白い猫と、黒い猫

はじめは、白い猫が生まれた。

白い猫は、何も無い場所で
長い間、ずっと遊んでいた。
そのうちに、白い猫は、
寂しくなって、黒い猫を創った。

黒い猫は、その真っ暗な毛から、
大きくて、優しい、宇宙を創った。



白い猫が寂しがらないように、
黒い猫は、その黒い毛から創った宇宙に、星や、風も創った。



気が付くと、白猫は太陽になっていた。

黒猫は、寂しくて、月になった。



太陽と月になった、二匹の踊りや毛づくろいは、水や、炎になった。

太陽と月になった、二匹が、仲良くじゃれあうと、
それはつぎつぎと、大地になって、
宇宙の風を巻き込んだ。


青くて、やさしい星ができた。
その星には、魂や、歌が舞うようになった。

それは、緑でもあった。





二匹の踊りは、だんだん季節になった。
雪が降り、花が咲き、
たくさんの強い、緑になる。

果物ともに、色が、
つぎつぎに、笑顔と一緒に、
生まれてくる。





ついに朝ができた。
明るく眩しくて、二匹は随分、
踊ったり歌ったりして、喜んだ。

「明るいね」
「優しいね」

そんなことを話して、
二匹の猫は、歌でもないメロディを唄う。


二匹の猫は、
次に夜がくることも、
誰かがこれを歌うことも、知っている。


夕焼けがくることも、
その美しさも、知っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?