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わかる ホセイニー/アーシューラー #14

بیان ساده عاشورای حسینی

مؤلف: مریم السادات چاوشی‌زاده

著者は、ホセイニー/アーシューラーについてムハッラム月~サファル月20日アルバイーンまでの50日間、教師が生徒や児童に語るための内容を信頼ある伝承集をもとに一冊の形に仕上げました。この本が編纂された動機は、説教のような長い時間を耐えられない生徒や児童向けにアーシューラーの追悼について1話=5分ほど、彼らの心や頭に残るよう、わかりやすく短く伝えることを支援する目的で執筆されました。また、アーシューラーの巡礼祈禱を日別記事の最後に記してあります。これは学習者が少しずつこれに親しみ、これを声に出して、暗唱するまでの過程を補助する狙いがあります。

ムハッラム月14日


一方で、イブン ズィヤードは定期的に人々に、もしムスリムを見かけたら総督公邸まで報せるよう指令を出しました。そして彼の伝令は「クーファの長老と有力者たちは誰でも昼の礼拝にマスジドにいなければ、流血の憂き目に遭うぞ!」と叫んで報せました。

礼拝の時刻になると人々はマスジドに現れました。礼拝のあとにイブン ズィヤードはミンバルにあがると唯一のカミサマを称賛、賛美してから言いました「ムスリム ブン アキールをどこかの家で見つけて我々に報告せぬ者は誰であろうとも財産と生命を失い、もし連れてくるようであれば莫大な報奨を得るだろう」

そのあとに、タウアの息子はイブン ズィヤードのもとにやって来るとムスリムの居場所を伝えたのでした。それから70人の部隊がタウアの家にやって来ました。

ムスリム ブン アキールは騎馬隊の足音を聞いてすべてを悟りました。それから剣を装備して家から出ると、敵陣に剣を振るいその多くを殲滅させました。彼は度重なる猛攻を仕掛けて彼らのうち45人をカミサマの懲罰へと葬り去りました。

そのあと、敵の斬撃により上唇と歯を負傷しましたが、なお戦いました。

強すぎるムスリム ブン アキールに敵兵部隊はまったく歯が立ちませんでした。仕方なく彼らは屋上に登って石や木片を投げつけて、火を放ったヨシの干草を投げこみました。彼はそれによって多大な負傷をしましたが、一方で卑怯な敵たちはその背後をとると、槍で彼を地面に突き倒しました。それからこの不信仰者[1]たちは総攻撃をしかけて彼を捕縛しました。ラバが連れてこられると高貴な彼をその上に跨らせたうえに、彼の剣は剝奪されてしまったのでした。[2]

ムスリム ブン アキールはがっくりと肩を落とし、輝かしい瞳からは涙が流れ落ちていました。そして仰いました:

あなた方が私にした最初の欺瞞と裏切りがこれです。

ある者が言いました「おい、ムスリム!なぜ泣くのだ?見据えた偉大な目的に対してこの程度の危害などなんでもないだろ?」

ムスリムは仰いました;

この涙は自分に対してではない。むしろ虐げられた者の長[3]であるイマーム フサイン、彼の御一門の人々への涙。この不誠実な人々の欺瞞によりご自身の故郷を離れてこちらに向かわれている、これからあの御方らに一体どんな災禍が降り注ぐのか…推し量るには憚られる故の涙である。

それからムスリムはイマーム フサインに遣いを送ってほしいと懇願しました:あなたの伯父の息子が申し上げます、この旅路から引き返してください。

かくしてムスリムは公邸に連行されたのでした。その際にムスリムは喉の渇きで壺の水に目が留まりました「一口でもそこの水をくだされ」しかし、イブン ズィヤードの周りの者たちは無視しました。ある者がこのムスリムの様子にいたたまれず、水を運んできて器に注いで手渡しました。彼は飲もうとしましたが、器が溢れ出る口からの血で満たされてしまいます。もう一杯の水を求めると、またも器が血で満たされます。三度目も同じでムスリムは仰いました「まるで天命ではなかったかのようです、私が現世の水を飲むことが」

لَقَدْ عَظُمَ مُصابِي بِكَ، فَأَسْأَلُ اللّٰهَ الَّذِي أَكْرَمَ مَقامَكَ



[1]. کافر. 真実が何かを知りながらそれに目を瞑りイスラームやその必須要素 ضرورت دین を否定する者。

[2]. 約束が反故にされたことを意味する。負傷しながらもなお戦うつもりであったムスリムだが、命が保障される約束で投降した。しかし敵たちの気高さも恥の欠片もない行為により約束は反故とされた。

[3]. سید مظلوم.

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