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3 ある年の冬・・・

その時・・・私は病に倒れ、生死を、さ迷っていた。
いくつかの偶然が重なって、奇跡的に助かった命だという事が、後になって解ったのだった。

私はその頃、公私共に多忙を極めていた。
派遣会社に勤務していた為、年末年始は、派遣の請負先企業へのご挨拶やら、人材の補充等で一年の最も忙しいピークが到来していた。

その時期、私にとって一番の気がかりは何といっても、夫にその少し前に癌が見つかった事だった。
彼の癌を見てくれる病院の選定、病院への同行、夫の体と心のケア。
                                      
実は私も心身共に消耗していた。少し立ち止まる必要があったと今になって思うが、その時期は夫も仕事も待ったなしの状態だった為、自分自身の体をおろそかにしてしまっていた。
そんな中で私が倒れたのだった。

幸いにも夫は、その時点では、まだ体力もあり本人の希望で、仕事には通っていた。
彼の職場の上司や同僚達も、彼の病気の事を把握した上で、配慮した勤務日程などをして下さり、本人も仕事に行くのを楽しみにもしていた。

そんな状況だった事もあり、私の入院先が自宅から徒歩5分の所だったのも幸いし、夫は毎日見舞いに来てくれていた。
突然の私の病は、その時は元気だった夫を、とても不安にさせたに違いない。
彼の死期を早めたのは、私だったんじゃないかという後悔も実はある・・・。


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