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スマートフォンマンガと紙の漫画原稿の作り方の違いメモ(かなりざっくり)

作者の藍です。こんにちは。
ミリオンドールをスマートフォンアプリで連載すると決まった時に、
スマートフォン漫画の書き方や資料をネットで探したところほとんどなかったので、自分なりに現在連載しながら試行錯誤していることをまとめようと思いこのエントリーを作りました。

前提条件

スマホ独自の表現方法ではなく、スマホで読みやすくするためのメモです
作者が手探りでやっていることなのでざっくりかつ主観的です
技術的に裏付けがとれてるとかそういうことはまったくありません

連載初期の作画環境

同人誌用原稿用紙(A4)にGペンでペン入れ
仕上げはphotoshopでやってる

要はなんかあったときスマホだけでなく紙にもできるような工程でやってます。今現在はフルデジタルに移行しましたが紙にもできるようにしてるというのは同じです。

ここからはiphone5sを例にとって自分の初期の原稿と現在の原稿を比較してざっくりと解説していきます。

iPhone5sを例とした図説

↑めっちゃがんばって原寸画像作ってみました。手持ちのiPhone5を重ねて見るとだいたい原寸かなーというかんじになれば幸いです。画像表示仕様とかディスプレイによって誤差ありなのでその場合はざっくりこんな感じかな―って見てください。

拙作ながら、ミリオンドールの第1話をはめこんでみました。ほぼ原寸で見えていると思うので、読みにくいなーと思った文字はそのままの印象でGANMA!アプリでも配信されてしまいます。その読みにくい個所の改善ポイントを自分なりにまとめたものが以下になります↓

同人誌や紙の原稿を描く普通の感覚でコマを割って絵をいれたものですが、スマホ上だと、小さい人物は表情も分かりにくいし、マンガだからアンチゴチ使おうと思って打った文字もなんだか読みづらいです。

IT業界では「離脱率」という基準があります。紙の漫画と違って、WEBで公開しているページは、計測する環境さえあれば「どのページで読者が読むのをやめて離脱したか」が数値でわかるようになっています。

この説明を最初に受けた時、スマートフォンの漫画って読むのに疲れるなと感じることが私は多かったので、「スマートフォンで読みにくい」「重要な文字がイッパツで読めない」「ごちゃごちゃしていて情報が頭に入ってこない」ことは、スマホマンガにとって致命的な離脱率につながるのではと仮定して以下のような原稿の作り方をすることにしてみました。

まず、紙のように1コマ1コマを目で追いながら吹き出しをたどる読み方はスマートフォンでは疲れてしまうと思い、画面上で視線が動くことがほぼ不要なコマ割にしました。
ページあたり基本的に3,4コマにおさえるようにして、文字も判読性の高いゴシック体に変更しました。吹き出し内の文字の比率も紙に比べてかなり違っています。
また、人物の表情が必要なカットでは可能な限りアップを多くし、情報を詰めるコマと表情で見せるコマの使い分けが以前よりはっきりしたように思います。

紙の漫画では、アップの多用や単調なコマ割は技術が未熟な例として指摘されがちなので、作家としてはかなり抵抗のある判断でした。
まあでも、まずは読みやすさを優先させて、今後知識が蓄積できて来たらスマートフォンならではの表現や工夫を試してみようと前向きに考えています。

デメリットまとめ

スマホで読みやすくはなるが、コマ割や表現が単調になる
紙にした時たぶんサイズ感が変になる?
1ページで詰め込める情報が少なくなる
ストーリーを少ないコマでまわせる技術が必要

ミリオンドールは週刊連載で掲載させて頂いているため、毎週8~12P前後で何かしらのヤマとヒキがないといけない上、その枚数を1週間で仕上げなければいけないので、どちらかというと質より納期を優先させている作り方をしています。現在はアシスタントの齋藤さんのおかげで挑戦できることが増えてきましたが、まだクオリティのバランスと見やすさや表現については勉強中の段階です。ここに書いてあることはスマホ漫画の新人作家のひとつの参考事例と思ってやんわり受け止めてくださると幸いです。

ミリオンドールはGANMA!にてスマホアプリ、PCにて閲覧できます。
よかったらご覧ください↓

ミリオンドール
http://ganma.jp/mdoll

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