【論文メモ】Decarbonizing the international shipping industry: Solutions and policy recommendations. (Wan et al., 2018)

1. 概要

IMOは2003年にResolution A.963を採択し、MEPCに対し国際海運におけるCO2排出を技術的、運用的、市場本位の方向で規制することを要請したが、その動きは鈍い。

本論文では、上記施策の現状について再検証している。具体的には1) パフォーマンスベースの評価には効果的なCO2排出削減に影響する抜け穴が存在する、2) 減速運航による燃費削減は、即時性はあるものの削減効果には限界がある、3) 市場本位のアプローチは不可欠である、という3点について議論する。

2. メモ

・EEDI規制によって大型原油タンカーのCO2排出はむしろ増えるという研究もある。

・船舶のCO2排出削減の為のコスト($50-200/ton)が米国の排出権価格($5-10/ton)よりも遥かに高い。

・減速運航について、マーケット上昇局面では機能しないのではないか。

・EUは、もしIMOが2021年迄に同等のスキームを導入できなければ、2023年迄に海運業界をEU-ETSに組み込む声明を発表した。

・海運業界において、排出枠をめぐる合意を形成するのはチャレンジングである。

・航空業界で採用されている方法をそのまま海運業界へ応用することは不可能である(サイズや運ぶ貨物が船により大きく異なる為)。

・例えば、バルクキャリアは8.4g(per km ton)、冷凍船は80.4g(per km ton)のCO2を排出する(10倍もの差が存在する)。

・排出権取引は費用対効果の高いCO2排出削減を達成する為の最良のアプローチであるとされている。

・海上荷動きが1%変わると、炭素排出量が0.85%変わる。

3. 出典

WAN, Z., EL MAKHLOUFI, A., CHEN, Y. & TANG, J. 2018. Decarbonizing the international shipping industry: Solutions and policy recommendations. Marine Pollution Bulletin, 126, 428-435.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0025326X17310214

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