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#57 コーヒーの似合う女 | 古性のちの頭の中

「知ってる?ロシアにはアイスコーヒーが無いんだよ」
起き抜け、ねぼけた頭でひらいたinstagramにはそんなメッセージが入っていて、じゃあロシアの人たちはカフェに行くと何を頼むの?と聞いてから、そのメッセージが昨夜の深夜3時に入っていたことに気がついた。

ベッドからするりと体を抜き出し、キッチンへ向かう。
冷蔵庫から水を取り出そうと扉を開けると、内側に、飲みかけのカフェラテが何かのコレクションのようにずらりと並んでいる。
2/3以上中身が残っている彼らと目があい、申し訳なく思いその扉を閉めた。

カフェに行って、ココアだとか、ジュースだとかではなく真っ先にコーヒーを頼むようになったのはいつ頃からだろう。考えるよりはやく目が"COFFEE"と書かれている項目を探していて、なんの迷いもなくカフェラテをオーダーする。

そのくせいつも、私はなんとカフェインが飲めないのだ。
氷で徐々に薄まっていくそれを横目にみながら、ああ、今日もやってしまったなあと頭を抱える。

むかし取材の途中で突如手足が痺れ出し、そのまま全身に広がり、寒気と高熱と嘔吐に見舞われ、やっと辿り着いた家の布団の上で約3日間、身動きが取れなくなったことがある。しかもよりにもよって忘れもしないクリスマスに、だ。

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