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スマホを持たずに1日過ごしてみた

9:40 スマホが無いことに気づく

スマホを家に忘れてきた。自宅のリビングで充電していたのだが、リュックに入れたと勘違いしていた。それに気付いたのは最寄駅に向かうバスの途中。しかも今日に限ってパソコンを家に置いてきた。つまりこのままでは連絡手段が何も無い。折り返すのは面倒くさい。

幸運にも今日は大学に行って授業を受けて夕方に帰るだけの、サルでもできるイージーなスケジュールだった。それに腕時計を付けているし財布にお金は十分あるし、1日ぐらいならスマホが無くてもいいか、と本田圭佑も顔負けのスピードで気持ちを切り替え、スマホを持たずに1日を過ごすことにした。

9:45 教科書を読む

リュックの中を見たら大学で使う教科書と、筆箱と、大学5年の後期にしてやっと書くようになった授業のノートしかない。いつもなら片道1時間の通学中、音楽を聴きながらSNSをチェックして過ごすのだが、スマホを忘れて来たので何をしていいか分からない。あまりに暇なので教科書を読むことにした。

読んだ教科書はこれ。表紙がなんかカッコイイ。

11:00 授業に出る

教科書を読んでいたら一瞬で大学の最寄り駅に着いた。マジで一瞬だった。教科書の内容が面白かったので駅から大学までの道のりでも歩きながら読んでいた。大きめのリュックを背負い、教科書を熱心に読みながら歩く僕の姿はもはや「平成の二宮金次郎」だった。教室に着き、ほどなくして授業が始まった。いつも僕のスマホは朝も夜も関係無く色んな人から仕事やらDJやらの連絡が来ており、常にスマホの通知欄をチェックして過ごしているのだが、スマホを忘れて来たのでスマホの通知を気にせず授業を受けることができた。それに加えて二宮金次郎モードを発動しているのもあって前のめりな姿勢で集中して授業を受けることができた。

二宮金次郎(http://dada-journal.net/culture/articles/897/より)

12:30 昼休み

そのあと、昼休みがやってきた。スマホを忘れて来るとキャンパスの周りのオシャレグルメを探すこともできないので滅多に行かない大学の学食で済ますことにした。思いつきで頼んだ「シェフのきまぐれ」という450円の定食が"きまぐれ"の域を超えてめちゃくちゃボリューム満点だった。普段なら面白がってSNSに写真をアップしているのだが、スマホを忘れて来たので写真を撮ることも、その写真をSNSにアップすることもできなかった。だが、SNSにアップするのに時間を要して定食に付いている絶妙にぬるいスープが完全に冷えたスープになることも、「イイね」の数が気になってスマホをチラチラ見ることも無かった。今日の僕はひたすら「シェフのきまぐれ」と対峙するだけだった。

青学の学食。味は普通だが異常にコスパが良い。

13:20 課題をやる

昼休み明けは空きコマ(授業を入れてない時間のこと)だったが、まだ二宮金次郎モードが終わっていないので次の授業の課題をやることにした。いつもカフェに入る時はドアに「Free Wi-Fi」のシールが貼ってあるタイプのカフェにしか行かないのだが、スマホを忘れて来たので関係無い。なんてストレスフリーなんだ。おかげで良い感じに空いているカフェに入ることができた。イスに座ったらテーブルにWi-Fiのパスワードが書いてあった。あ、結局あるのね。

課題には面倒な計算問題があったのだが、スマホを忘れて来たのでスマホの電卓機能が使えない。オシャレなカフェの片隅で狂ったように筆算を開始するガリレオモードは発動していないはずなので、コンビニで電卓を買った。普段ならスマホの電卓で計算をしている途中でLINEの通知に目が行って目的を忘れるところだったのだが、スマホを忘れて来たおかげで課題に集中することができた。

16:50 素敵な出会い

本日最後の授業を終え帰宅しようと思ったのだが、スマホを忘れて来たので帰り道の暇つぶしツールが無いことに気づく。残念ながら二宮金次郎タイムも終わっているので、大学までの道のりと同じように教科書を読み漁る気力は無い。

大学のブックカフェに入り、ふと目に入った「宝くじで1億円当たった人の末路」という本のタイトルに心を奪われて購入。店員さんがブックカバーを付けてくれなかったが、スマホを忘れて来た低俗な僕には「ブックカバーを付けて欲しいです」と主張する権利も無く、本のタイトルが晒し上げられたまま読むことになった。

読書を長らく避けていたので知らなかったが、この本は昨年に発行されて大きな話題となり、ドラマ化までされているらしい。もちろんスマホを家に忘れて来るような低俗な人間でも楽しめた。スマホを忘れていなかったらこの本とも一生出会わなかっただろう。誤後日、noteでこの本について感想を書くかもしれません。

17:00 友人とバッタリ会う

大学の最寄の駅で友人とバッタリ会った。彼は新しいビジネスを始める準備をしている東大生で、ビジネスを始めるにあたって僕に相談したいことがあるから飲もうと言われた。その場で飲みの予定を設定しようとしてくれたが、スマホを忘れて来たので自分のスケジュールが分からない。とりあえず予定は後日合わせることになったが、こればかりは申し訳ない気持ちになった。

18:30 無事帰宅

帰宅してすぐにスマホをチェックしたら案の定めちゃくちゃ通知が来ていた。電話が2本も来ていた。お返事遅くなりすいませんでした。メルカリで値引き交渉をしていた商品が値引き後に他の人に購入されていて、めちゃめちゃヘコんだ。

まとめ

様々な情報が飛び交う現代社会においてスマホが無いと不便だが、スマホを忘れて来たおかげで二宮金次郎になれたし、素敵な出会いもあった。いつもなら途中放棄していた面倒な課題も最後までやれた。

SNSはいつでもどこでも誰かと繋がることができるため孤独感からは逃れられるが、常に正論だけが良しとされる集団行動を強いられているような気がして窮屈感すらある。それに必ずしも便利さ=豊かさとは限らない。スマホを忘れて来るのは、たまにはいいかもしれない。

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