様々な認知症の対策

突発性正常圧水頭症などは治せる認知症

認知症は「治らない疾患」と思われがちですが、もとの病気を治療することによって改善したり、進行を止めたりできるものもあります。特発性正常圧水頭症や、慢性硬膜下血腫などはその代表といえます。

しかし、アルツハイマー型認知症などと混同されるケースも多いため、早い段階での正しい診断と適切な治療が求められます。

■アルツハイマー型認知症

どんな病気?

脳の神経に異常たんぱく質が蓄積し、正常な脳神経細胞を破壊する。記憶をつかさどる海馬から萎縮が始まり、記憶障害が目立つ。

認知機能障害は?

初期の段階で記憶障害が顕著。最近の記憶から失われ、物の置き場や約束を忘れる。見当識障害や実行機能障害も早い段階から表れる。

行動心理面は?

自発性の低下がみられ、いままで好きだったことへの興味がなくなる。妄想、幻覚、徘徊、不安、焦燥などの症状をともなうことも。

発症しやすいのは?

高齢になるほど発症しやすく、遺伝的な要因や、糖尿病との関連も指摘される。男性より女性のほうが発症しやすい傾向がある。

治療方法は?

抗認知症薬の服用によって、病気の進行がゆるやかになる。非薬物療法では、運動療法の効果が認められている。

■血管性認知症

どんな病気?

血管性障害に関連して発症した認知症の総称。脳梗塞などによって一部の脳細胞に酸素や栄養が届かなくなり神経細胞が減少し始める。

認知機能障害は?

ダメージを受けた血管の部位によって、表れる症状が違う。記憶障害が目立たず、言語障害や歩行障害といった形で出ることもある。

行動心理面は?

うつ症状や意識低下が、ほかの認知症より多くみられる。

発症しやすいのは?

男性に多く、65歳未満の若年層ではアルツハイマー型より発症が多い。高血圧、高脂血症、糖尿病などをもっている人がかかりやすい。

治療方法は?

抗認知症薬を検討することもあるが、効果は十分に検証されていない。脳梗塞患者と同様の薬や、脳を活性化するリハビリも有効。

■レビー小体型認知症

どんな病気?

レビー小体という異常なたんぱく質のかたまりが、大脳皮質や脳幹の神経細胞にできる。脳の萎縮はアルツハイマー型より少ない傾向が。

認知機能障害は?

視覚性障害、筋肉がこわばってからだがスムーズに動かせなくなる「パーキンソニズム」の症状、失神や便秘などの自律神経症状など。

行動心理面は?

70%以上の人に表れるのが「幻視」。うつや無気力もあり、意識の明瞭さが昼と夜とで違うことも。レム睡眠時の行動異常も見られる。

発症しやすいのは?

70代、80代など高齢になるほど発症率が高い。女性より男性のほうが多め。

治療方法は?

抗認知症薬(アリセプト)の効果が認められ、保険適用になった。

■前頭側頭型認知症

どんな病気?

前頭葉、側頭葉のいずれか、または両方に萎縮が見られる。ピック球とよばれる異常構造物が、神経細胞にたまって起きることがある。

認知機能障害は?

前頭葉の働きが低下することで、性格や人格に変化が起こり、反社会的な行動をとることも。毎日同じ行動をする「常同行動」も特徴。

行動心理面は?

落ち着きがなくなる、だらしなくなる、社交性がなくなる、怒りっぽくなる、乱暴になるなどの傾向が。

発症しやすいのは?

65歳未満の若年層に多い傾向がある。

治療方法は?

有効な薬物療法はない。非薬物療法として、介護者が前頭側頭型認知症の特性を理解して適切なケアをすることが推奨されている。

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