐと思って前日に増やした場所。センチメンタルな気持ちを抱えながらオシャレタウン、吉祥寺を散歩していたらとても景色が綺麗でびっくり。

東京にも、あったんだ(福山雅治)

 僕にとって心安らぐのは優しく丁寧な音ではなく、荒々しく歪んだギターの音だし、心安らぐライブ姿勢は腕を組んでいるよりも拳を突き上げているときなんだなということを強く実感した時間。ホントに対バン?と疑いたくなるくらいの密度で11曲50分を駆け抜けてこの日の主催にバトンを渡すQuubi、素晴らしいのひとこと。受け取ったMAZEもとても楽しかった。

 いつも以上に圧のある歌声をしていてホントに楽しそうな様子が見てとれて良かったさん。ひとつの楽器の鳴りが良いと、相乗効果で何倍も曲全体が良くなるバンドの特徴を踏襲するかのようで、ふじみやの鳴りが違うね……とひとりでうんうん唸ってた。特典会では伝えてない(伝えなさい)


最近このサインの構造を解読した

 めんぼくねぇ……これで11月ラストなのめんぼくねぇ…(死語では?)


・総括


 楽しみな予定を、楽しむ。

 そのことだけを考えていたはずが急転直下、ひとつひとつになんだか重たい気持ちを抱えてぶつかっていった。テンション100パーセントのまま、ライブも100パーセントで楽しんだのはオールナイトと、最後の吉祥寺だけだったんじゃないかな、、、そんな月。全然書けない、書けないと唸りながらもここまで漕ぎつけたよ(大遅刻)

 沈んだ気持ちのまま行くことの申し訳なさと、その気持ちを浮上させて、最後には「来て良かった」と思わせてくれる人たちへのありがとう、という気持ちが交互にやってきていた。特にQuubi、メンターかって思うくらいしんどいライブの直後にやってきてくれては「拳を突き上げるだけで十分に楽しい場所」として一役買ってくれていて助かった。


 群青の世界、踏んだ段階だったり、行ったときのセットリストだったり、あの子の思い出を昇華していく過程があまりにも噛み合いすぎて、あまりにもドラマチックだから、「横田クリニック」とか勝手に呼んでいて、先月ようやくすべての治療が終わったような気がしていた場所。
 まさか「この先、終わり行くものを見届ける」ために、どう振舞うかという長いスパンのワクチンまで処方されるとは思わなかった。

 そこまでしなくてもいいのに、とはもちろん思うけれど、自分にとって終わりの始まりになった仙台のようにあたたかな気持ちで最後を迎えられたらいいな、と思っている。ワクチンがどう作用するかの答えが出る半年後も、同じようなことを考えていられたらいいな、とも。

 


「ありがとう」しか浮かばないフラッシュバック、観られたらいいな。なんとかそのころには「書ける」ようになっていて、気持ちを残せたらいいな。今はそれだけを思っている。


 重たいもの、ぶん投げてすいません。では。


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