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ムハッラム9夜目 アッバース様らの追悼

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慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名によって

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おぉ、アッラーよ!祝福くださいムハンマド様を
そして彼の御一門を
そして彼らの救済を近づけてください

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イマーム・フサイン様にサラーム
アリー・ブン・フサイン様にサラーム
イマーム・フサイン様の子供たちにサラーム
イマーム・フサイン様の支援者たちにサラーム

ムハッラム9夜目 タースーアー前夜

アブ・ル=ファドウル・アッバース様

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彼を追悼します。


彼はイマーム・アリー様とウンム・ル=バニーン ام‌البنین 様の御子息で、
イマーム・フサイン様とは異母兄弟にあたります。
カルバラーの悲劇当時、彼は35歳程でした。

イマーム・フサイン様の軍隊の旗手(大将)を務め、イマーム・フサイン様と女性、子供たちの為にクーファ総督軍が見張りをするユーフラテス川へ向かった水汲み人として有名です。

彼は、大変長身で容姿が美しい人物であったと言われています。その為、彼は自身が目立つことを避けてイマーム様と並ぶことは決してしませんでした。常に謙虚さと礼儀とイマーム様への忠誠を完璧に保った人物として、イスラーム世界では彼を忠誠と礼儀の象徴としています。

アッバース様はイマーム・フサイン様の蜂起、カルバラーの蜂起において非常に秀逸な人物で、彼に関する美徳の研究は今日も行われています。


ムハッラム7日目

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クーファ総督ウバイドゥッラー・ブン・ズィヤードからカルバラーでの前線の司令官ウマル・ブン・サアドに指令の書簡が届きます。

そこには、

フサインらに川からの補給水を一滴もやってはならぬ


という旨の卑劣な命令が記されていました。

この命令、
兵法として革新的で秀逸だと
評価されるでしょうか?


いえいえ、
とんでもありません

人道的にも
戦の慣習からも
この命令は大変不名誉で恥辱にまみれたものでした。

戦場で
正々堂々一騎打ちする
武勇を誇った伝統的な戦い方ではなかったからです。

しかも、
クーファ総督軍の部隊であったフッルの軍隊は
イマーム様たちにマッカへもクーファへも進ませず、

妥協案として
そのどちらでもないカルバラーの地へ連れてきた
言わば招待者の立場です。

更には
フッルの軍隊は、ズーフサムの地で敵対したにも拘らず、
イマーム様らから水を無償で頂いた恩義もあります。

恩義がある上に
招待者もてなす側であるにも拘らず、
彼らに水を与えないのは不名誉極まりないことでした。


ユーフラテス川が
ウマル・ブン・サアドが指揮する
アムル・ブン・ハッジャージュعمرو بن حجاج率いる
500人の騎兵部隊によって包囲されます。

イマーム・フサイン様は

その際、
アッバース様に30の騎馬兵と20の歩兵を従軍させ、
皮袋一杯に水を運んでくるように命令します。

結果、
アッバース様は包囲を打ち破り指令を果たすことに成功します。
その際に殉教者は出ておらず、
敵兵には数名の死者が出ました。


イマーム・アリー様とウンム・ル=バニーン様の間には4人の御子息が誕生しています。長男がアッバース様、次男ジャアファルجعفر、三男アブドゥッラーعبد الله、四男ウスマーンعثمانです。

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カルバラーの悲劇時に、彼らは其々29、25、21歳の前途明るい若者でした。

アッバース様は彼らに
こう仰ったと伝承されています:

« تَقَدَّمُوا حَتَّى أَرَاکُمْ قَدْ نَصَحْتُمْ لِلَّهِ وَ لِرَسُولِهِ...؛»

さぁ、歩みなさい
あなた方が唯一神と御使い様に善きことを望まれたと
私が目撃(し、最後の審判の日に証言)する為に

شیخ مفید، الارشاد، ۱۴۱۳ق،، ج۲، ص۱۰۹

そして、アッバース様の3人の兄弟全員が殉教を遂げられたのでした。


・・・

残る戦士は
大将アッバース様と
イマーム・フサイン様だけとなりました。

アッバース様は自身が出撃(殉教)する前に

今一度
イマーム・フサイン様
残された女性や子供たちの為に

水を汲んで来るためにユーフラテス川へ向かわれます。


自然に

喉の渇きから掬った水を口元に運びます。

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しかし、

咄嗟に

イマーム・フサイン様
女性や子供たちのことを想い起します。

彼らが渇きに苦しんでいる最中

自分だけが癒されることを善しとせず

手の水を
川へと注ぎ戻されたのでした。

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皮袋一杯に水を入れると
急いで宿営地のテントへ戻るために馬へ跨ります。

しかし、

ナツメヤシの木陰に潜んでいた
敵兵に襲撃されました。

アッバース様は
奇襲によって右腕を切断されますが
剣を左手に持ち換え応戦されます。

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しかし、
木陰に隠れていた別な敵兵の奇襲によって
左手も切断されてしまうのです。

それでも
アッバース様は

イマーム・フサイン様の為に
水を待ちわびる女性や子供たちの為に

水を運ぶ意志を固持し
宿営地のテントへ急ぐのでした。

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遂に、
合流してきた敵軍がアッバース様に一斉攻撃を加えます。

アッバース様に目掛けて放たれた弓矢は
彼の眼球を射抜き

鉄槍が
アッバース様の脳天をかち割ったのでした。

アッバース様は崩れ落ちます。


イマーム・フサイン様はアッバース様のところまでやって来ると激しく涕泣されて仰いました:

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الْآنَ انْكَسَرَ ظَهْرِی وَ قَلَّتْ حِيلَتِی

いま、私の腰は砕けてしまい
為す術もない


典拠
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حضرت عباس

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