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2021年秋アニメ 注目タイトル5選

秋アニメの話の前に、少しだけ夏アニメを振り返ります。

個人的に夏アニメで最も面白かったのは『かげきしょうじょ!!』です。特に第8話「薫の夏」は、歌劇というプロの世界と普通の学生が送る青春の狭間で揺れ動く、ひと夏の淡く切ない恋を描いた素晴らしいショートストーリーでした。

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そんな夏アニメ筆頭の『かげきしょうじょ!!』よりも秋アニメには面白いタイトルはあるだろうか…という心配を余所に、今年の秋アニメは毎年の例に漏れず豊作ぞろいの予感がしております。

さて、私が視聴を予定している秋アニメ作品の中から5タイトルを選出しましたので、視聴する際の参考にしていただければ幸いです。


1.月とライカと吸血姫(ノスフェラトゥ)

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まず1作品目は、ライトノベル原作『月とライカと吸血姫』でございます。

昨今のライトノベル作品は異世界バトル系やチート系ばかりで、正直うんざりしていたのですが、それらの作品は全く別物といっていいでしょう。

タイトルに「ライカ」を冠しているとおり、冷戦期におけるソビエトの宇宙開発戦争を元に、吸血種族・ノスフェラトゥが実験体として月を目指す話です。歴史的背景をモチーフにしたラノベ作品である『幼女戦記』に近いものを感じます。

制作会社はアルボアニメーションで、『ぼくたちは勉強ができない』『モンスター娘のお医者さん』を手掛けた新進気鋭の制作会社ですが、過去作と比べても本作は力が入っているなと思いました。冷戦時代のソビエトの建物や乗り物の雰囲気が実に上手く表現されており、それがアニメーションで伝わってくる程の仕上がりでした。

吸血鬼の少女であるイリナ・ルミネスクを焦点にストーリーを展開し、実験体として扱うことへの葛藤や人間からの差別的な扱いを描いたりと、決して”安くない”作品でした。

期待値 ★★★★☆ 4/5


2.サクガン

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2作品目は、オリジナルアニメ『サクガン』です。

「コロニー」という岩盤に隔てられた場所でくらす人類が、その外の世界である「ラビリンス」という危険な未開地帯を開拓するお話です。

そこを開拓する者は「マーカー」と呼ばれ、マーカーに憧れる天才少女・メメンプーとその父・ガガンバーを軸に物語が描かれます。

一見すると『メイドインアビス』や『デカダンス』を髣髴とさせる世界設定ですが、1話を視聴した段階でこの作品にはこの作品なりの持ち味があると確信しました。

ただ冒険譚を描くだけでなく、そこには親子の絆をテーマにした脚本がありました。親視点での子に対する愛情がきっちり描かれており、子がそれを理解した時に一歩成長し、さらにアニメとしての物語が始まりだすところは感情的にも矛盾のない仕上がりでした。

アニメーションもその脚本を後押しするような作り込みで、アクションは言わずもがな、アジア風の世界観を演出する装置としての背景が活きていたように思います。

期待値 ★★★★☆ 4/5


3.マブラヴ オルテネイティヴ

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3作品目はこちら、PCゲーム業界の巨匠『マブラヴ オルタネイティヴ』です。

『マブラヴ』自体は2003年発売のPCゲームであり、シリーズ累計80万本を売り上げた超大作でございます。

その続編が2006年発売の『マブラブ オルタネイティヴ』であり、物語開始時点にタイムスリップした主人公・白銀武が、地球外生命体BETAとの戦争に人類が敗北した歴史を覆すため、戦いに身を投じるという本格派SFロボットアニメです。

このBETAが巨大な防護壁を破って人々を虐殺する第1話ですが、『進撃の巨人』第1話を髣髴とさせます。それもそのはずで、『マブラヴ』は『進撃の巨人』作者の諌山創氏が影響を受けた作品であり、それを"逆オマージュ"という形で取り入れたのが、この第1話なのです。

『進撃の巨人』に劣らないグロテスクな描写に加え、BETAのクトゥルフ神話的な外見が絶望的な状況を演出しており、本作の世界情勢をたった30分で理解できるような作りとなっていました。

また、アクションシーンにおけるロボットの戦闘モーションも素晴らしく、全く抜かりのない出来栄えでした。

『マブラヴ』の続編でタイムスリップからのスタートということもあり、初見置いてけぼりの状況になることが懸念材料ではあります。

期待値 ★★★☆☆ 3/5


4.古味さんは、コミュ症です。

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4作品目は、週刊少年サンデーより『古見さんは、コミュ症です。』を挙げさせていただきます。

コミュ症の古見さんと平凡な男子高校生の只野くんがお送りする、日常コメディ作品です。

まず漫画原作の強みといえば、"そこに脚本があること"でしょう。だからこそ、アニメ化したときの安定感はラノベ原作と比べるまでもありません。特にこのような日常を描いた作品で大崩れすることはないと思います。

マドンナ的な存在が実はコミュ症というキャラクター設定に目新しいものはありますが、それ以上にオープニングを含むアニメーションの演出があまりにお洒落なのが第1話を見て抱いた感想です。

黒板に文字を書いたときに落ちるチョークの粉を一粒ずつ繊細に描き、さらには黒板に書いた文字だけで心の距離が縮まる様子を表現するアニメーションは正しく一流といって差し支えないものでした。

期待値 ★★★★★ 5/5


5.先輩がうざい後輩の話

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最後は、Twitter出身の漫画作品『先輩がうざい後輩の話』です。

Twitterで人気を博して書籍化し、シリーズ累計発行部数100万部以上となった人気作品が動画工房制作のもとアニメ化しました。面倒見の良い会社の先輩・武田とその後輩の五十嵐をラブコメチックに描いています。

第1話から「さすが動画工房」と言いたくなる程背景から作りこまれており、一瞬登場する料理まで丁寧に描くところでこの作品への本気度が伝わりました。

また、Web系の漫画にある余白の部分を説得力のあるアニメーションできっちり埋めているところに何より感激しました。電車のつり革に手が届かない場面だけで、キャラクターの魅力を引き出そうとする姿勢が非常に貪欲で好感が持てます。

原作の話をパッチワークのように繋げた構成ですが、それも非常にナチュラルで全く違和がありませんでした。

期待値 ★★★☆☆ 3/5


以上5作品のみの紹介となりましたが、他にも新感覚ホラーコメディ『見える子ちゃん』や異世界暗殺ハードボイルドの『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』、劇場級作画の『無職転生~異世界行ったら本気出す~第2クール』にも期待しています。



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