職務上請求書の不正利用はやってはいけません!

行政書士が戸籍を不法に取得したことで逮捕されました。

いわゆる戸籍等職務上請求書を不正に利用してある女性の戸籍を取得したというものです。

相続とか遺言に関してはもちろん、その他の業務でも戸籍や住民票の添付が必要な手続きは多いです。個人に用意してもらうことが難しい場合、たとえば忙しいとか何を請求したらいいかわからないなど理由は様々ですが、行政書士などの士業が専門家として取得できる制度として職務上請求書を使って、適正に利用することをある意味で制約して目的等を明らかにしたうえで役所に謄本(抄本)を請求することになります。

たとえば、相続関係の仕事では出生までの戸籍をお客さま個人で揃えることが難しい場合も多いです。戸籍そのものの読み方がわからなかったり、そもそも本籍地がわからなかったりする場合、現在の住所が明らかでない場合などです。

郵送でも窓口でもこの請求書は使えますが、窓口での審査には役所により濃淡はあります。ですが、確実に理由は聞かれます。

相続であれば依頼人とその関係が説明できれば、つまり相続人と被相続人との関係を明確に記載する必要があります。そしてその原本を最終的にだれが保管するか、もしくは原本をどこの役所に提出するのかを記載します。もちろん行政書士証票(身分証明書)を提示しなければなりません。

戸籍法上、第三者による戸籍取得通知という制度があります。役所に通知請求登録をしておくとたとえそれが行政書士などの職務上請求書であっても通知はされます。相続であっても同様です。

今回の事件はこの本人通知制度により本人に通知され、そんな依頼は誰もしていないことで調査され不正請求とされたようです。

この制度はストーカーや親権保護など様々な目的で利用することができますが、特に理由は必要ないので、気になる人は住所地と本籍地の両方に通知しておくと個人情報の保護に有効です。

相続の場合、兄弟であっても戸籍請求することはできませんから、委任状をもらうか、士業の方にお願いすることになります。どの事務所でも同じですが、戸籍取得には慎重を期していますから、依頼人には必ず同意をいただくと思います。

ただ、法定相続人全員の同意を得るかとなると微妙です。依頼人に、連絡をしておいてくださいとお願いするだけで済ませる書士もいるでしょう。もしかしたら戸籍は当方で戸籍をすべて取得します、と話すだけで終わりにしてしまうこともあるかもしれません。ですがこのような事務所は説明不足かもしれません。

私は、依頼人にお願いすることはもちろんですが、できれば推定相続人全員の連絡先を聞き、電話で一報入れます。そこでまず拒否されることはないでしょう。本人通知制度を利用していればその旨申し出てもらえるでしょうからその場合は本人に取得をお願いすることになります。

最近よくある広告で「丸投げ」というのがあり、戸籍等の取得からすべてお任せください、というものも増えています。

できれば、戸籍の取得は戸籍名義人の同意を取得すべきなので、依頼のときにどこまでやってくれるのかを確認した方が良いかもしれません。

今回の事件は探偵を介して行政書士が行ったもののようですが、これは論外としても、正当な依頼であっても、士業はできる限りの配慮が必要でしょう。そうした配慮のできない事務所はトラブルを生みやすいと考えています。

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