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詩集 動詞 Ⅱ

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主に身体に関わる動詞をテーマにした散文詩集の2集目です。
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#午後

踊る

踊る、踊る、独りで 星が見ている、静かな夜に 足跡は風に消され、 月の光だけが僕のパートナー 回る、回る、影と共に 悲しみはリズムを刻む 笑顔の記憶、遠く霞んで 踊り続ける、止まらないメロディー でも、心は静かに泣いている 失ったものの重さに 踊る、踊る、独りで 星も月も、見守るだけ 終わらない夜に願いを込めて 踊り続ける、一人きりで 踊ることで、忘れようとしても 心の奥、いつも悲しい音楽が流れる 踊る、踊る、独りで 星が見ている、静かな夜に 足跡は風に消され、 月の

噛む

歯と歯の間で、 世界は小さくなる。 一つのりんご、 ひとかけらの時間。 言葉を失い、 ただ感覚だけが 口の中で踊る。 思い出は、硬いアメ玉。 噛みしめる度、甘さが溢れ、 時には、苦い核に出くわす。 噛むごとに、愛が深まる。 優しく、強く、終わりなき物語を紡ぐ。 君を思い、りんごを噛む。 静かな午後、風が吹き抜ける窓辺で、 ひとつの物語が、また始まる。 #詩的散文 #詩文 #思索 #思考 #日記 #エッセイ #詩 #創作 #ポエム #詞 #随想 #身体