見出し画像

空き家のグランドピアノ

近所に空き家があって、売られていた。

買い手がつかなかったようで、
年末に壊され始めた。
年末年始がはさまったから、
解体がたまたま途中になって
家の中がずっと見えてた。

ある時、車で通り過ぎると
黒いものが見えて
えっ!と思って
引き返して見に行ったら
グランドピアノがあった。

解体中の家にあるのなら
もう壊れてるやろうな…と思いながら
自分がそこに悶々としてることに
年明け気がついた。

私が悶々としてどうなるんやろう?
もしあのグランドピアノが
無事だったとして
私は譲り受けたいのか?
でもグランドピアノ、、置く場所ないし。

私は、多分
そのグランドピアノの気持ちになっている。
この世に生まれてきて
ずっとずっと良い音出していたい。
形がなくなってしまったら、
音が出せなくなるよ。

他のピアノで代わりはいくらでもある
かもしれない。
でも、あのピアノにしかできないこともある
かもしれない。

「存在していたい」

が強いな。

そうかそうか。

そのグランドピアノは、
昨日バラバラになってなくなった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?