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【経口避妊薬】アフターピルとはどんな薬?【これで全部丸わかり】

最近、「緊急避妊薬を薬局で」という言葉がトレンドに上がり討論されています。

中には「緊急避妊薬」とはなんぞや?と疑問の方もいるのではないでしょうか。

緊急避妊薬=アフターピル、と言い換えて以後解説します。


「既に知っているけど改めて知りたいな」

そうお考えの方も役に立つ思いますので、ぜひ最後までお読みください。


1.「アフターピル」とは

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簡単にいうと、「性行為後に緊急で使用する避妊薬」のことです。

「アフターピル」4つのポイント

アフターピルを正しく理解するために、4つのポイントがあります。

1.ECは性交後に緊急避難的に使用する薬剤であること
2.ECは使用に伴い起こりうる副作用とその際に留意すべきこと
3.ECは頻用するものではないこと
4.ECはHIV/AIDSを含む性感染症を予防するものではないこと
引用:緊急避妊法の適正使用に関する指針(平成 28 年度改訂版)

 
アフターピル=EC(Emergency Contraception)

と解釈してください。

①緊急避難的に使用する薬剤

どうにもできなくなった時に飲むピルです。
「最後の避妊手段」とも呼ばれます。


②起こりうる副作用と留意すべきこと

副作用は後に記述しますが、結構な確率で起こります。

もちろん個人差はありますよ。

留意すべきことは、服用後2時間以内に激しい嘔吐や下痢をしたらもう一錠飲む、とかですかね。
あとは副作用の症状を知り、身体がだるくなったりしても怯えないことです。


③頻用するものではない

「アフターピルがあるからいいや」

といって何度も使用するのはおススメされません。

暴力や無理やりな行為によって仕方なく飲まざるを得なかった場合を除き、「自分の人生設計を見つめなおすきっかけとしてほしい」といった思いが込められています。


④性感染症を予防するものではない

アフターピルを飲んだから性感染症も予防できる!というのは間違いです。
なぜなら、性感染症は物理的な接触によって起こるからですね。

コンドームが性感染症予防に有用なのは、物理的な接触を妨害できるからです。


2.「アフターピル」仕組みと効果

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「仕組み」と「効果」はどちらか知ればどちらも理解できるので、解説していきます。

✔「アフターピル」仕組み

アフターピルには「LNG(レボノルゲストレル)単剤」というものがあります。

LNGの作用機序は十分に解明されていませんが、以下の報告があります。

・LNGを卵胞期に使用することで正常な排卵の動きを障害する
・LHサージ前に使用するとサージの消失や遅延がおこった
(約80%の女性にその効果は5日以上続いた)

LNGを排卵前に服用することでその後の5~7日間排卵が抑制され、受精能力がなくなる→避妊効果が発揮される、というわけですね。


✔余談

LNG0.75㎎を12時間間隔で2回服用するのと、1.5㎎を1回服用する方法では、1.5mgを1回服用した方が十分有効であると研究で明らかになっています。

そのため、日本ではLNG1.5㎎製剤が唯一のアフターピルとして承認されています。

こうした研究に基づいて、飲み方が決められているんですね。


✔「アフターピル」効果

上記の仕組みにより「避妊」効果をもたらします。


✔「アフターピル」副作用
副作用には以下の症状があると報告されています。(国内臨床試験)

・消退出血(46.2%)
・不正子宮出血(13.8%)
・頭痛(12.3%)
・悪心(吐き気)(9.2%)
・倦怠感(7.7%)
・傾眠(6.2%)


私の友人の体験談では、悪心と倦怠感がものすごかったそうです。

不正出血のリスク

16%の女性で、治療後7日以内に出血がみられています。(予定された月経とは別に)


月経のずれ

約半数の女性では、月経が予定より数日前後ずれたと報告されています。
また、とある研究者は服用後概ね21日以内に消退出血が起こったと報告しています。

不正出血が起こったり、月経がずれたりすることは想定内としておいた方がよさそうです。


3.「アフターピル」服用方法

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レボノルゲストレル(LNG)の服用方法を解説します。

✔性交後72時間以内の場合

LNG単剤1.5㎎錠を1錠内服します。

できるだけすぐに服用してください。

✔性交後72時間を超える場合

72時間を超えてからの使用は、用法・用量の適応外です。

ですが、WHOによる試験では72時間を超えて服用した場合でも、妊娠率を低下させることができるという研究結果があります。

72時間を超えても、効果が発揮される可能性が高いと示されているわけですね。


✔1月経周期中に2回以上使用する場合

LHサージ(排卵運動)が起こる前であれば、繰り返しアフターピルを使用することは可能です。

ただ、実際にLHサージが起こったかどうかはわかりません。

仮に妊娠していた場合にアフターピルを使用しても、流産に結びつくことはないため安心してください。


4.「アフターピル」まとめ

以上、「アフターピル」とはどんな薬?でした。

本記事のポイント↓

・「アフターピル」とは、「性交後に緊急的に使用する避妊薬」
・「アフターピル」には、LNG(レボノルゲストレル)1.5㎎錠が使用される
・基本的には72時間以内、それもできるだけ早く服用することが望ましい
・副作用には色々あって、個人差があり結構強くでることもある


本来はアフターピルを使わないで済む状況が好ましいですが、そういうことにもいかない世の中です。

特に女性は自分の身体と人生を守っていくために、正しい知識と理解を身につけておきましょう。

もし「緊急でほしいよ!」という状況になったら、迷わず近くの産婦人科にかかったり身近な人に相談するなどとにかく行動を起こしてくださいね。

妊娠・中絶などということに結びついてしまうと、なにより自分自身が一番辛い思いをしますから、、、


それでは、今回はこのへんで。

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