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『三里塚に生きる』English Title : Living in Sanrizuka

最近まじめに映画紹介を更新しようと思ったのは、この映画を見たから……というのが1つ(あともう一本は、次回紹介予定の『シャトーブリアンからの手紙』)。
 最近ちょっと気になっていたのは、羽田空港があまりに便利すぎてつい羽田便に乗りたくなってしまいますが、なんだか成田を打ち捨てていいのか? あんなに地元のお百姓さんたちが「ここに空港を作らないでくれ」って闘争して、双方に死者も出て、鉄塔立てたり(この鉄塔のおかげで飛行機は飛べなかった)投げるものが糞尿弾だったり、合法的な範囲ででも言論だけじゃないまさに「闘争」して、それでも彼らの気持ちを押し倒すように開港されちゃった空港が、今度は空港そのものが打ち捨てられていく……別に当事者でもないのに、「それでいいのかなあ」という気持ちが残っていたところに試写があったので、すぐに見に行きました(3時間近い長い映画でした)。
 「成田闘争」がそもそもなぜ「三里塚闘争」と呼ばれるのか? という点から始まって、この件をちゃんとわかってない自分の疑問に、たくさん答えてくれる映画だった。

はっきり言えることが二つ。一つ目は、この反対運動は、新左翼などの思想グループの支援を受けてはいるが、地元の人の地元のための、文字通り地に足のついた、シンプルで素朴な生活権運動だったこと。
 もう一つ言えることは、地元の人が反対している公共事業というのは、彼らだけの利益を追求したものではなく、事業の内容的にも「?」である可能性が高いということ。地元の人と共存共栄で利益が見込める事業なら、そもそもこんなに反対しないわけです。実際、成田空港は利用者から評判が良かったことがないまま、再び羽田にその役目を譲ろうとしている(でも第3滑走路作ってるんですってね)。

映画を見て知ったこと。この反対運動をした人たちは、「先祖代々の土地」を守ろうとして闘ったのかと思っていたが、ある地域は満蒙開拓団からの引き上げ組が戦後入植して開墾した土地だったということ。満蒙で一から開拓してその土地がゼロになってしまって、成田でまた一から開墾して(しかも当時は鍬と鋤で)それがまたゼロになろうとした。そりゃー反対するでしょう。
 もう一つは、この地域は完全な自給自足ができていた。食べるものだけでなく、裏山には薪とわき水があり、それを使っていたので、電気、ガス、水道が必要なかった。だから、それらの土地を現金換算して(そうなると低い)その土地を保証金にしたら、人々はたちまち暮らせなくなってしまった。
公式サイト http://sanrizukaniikiru.com/

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