蜘蛛の巣にからめとられている話。

インスタのストーリーでで流れてきた言葉が気になって、ツイッターで検索してみたら、SixTONESの松村北斗さんの連載の話で、それを読んで、大学に入ったばかりのことや東京に行った年に起こったことを思い出したから、書いてみようと思う。
当たり前のことなんだけど、忘れがちで、だからこそ、折に触れて思い出すようにしていること。
彼はジャニーズのアイドルで、当然有名な人で、彼の書いた(であろう)文章を読む限り、今まだ25歳?で中学生の時から、有名であるということで10年以上こんな思いをしている彼の恐怖は、現在の思いも含めて想像しがたい。それとは比較にならないけれど、気を付けることは、知っていることは、大切なことだと思うから。


私が大学生になったのはずいぶん前のことで、インターネットは存在していたけれど、今みたいにSNSが何種類もあった時代ではなかった。それでも、ニュースはテレビよりもネットニュースから手に入れる方が多かったように思う。

大学に入って、いくつも取った授業の中で、初めてのレポート提出があった。それは私の在籍していた1年生全員が前期に履修する必修科目で、その中間審査のような意味合いのレポートだったと思う。だから当然のように、ほぼ全員の1年生がレポートを提出し、提出期限明けの授業で、先生の講評があった。

「Aをつけたのは、8人です。あとは全員、CとDです。」

そう、先生は言った。教室がざわついて、そのあと、ほぼ1年生しかいない教室には、沈黙が訪れた。その沈黙を、先生が破った。

「大多数の皆さんは、インターネットを使ってこのレポートを作成していました。その情報が正しいものだと、何を以て判断しましたか。その正確性について、精査しましたか。文献にはあたりましたか。レポートの書き方については、調べましたか。インターネット上にある情報は、まるで正しそうに見えますが、本当に正しいのですか。」


今の若い子たち、デジタルネイティブと呼ばれる世代には、当たり前のことなのかもしれない。インターネットを介して得られる情報については、その情報の正確性に対して、懐疑的であるべき。これを、18歳の私に、先生は突き付けた。その年入学の1年生全員に。この授業が1年生前期の必修で、どの授業よりも先にレポートの課題を出すのは、学部が、学部生にまず突き付ける基本中の基本だったのだなと、あの時から思っている。
真実のように見えることと、真実は違う。全く違う。下手をすると、正反対の可能性すらある。それだけは、忘れないように。18歳の時から、あの授業のことだけは忘れない。


もう一つ。大学を卒業して、東京(ほぼ神奈川だったけど)で一人暮らしを始めて半年くらいたったころ。
大阪でも一人暮らしではあったけれど、大家さんが前に住んでる、女子だけしか住んでいないようなところで、そこがかなり安全だということに、私はイマイチ気づいていなかった。
何も考えずに1階の部屋を借りた私は、半年後、ドアについた新聞差しの向こう側から、目が光っているのを見てしまう。

今思い出しても、人生において一番の恐怖はこの時だった。
カチャッと音がして、その方向を見たら、そこから2つの目がのぞいていた。一瞬何が起こったのかわからなくて、そのあと、あまりの恐怖で体が震えて、心拍数が信じられないくらいに上がっていくのがわかって、動けなくて、ドアを開けて追いかけるなんてもちろんできなかった。そのあとで、なんとか冷静になった私は、新聞差しをガムテープでふさいだ。

ベランダ側から知らない人が見えたことも確かに1度あったけれど、その後は在宅中すら基本的にカーテンを開けずに過ごすことで、大丈夫だと高をくくっていた。家の鍵なんてかけたことのないようなド田舎に生まれ育って、大学で関西にはいったものの、それほど都会でもなかったうえに、女子しか住んでいない、大家さんが目の前に住んでいるようなアパートに住んでいたせいで、気づかなかったのだ。自分の住んでいる部屋が、どう考えても、危ないということに。

誰にも話せなくて、正直、それから1週間くらいはあまりの恐怖でまともに寝られなくなって、バイト終わって帰るのが怖くてたまらなくて、どうしようかと思っていたけれど、そのあと少しずつ寝られるようにはなったから、もう大丈夫だと思っていた。
そんな時、ちょうど当時通っていた養成所の発表が終わって、打ち上げでお酒を飲んで、張り詰めていた気持ちが緩んでしまって、公園のど真ん中で、30人の前で号泣するという大失態をかますのだけれど、そんな私を家まで送ってくれて、そのあとにいつでも家においでと言ってくれたのが、その後10年ルームシェアをすることになる親友なのだけれど。


松村北斗さんのエッセイを読んだことで思い出したことを書いたら、ものすごく長くなってしまった。
彼の書いた元の文章が、たくさんの人に読まれるとよいなと思う。特に女性アイドル関連で事件のニュースをよく見るし、世の中の有名人は、きっとみんな、多かれ少なかれ同じような思いをしているのだろう。まだ25歳と若いジャニーズの男性アイドルがこの文章を雑誌に掲載したことは、多くの人の目に触れて、読んだ人がそれぞれ考えるきっかけになりうるし、有名な人だけでなく、SNSを使っている人は自分の守り方を知るべきだし、自分の行いを省みる材料にもなると思うし、公表していないことにはそれなりの意味があるということをわかっておくべきだ。道具は、ある程度は使い方を知ったうえで使わないと、危険だという事実を認識する必要は、絶対にある。

そんなことを思い出したり、考えたりしました。まとまらないから、おわり。

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