あの日ワタシはオオカミに食べられた



“三歳”

三歳って、遠い昔の今も尚わたしの記憶に残るワタシを表すにはぴったりの二文字で、それがほんとうは二歳だろうが五歳だろうがここではなんだっていい.

よく見ていた夢の話

何度も見てしまう怖い夢があって、幼いながら夢の中では死の恐怖と戦っていたんですよ.

オオカミに食べられるワタシ

厳密には、オオカミに食べられないように息を潜めて隠れたのに、結局最後には必ず見つかってしまうお話なんだけど.

見つかったら食べられたも同然.

食べられていなくても
ワタシは食べられていました.

ガブッ。

隠れても必ず食べられる
この世で一番怖いのはオオカミ
おばけよりオオカミ
トイレに行くにもオオカミが怖い
隠れても隠れても食べられる

それには理由がありました.

隠れる場所そこしかないんです。

居間の中心にあるお布団を被った暗〜〜〜〜い掘りごたつの中。オオカミこないでーーーー!!!って願うのに、いつか必ず食べられる場所に隠れる哀れな三歳のワタシ.井の中のワタシ.大中小の直立歩行オオカミが歩いてくる様子を障子越しに見ながら、そっと潜ります.

居場所を選べないのは死も同然.
食べられるとは分からずにいたワタシ.
食べられると分かっていてじっとする私.
生きてるのは、ワタシだ.

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