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最速の選手はどこに用いるべきなのか?アスリート・エンドが動かすゲームプラン|タッチフットボール

最速の選手は、どこに用いるべきなのか?

これまでの記事で、違いを作り出す「QBの機能性」の話をしてきましたが、一方、2019年ファイナルタッチを見て、エンドの機能性がゲームを動かすフェイズに入っているのではないか、と感じました。

たとえば、RISE対BOOZERSなどを見ていると、お互いに強い武器がある中で、一瞬の不意をついてビッグプレーを出すエンドの活躍は、ゲームプランに盛り込むことが難しいゆえに、瞬時のゲームメイカーになり得ます。

アスリート・エンドとゲームプラン

中でも、とくに目を引かれたのは「アスリート・エンド」による1プレーがゲーム結果を大きく動かしたシーンです。ファイナルタッチ2019のBOOZERSの予想外の敗退も、RISEエンドの「インクレディブルな」パスディフレクトが、BOOZERSのゲームプランに影響を与えたことによります(クリックで8分10秒のシーン)。

ところで、先日紹介した、ラファーガのアクロスパスをディフェンスの視点で見ると、エンドの素晴らしい動きが見えてきます。

エンドの機動力を生かす

ラッシュに入っていた左エンド#27土居選手は、自分の背後に通されたパスに反転しパシュート、その後内側のカットバックコースを切ってタッチダウンを防いでいます。最前線のポラマルとでも言えそうな機能性です。

予想としては、今後、このような機動力を生かした、全方位に動けるオールマイティーなエンドが活躍すること、また、エンドの機能性を武器にした、たとえば、エンドの位置におくフリーマン、など、新しい戦術パッケージも期待できるのではないでしょうか。

高速ラッシュにどう準備するのか?

一方、女子では「アスリート・エンド」の流れは、たとえば5~6年から神戸大の守備モデルで確認できます。

学生女子リーグでは、こうした高速ラッシュへの準備の有無によって、神戸・武庫川のいわゆる「ツインピークス」と残りのチームに差が見られる状況が続いています。

なぜこの2チームが勝ち続けるのか

「なぜ女子でこの2チームが勝ち続けるのか」、という疑問は、ひとつには郡山界隈では「1.5秒の壁」(スナップからスローまでの時間を切り詰めるモデル)と呼ばれる「技術優位」に帰結することが、2011年ごろのゲーム分析で可視化されていました。しかし、他チームではこの技術を獲得するノウハウやチャンスがなかなかありませんでした。

最近の成城大が見せた「超クイックリリース」戦術は、こうした問題へのトライであり、アスリート・エンドへの対応と考えられます。

機能性に優れ、ディフェンスラインを揺さぶってくるQBと、それに果敢に挑み続けるエンドの、1試合でおよそ40回にも渡る攻防は、タッチフットボールの大きな魅力です。

エンドの高機能化は、今後、タッチフットボールの攻守の戦術にどう影響を与えるのでしょうか。注意深く観察していこうと思います。


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