カルバラーの物語 #2
これから紹介する絵本は、子ども用の塗絵からですがカルバラーの出来事を上手に切り抜いて物語に仕上げています。加えて内容は哀悼の哀歌(نوحه، روضه)に通じる仕様です。
イマーム フサインの追悼集会では、様々なカルバラーの場面が語られます。予備知識があれば想起もしやすく、演説や哀歌を聞いて徐々にそれがなにか明らかになると思います。本来は順序を踏んで公開したいのですが、時期とアーシューラーの重要性を鑑みて敢えて公開します。
イスラームにおいて一番重要なことがあります。クルアーンでも、伝承でも、特にアーシューラー/カルバラーの出来事を通じて永遠に伝えるもの、創造主が人類を通じてご自身の完璧さ、あらゆる善の属性を現実化される一大プロジェクトがウィラーヤト وِلایة (ウァーゥはマクスール)による地上のパラダイス化(善化)です。つまり人々が自らすすんでカミサマのほうへ、その預言者や指導者のほうへと歩み寄り、その指令をどんな困難にも屈せず実行すること、カミサマを信じる者たちの手により地上を善で溢れさせ、暴虐者が支配する土地を地上から消滅させることです。それをこの塗絵でも伝えています。
わかりやすく言い換えると、それは『共にいること معيت』です。
先導者の前(出し抜く、逸脱する)でもなく後ろ(おくれをとる、手を抜く、裏切る、離れる)でもない、つねにカミサマそしてその預言者や指導者たち、彼らの手となり足となって奮闘努力する地域や地元のリーダーたちと共にいること、そのために努力することが宗教を守ることであり、その人こそ本当にカミサマを信じる者、信仰心がある人です。
礼拝や断食、ハッジ巡礼、ザカートなどの義務行為はそのために必要なこと、基礎であり、ウィラーヤトと本来は不可分です。しかし、それらの義務行為がウィラーヤトと分離、距離が開くとたちまち形骸化して様々な逸脱の温床となります。
前置きが長くなりましたが、それらをすべて網羅しているのがアーシューラー/カルバラーの出来事です。では、どうぞご覧ください。
カルバラーの物語 #2
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