"気絶"してきました
『結局メイドカフェってなんなんだ?』
オタクたちはその答えを求め様々なメイドカフェに通い、そして、今まで以上にメイドカフェとはなんなのかわからなくなる。
これはわりと”あるある”だと思う。僕もその迷路から抜け出せないでいる。そして、今回はその迷路がより複雑になってしまった。
”気絶”である。
・気絶について
そう。今回は最近やたらとコンカフェ界隈でその名が挙がる気絶さんにご帰宅して来た(ちなみに2回目)。
気絶をこれまでのメイドカフェの文体で説明するのは難しい。
気絶のサイトにはこう書いてある。
『当店、メイドはいますが「萌え」はありません。』
じゃあ、クラシカル系なのかというと、そういうわけでもない。
なんというか、サブカルなのである。
本棚を見てもらうとわかりやすい。
気絶がどういうお店なのか、そして、オーナーさん(気絶では舎長さんと呼ばれている)はどういう人間なのか、とても雄弁に語ってる。
これほど吾妻ひでお氏の『失踪日記』がしっくりくる本棚も珍しい。そして『よつばと』が揃えられているところに舎長さんの人柄の良さがうかがえる。
・いざ、ご帰宅
僕もわりと山本直樹とかサブカルが好きなので、2回目のご帰宅するにあたって、もし舎長さんがいたら、サブカルトークでもできればいいなぁなど思って店に向かった。
ちなみに気絶は昭和感漂うスナック街"湯島"にある。
おじさんの楽園のような湯島が醸し出すノスタルジックかつ怪しい雰囲気は凄まじく、僕は秋葉原しか行かないオタクなので1回目はけっこうビビってしまった。
そんな湯島の、これまたスナックばかりのビルに入り、年季の入ったエレベーターで6階まで上がると、気絶はある。
入店。
給料日後の日曜の夜のためか、店内は結構混んでる様子。
舎長さんもいる!
しかし、少しバタバタしている。
落ち着いたら話しかけよう。
メイドさんにカウンターに案内してもらい、ドリンクの注文をする。
メイドさんは1回目に来た時と同じ人だ。
話を聞くと、ワンダーパーラーにお嬢様としてご帰宅しまくっていた過去があるらしく、推しのメイドさんに手書きの似顔絵を書いて渡していたなど、かなりのガチっぷりだった。
結構メイドさんとのお話はスムーズに盛り上がったのだが、依然として舎長さんとはまだ喋れないでいる。
そのあたりでは店はだいぶ落ち着き、舎長さんに話しかけるスキもあるのだけど、それができない。
シンプルに話しかけるのが恥ずかしい。
僕はもともとひどい人見知りなのだ。
メイドさんだったらメイドカフェに通い詰めたおかげで、まったく自然に会話できる。訓練の賜物だ。
しかし、それが自分より10以上年上であろう男性となると話は別だ。
なんて声をかけていいのかわからない。
舎長さんは別のお客さんと談笑している。
もしかしたら舎長さんはメイドさんと楽しくしゃべってる僕に気を使ってほっといてくれているのかもしれない。
もしくはメイドさんと喋れない他のお客さんのところに回ったのかもしれない。
話しかけられなくなるための言い訳ばかりが浮かんでくる。
完全に片思いの女子に声をかけられないでいる思春期男子である。
そんなこんなでそのまま、もう閉店時間になってしまった。
ゲームセット。
帰り道、気恥ずかしくて気になるメイドさんと喋れなかったメイドカフェに通い始めたばかりのころを思い出して、なぜか甘酸っぱい気持ちになった。
・感想
しかし、まぁ、ここまで客に話したいと思わせるオーナーも珍しいなと思う。
他のお客さんたちも、舎長さんと喋ってるとき、とても楽しそうにしていた。
僕が思うに舎長さんは、メイドさんやお店の空間、デザイン、トーン&マナーなど、構想をアウトプットするのがとても上手い。
気絶の中にいるとき、我々は舎長さんの夢の中に迷い込んだ体験ができる。
だから、みんな舎長さんに好意を抱くのだろうなと思う。
まさに”オーナー推し”という現象。
メイドカフェの定義を改めて考えさせられた。
また行きます。
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