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クローゼット制服化への道=一生モノコートは必要か

一生モノ
私にとっては、その言葉の響きはとても甘美で、魅力的だった。そういうアイテムは大抵高価だったし、名品として世間にPRされていることが多い。

品質が劣化しないものが、おそらく一生モノという冠は相応しいと思っている。ファインジュエリーに高品質の革、そしてシルクとカシミヤ。私もそういうアイテムをコツコツ増やしたいとずっと思ってきた。雑誌で特集されるような名品ジュエリーやバッグに憧れたのは一度や二度ではない。

今年気になっていたコート

ここ数年追いかけていた国内ブランドSHE tokyoが好きな理由は、職人による物作りと素材の品質にこだわっているところ。美しいパターンと縫製、そして糸や生地のクオリティ。年に数回開催されるシーズン受注会で、ブランドディレクターさんが紹介する中で恐らくトップ3に入る言葉は【唯一無二】【極上】【職人による最高品質】なのだが、毎度その美しさと希少性に心を動かれてしまうのだ。

この猛暑が始まる7月。今回の2024AWのニットコート受注会もそんな逸品ばかりが並んだ。カシミヤもダイヤと同じく9ランクに分けられているが、間違いなく最高ランクのカシミヤを使っているということ、名だたるブランドと取引のあるイタリアの老舗メーカーからこんなクオリティのものは滅多にないと言わしめるほどのカシミヤ生地で作られたコート。生地から艶玉が見える素人にもわかる“良さそうな生地”。それはすべすべしていて実際にとても肌触りが良い。人の持つセンサーってすごいなと改めて思う。触った感じが気持ちいい、心地よいって服選びに本当は一番確かなものなのかもしれない。

そしてその極上コート。ブランドディレクターがどの色を選んでも後悔させません!と断言したコート。中間マージンによって上乗せされる価格が、極限まで抑えられたというカシミヤコートは36万円。
一生ものであるなら、仮に15年着用したとしても年間2万円ぐらい。安いのかもしれないと思えてくる。巷で見かけるおしゃれなそこかしこのコートですら5〜
8万円はするのだから、飽きて着なくなるぐらいなら、名品としてクローゼットに並べるのはいいのかもと思った。これが仮にメジャーブランドの冠を乗せることになれば、倍にはなるだろう。MAX MARAのコートだって、70万円はくだらないのだから。


一生モノのコートを見送った理由

結局今年私はそのコートを見送った。
理由は割とシンプルだった。

【買わなかった理由①】
今気に入っているコートで事足りている。欲しいのは定番の黒。黒だからこその素材の違いはわかるけれど、その素材の違いがわかるような場所に行く機会はどれぐらいあるだろうか。惜しげなく多少の雨や跳ね返りも気にせず着られる現在の軽量ウールコートの方をつい手に取ってしまうだろう。

【買わなかった理由②】
私にとってシンデレラサイズコートではないから。
以前の記事でも少し触れたように、私の小さなこだわりの一つが丈感。今私が愛しているスカートの丈感で言うと、コートに必要な総丈は少なくとも120cm以上。通年ヒールのない靴を履いているため、120~130cmが最適。
そしてこのコート、なんと117cm。たった3cmなのだが、ちょっとでも下からスカートが覗いているスタイルが私は受容できないのだ。

ーもし私が富豪だったら買っていただろうか。
ーそのコートの裾からのぞかないようにもう少し短い丈感のスカートにチェンジしたら着られるんじゃないか。
ー最高のカシミヤコートを手に入れる機会はなかなかないんじゃないか。
ー来年はもっと値上がりするだろう。

それでも受注期間中に買わないという決断に自信が持てず、自分がそれを買うに値すると言う理由を自問自答しまくった。ただ結局毎日それを着ますか?と言う制服化という自分の目的を思い出したら、あっという間に“今は要らない”という結論に至ってしまった。

そうそう、そういえば、昨年このブランドで形違いのカシミヤコートを買ったのだ(笑)もちろん昨年もこのカシミヤ最高品質に飛びついたのだったが、実際手元に届いてみたら、自分には勿体無いかもと思ってしまって、あまりときめかなかったのだ。昨年のカシミヤ生地は日本製で艶というよりはマットの漆黒だったのだが、それもあまりときめかない理由だった。触っている自分には素材の良さがわかるのだが、パッと目に黒の素材の違いがあまりわからなかった。(残念な自分笑)
仕方なく早々に手放すこととなった。
昨年の経験から私は学ばなくてはならない。同じ失敗を繰り返してはならない。


私にとっての一生モノのコートの定義

品質×デザインに一目惚れできたかどうか
そういう意味で今回はデザインで諦めたのだった。
富豪でもない自分にとっては、一生モノのコートには一ミリの妥協も不要なのだと思った。

追記
ちなみに現在私のクローゼットにはロングコートが6着もある(^^;;
これをどうやって絞るかはおいおい考えよう・・・。

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