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ムハッラム初夜 ムスリム・ブン・アキールらの追悼

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慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名によって

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おぉ、アッラーよ!祝福くださいムハンマド様を
そして彼の御一門を
そして彼らの救済を近づけてください

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イマーム・フサイン様にサラーム
アリー・ブン・フサイン様にサラーム
イマーム・フサイン様の子供たちにサラーム
イマーム・フサイン様の支援者たちにサラーム

ムハッラム初夜

ムスリム・ブン・アキール

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彼を追悼します。

彼はイマーム・アリー様の兄アキールの息子で、イマーム・フサイン様の従兄弟です。

彼はクーファにおけるイマーム・フサイン様の大使でした。


当時カリフを名乗っていたムアーウィヤ・ブン・アブースフィヤーンが死去した報せがクーファに届きます。

また、イマーム・フサイン様がムアーウィヤが後継者に指名したヤズィード・ブン・ムアーウィヤへの忠誠を拒んでいる報せも届きます。

クーファの人々はそれらの報せに歓喜し、
今こそガディール・フンムの復興の時、つまり預言者様が仰った:

مَنْ كُنْتُ مَوْلاهُ، فَهذا عَلِىٌّ مَوْلاهُ

私(預言者様)を主人とする者は誰でも
このアリーが主人なのです

預言者様からイマーム・アリー様にイスラームが受け継がれることが大衆の面前で宣言され、皆が忠誠を誓った真のイスラームの復興の時期が到来したと感じ取ったのでした。

サキ―ファの会合(واقعة سقيفة بني ساعدة

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駱駝の戦い

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スィッフィーンの戦い

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ナフラワーンの戦い

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・・・

イスラーム共同体は数々の試練に遭いました。

遂には
イスラーム共同体はムアーウィヤ王政へと
転落するまでに至りました。

・・・

クーファの人々は
各々の長老の家に集まり会合を開きます。

皆の意見は

マーム・フサイン様をイマーム・アリー様が正統カリフ時代に首都であったクーファに招待して指導者となってもらう、ということで一致します。


ヤズィード・ブン・ムアーウィヤへの忠誠を拒んだことで命を狙われることになったイマーム・フサイン様はマディーナからマッカに避難されていました。

そのマディーナに滞在されているイマーム・フサイン様のもとにクーファの人々からの手紙が大量に届きます。

イマーム・フサイン様は返信をムスリム・ブン・アキールに託し、
彼を自身の大使としてクーファへ派遣なさいます。

手紙には:
今、イマーム・アリーの兄の息子で私の従兄弟ムスリム・ブン・アキールを私の大使として遣わします。もし、あなた方クーファの人々の言うことがその通りと彼が判断したならば、私はあなた方の方へ急いで赴きます。

とありました。

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ムスリムがイマーム・フサイン様からの手紙を読み上げると、
クーファの人々は涙を流し、彼に忠誠の誓いをしたのでした。

その数、

およそ18,000人・・・

・・・

しかし、

その報せがヤズィードに届くと、ウバイドゥッラー・ブン・ズィヤードをクーファ総督に任命します。ヤズィードも認める冷酷非道な性格で、恐怖政治をする人物でした。

イブン・ズィヤードはまず、自身がクーファ総督であると悟られぬよう赴任して密偵を放って情報収集をします。そして、イマーム・フサイン様の大使の人物特定に着手しました。クーファの有力者や長老でイマーム・フサイン様に加担する人物を洗い出し、監視し、ハーニー・ブン・ウルワを拘束して拷問にかけます。一方で、自身に有利となる長老らには金品を与えて懐柔します。

ムスリムは忠誠の誓いをしたクーファの人々に、ハーニー奪還の為に戦闘準備を呼びかけ、クーファ総督らを相手に攻撃を仕掛けます。

戦力に劣ったクーファ総督側は敗走して籠城します。

イブン・ズィヤードはムスリムらの蜂起に恐怖し慄きながらも、打開策として有力者や長老らを懐柔し、反逆行為に厳罰で臨む強硬な姿勢を示します。

クーファの人々は長老らに次々と懐柔され脅されます。

が無いぞ!

イブン・ズィヤードはカリフの代理人だ!

シャーム軍が来るぞ!

賃金や給料が差し止められるぞ!

子供たちの報奨が無くなるぞ!

反乱や暴動は総督政府への不法行為だぞ!

総督に加担すれば身分も給与も安泰だ!

・・・

一人また一人とムスリムに忠誠を誓った人々が去っていきます。

家族らに袖を引っ張られて
ムスリムのもとから次々と離れていきます・・・

ムスリムには大勢の味方がいるでしょ
あなたが味方する必要はないわ

・・・

遂には
ムスリムのもとに30人程しか残りませんでした。

彼らと共に
マスジドで日の入り後の礼拝する最中も

また、一人また一人と去っていくのでした・・・

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忠誠の誓いとは

一体何だったのでしょう・・・


歴史は繰り返されるのでしょうか・・・



ガディール・フンムの際、

預言者様がいらっしゃる前で
人々がアリー・ブン・アビー・ターリブ様にした

忠誠の誓いとは

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一体何だったのでしょう・・・



道案内する者すらも
ムスリムの傍には残っていません。

独りとなったムスリムは

行く当てもない闇夜のクーファを彷徨います・・・

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援助者たちだった・・・

忠誠を誓いそれを裏切った人々・・・

彼らは家の扉も窓も閉めきり、
道には一人も見つけることが出来ません。

見知らぬクーファの街を

ムスリムは彷徨い続け、

疲れ果てたムスリムは一軒の家の前に腰を降ろします。

空腹と喉の渇きを満たすことも叶いません・・・

束の間の休息を取れる場所すらもありません・・・

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すると、
家の中からタウアطوعه という名の老女が出てきて声をかけました。

ムスリムが事情を話すと、

タウアは彼を家に匿います。


しかし、

タウアの息子が金品目的で密告します。

翌朝には70人程の総督軍がムハンマド・ブン・アシュアス محمد بن اشعث(彼の父はاشعث بن قیس کندیでイマーム・アリー様殺害に関与、姉妹のجَعدهはイマーム・ハサン様を毒殺した妻、本人はアーシューラー当日イマーム・フサイン様が預言者様からであることを拒絶しイマーム・フサイン様から呪われた)を筆頭にタウアの家を包囲してムスリム捕縛に動きます。

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右اشعث بن قیس کندی
中جَعده
左محمد بن اشعث


激しい戦闘となりますが、
ムスリムが強過ぎて、誰も彼を捕縛することが出来ません・・・

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捕縛が叶わないので、
最終的にムスリムに対して身の安全保証をする旨の約束を結ぶことで
彼を投降させます。

しかし、
彼の剣は取り上げられてしまうのです。

そこで先ほどの約束が嘘であることを悟ります。

ムスリムの目から涙が流れ落ちます・・・

敵兵の一人:

敗北者の涙は何のためだ?


そう愚弄すると、

ムスリムは返答します:

裏切り者たちへ向かわれている

イマーム・フサイン様への涙だ!


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ムスリムはイブン・ズィヤードに捕まり、反乱の首謀者として処刑されることになります。同日にハーニー・ブン・ウルワも処刑されます。

ムスリムは城の屋上へと連行されました。

斬首されると
彼の身体はそこから放り投げられました・・・

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それは、イマーム・フサイン様がクーファへ旅立たれた翌日でした・・・


典拠
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مسلم بن عقیل

عبیدالله بن زیاد

محمد بن اشعث بن قیس کندی

هانی بن عروه

شریک بن اعور

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