小名浜天狗伝説 (恋愛小説 / 1)
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小名浜には、青い鳥居がある。
青の色は、青春、青年、青二才・・・といった言葉からわかるように、ヒトが本来持つはずの純真無垢な心を意味する。
生まれてすぐのお宮参りに始まり、人生の節目ごとにこの鳥居をくぐる小名浜の人々には、自ずと美しい純な心、魂が宿る。
無垢な恋心をもつ。
馬波倫子は、そんな町小名浜で育った。
日本の高度成長がひと段落した時期に裕福な商家の一人娘として生まれた倫子は、何の不自由もなく、おしとやかに