水爆

あんたどうしてる？
あんたの声を聞かせて

あんた何も知らない
あんたいつの間にか笑ってる
汚いアパートの一室で
出稼ぎ中国人に
性器を口に含まれながら
大事なことは全て消えてしまうとうそぶいている

どこに行けばいいのか
何をすればいいのか
あんた迷いながらへらへら笑う
あんた泣きそうな顔で首を絞める

あんたどこにいる？
あんたの声を聞かせて
夜になってアメリカ軍がパンを持ってくる
ズタボロになった着替えを剥いで
跪く合図のラッパを鳴らす
あんたは頭を垂れる
あんたは排泄もできない信仰も持たない感謝も出来ない
あの世にお前らみたいな奴らが沢山いるって
お前らみたいな奴らが沢山
お前らみたいな

何もかも夢みたいに消えてしまうって
どこにいるのかも
何を思っていたのかも
目を閉じて目を開くと
何もかも夢みたいに消えてしまうって

あんた何してる？
あんたの声を聞かせて
あんたに会って
あんたとケンタッキーを食べて
あんたの頬についたケチャップを指で拭いて笑って
もうこんなことは起きないだろうと
祈るように呪うように
後ろから頭を押さえつけて犯してる

不透明な夜の中の
不安定な道の先に
不思議な夢の話を
ひとつ、ひとつ
あんたは泣きながら話し出す
もうこんなことは起きないように
もう二度とこんなことは起きないように

あんたどこにいる？
あんたの声を聞かせて
声を聞かせて
夢のような閃光と爆風で消し飛んで
何もかも汚していく抱えきれない放射能の中で
あんたの声を探して
光の中で線になって途切れてく
声もなく影もなく夜もなく
何もかも間違いだったね
もう二度とこんなことは起きないように
目を閉じて耳を塞いで
あんたの声を思い出す

あんた何してる？
あんたの声を聞かせて
焼き付くような喉から血が溢れて
溢れるような掠れた声を
声を聞かせて