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コロナ禍のひきこもり支援③ 「10万円は課金します!」

10万円の特別定額給付金がほどなく支給されます。

この10万円については、ひきこもりの当事者たちは、どんな気持ちを持っていて、どういうふうに使うのでしょう。

ひきこもりについて、僕はタイプを5つに分けていて、スムーズに治療を受けたり、あるいは障害年金などを受け取る手続きをできる人は、タイプゼロ、1、2の人たち。タイプ3、4の人たちはまず治療を進んで受けたり、障害年金の申請を進んでしたりすることはありません。

タイプについては、家族教室にきている方には繰り返し説明しています。訪問支援をするにあたって、ある程度方針を定めながらやらないといけないため、僕個人が訪問時に定めている基準です。病気や障害とは異なります。

簡単に記すと、タイプゼロは、精神疾患の可能性もほとんどなく、ある程度の成熟度もありながら、思春期の孤立などが長びいて長期ひきこもりに陥った人たちです。タイプ1は波の激しい人です。タイプ2は助けを求めるタイプで、ひきこもりの居場所などに比較的多いかと思います。

タイプ3は逆に助けを求めようとしない人、タイプ4は自身の家族ともほとんどコミュニケーションのないケースです。

現在のセーフティーネットである障害年金や生活保護では、申請しないと補助や助成を受け取れません。中には自分がひきこもりとか、心の病気を患っていると思いたくないことから、頑なに拒む人もいます。ですから、タイプ3や4の人は、セーフティーネットをスムーズに受けられないことが多く、しかもひきこもり状態はより深刻であることが少なくありません。これが8050問題をより複雑で難しくしています。

今回の特別定額給付金の10万円は、住民基本台帳に名前の載っている人であれば、誰でも(外国人であっても)受け取ることができます。若干の申請作業は必要ですが、それでもタイプ3や4の人でも受け取りやすい性質のお金であると言えます。これは画期的で、歓迎したい決定ですね。

僕はタイプ3や4のひきこもりの人でも、最低限の生活資金を受け取ることができるようになればいいと思っていて、そのためにはベーシックインカム(最低生活費の一律支給)が適していると考えています。誰かにお伺いを立てる必要も、手続きもいりませんし。

もし今回の10万円の給付が毎月繰り返して行われれば、それはベーシックインカムとほぼ同様となりそうです。

今回の10万円ですが、使い道はどういうものがあるでしょうか。ひきこもりの当事者の場合、生活費は親に依存していることが多く、その場合はほとんどお小遣いとなります。ただ、一人暮らしを始めて自活している人もいて、そんな人には貴重な生活費になっています。

ただ、中にはゲームに深く依存している人もいて、その人は即座に「全額自分が好きなゲームに課金します!」と言っていました(笑)。この10万円の使い道は自由ですし、使えば経済効果はあるでしょう。ただ、僕でも全額ゲーム課金するのはできれば控えてほしいとは思います。

だからと言って、無駄遣いされてはたまらないからと言って、家族が子供の十万円の使い道を恣意的に決めてしまっていいでしょうか。それはいけないと思います。(ただ、生活費が厳しいご家庭では、10万円の一部を話し合いのうえ、生活費として家に入れることはありかとは思います)

この当事者への10万円がどう使われるか。はたして当事者が主体的に使えるのかどうか、それとも家族がこの10万円の使用権を奪って管理し、当事者を傷つけたり、子供扱いしてしまうのか。10万円をめぐっては、本人の使い方だけでなく、家族の対応の仕方も問われています。

考えてみれば、10万円の振り込みは、本人の口座でなく、世帯主の口座に振り込まれますし。

(もちろん、10万円は本人自身が使ったり貯金したりすることが、本人の精神的自立に寄与することになります、ただ、お金は薬にもなれば、毒にもなるので、その辺は気をつけましょう)

サポートしていただければ幸いです。長期ひきこもりの訪問支援では公的な補助や助成にできるだけ頼らずに活動したいと考えています。サポート資金は若者との交流や治癒活動に使わせてもらいます。