【論文メモ】Financing a sustainable ocean economy (Sumaila et al., 2021)

1. 概要

我々の地球のシステムや暮らしに不可欠なものである海が、気候変動により人為的なプレッシャーや気候変動により脅かされている。持続可能な海洋経済には十分な資金が必要だが、未だ大幅に不足している。本論文では、資金調達に対する障壁を明らかにし、その障壁を取り払い官民双方からの投資を促進する方法を提案する。

2. メモ

・2010年の全世界の海洋経済(漁業、海運、洋上浮力、観光、海洋生物工学)の経済効果は1.5兆米ドルであり、コロナ禍以前の予想では2030年には3兆米ドルにまで成長すると目されていた。

・2100年までに、港湾の保護・人々の移動・土地の喪失など海面上昇(0.5~1m)にかかる経済的損失は2,000億~1兆米ドルにのぼると予測されている。

・Binet et al.(2015)は、地中海地域だけでも海洋保護区(MPA)の管理に必要なコストが年間7億7,640万米ドル不足していると算出した。

・海洋の情報や知識、その社会的・経済的価値は無視されているか過小評価されている。

・Hoegh-Guldberg et al.(2015)は、世界全体の海洋水産物の生産額は年間2.5兆米ドルに上り、仮に海全体が国家であればGDPが世界7位に位置すると予測した。

・海洋投資は高いリスクを伴うため、多くの課題を克服し新たな形の資金を呼び込む必要がある。

3. 出典

SUMAILA, U. R., WALSH, M., HOAREAU, K., COX, A., TEH, L., ABDALLAH, P., AKPALU, W., ANNA, Z., BENZAKEN, D., CRONA, B., FITZGERALD, T., HEAPS, L., ISSIFU, I., KAROUSAKIS, K., LANGE, G. M., LELAND, A., MILLER, D., SACK, K., SHAHNAZ, D., THIELE, T., VESTERGAARD, N., YAGI, N. & ZHANG, J. 2021. Financing a sustainable ocean economy. Nature Communications, 12.

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