イスラーム信条学入門 序章
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名によって
غلامعلی سنجری
著者:ゴラームアリー・サンジャリー師
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イスラームの学問 イスラームを知るとは?
序章
予測的損害の排除
歴史において、善良な人々であったと記録されている神様の預言者のすべてが、この世界以外、つまり別世界の報せを齎した。理性あるヒトすべては、彼らの報せに最低でもこのような世界の存在の可能性を見出す。しかし、ここでの『可能性』は非常に高いのである。理性的見解に依拠すれば、たとえ『可能性』が低くても十分な注意を払わなければならない。別な言い方をすると、もし我々が預言者達の言葉から、たとえ別世界が存在する可能性を非常に低いと見積もっても、一方では別な世界が永遠である可能性を見出す。よって、十分に注意を払わなくてはならず、その世界で損害となる原因をいずれも阻止するはずである。このように理性的人間は『予測的損害の排除』の法則において見解上一致する。当然、損害が大きくなればなる程、その排除は、理性的思考に沿うと必然性がより一層増すであろう※1。
※1. 仮に、あなたがとても喉が渇いていて、水を飲みたいとする;ここで子供があなたに言う:この水に猛毒が混ざっている;あなたは大変喉が渇いているが、突如その水を飲むことを控えるだろう。その子供の言うことを、とても可能性が低いと見積もり、更にその逆の可能性を見積もりさえしても、(水を飲むことで死ぬ)可能性が高いと見るため、それは生死にかかわる重大な行動なので、ここでは可能性が非常に低くても行う、つまり水を飲まないのである。すべての預言者が別世界を報せている。もしそれに不注意であれば、重大な損害を被ることになる。すると理性は、可能性が低くても実行するように命令する。(我々イスラーム教徒は預言者達の言葉を可能性が高い、むしろ確実視しているのだが;何故なら、全く理性と対立しないからである。)
感謝する義務
同様に、あるヒトから何かが与えられると、感謝することを自分自身で義務であると人間は考える。よって人間は、このすべての恩恵を与えたヒト・存在を知ろうとしなくてはならない、どういうヒト・存在なのかを知ってからお礼を述べるために。
上述の内容に留意して、宗教の事項について、別世界のことに関して研究することは、感謝をする者の感謝の品位である。義務であり、これについての事項をできるだけ多く学習すべきで、正しい宗教を選び、その宗教に沿って実践しなければならない。我々はイスラーム教徒であり、イスラームが最新そして最も完成された宗教であるという見地から、まず最初に、イスラームの事項について研究する。もし、イスラームを理性と論理で、適正さを見出したなら、それを受け入れ、それに沿って実践しなくてはならない。これ以外の場合、理性と論理に決して対立してはならない正しい宗教を見つけることに奔走し、研究を継続しなくてはならない。
初めに教義を考察すべき宗派は?
同様に、イスラームにおける初めの考察では、5つの根幹教義を有し、他の宗派の根幹教義もその中に位置づけられる、12イマーム=シーア派をまず選択し、そこから始める。もし、研究した後に間違いであっても、我々の気に留める損害ではない※2。
※2. 一部では、宗教の根幹を5つ以上と考えるが、熟考と注意深さでもって宗教の根幹において紐解いてみると、その主張しているものは、実際のところ宗教の根幹や基礎ではなく、むしろ宗教の部位、つまり根幹ではなく枝葉なのである。これとは逆に唯一性توحید(タウヒード)や来世معاد(マアード)がなければ、宗教は完全に崩れ去る。
別な表現をすると、もし、5つの根幹を研究して、真実は3つの根幹を認めるヒトと共にあることが後に明らかとなった場合、3つの根幹は5つの根幹の中心にあるので、実際のところ、5つの根幹の中にある3つの根幹も同時に研究していたことになる。だが、初めに、3つの根幹だけを認める宗派から論議・研究した場合、5つの根幹を認める者と真実は共にあると後に明らかになったとすると、我々は損失を被ったことになる。
5つの根幹教義(12イマーム=シーア派)
3つの根幹教義(スンニ派、その他)
よって、理性は初めに研究を12イマーム=シーア派から開始するように命じる。
以上
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