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【総合評価▲】競馬場探訪: 英 ドンカスター競馬場/Doncaster Racecourse

GI開催が少ない割には大規模な設備を有する競馬場。華やかさにはやや欠けるが、レース&ギャンブルとしての競馬を楽しむ方にとっては良い環境。

イギリスの競馬場を独自の視点で評価しています。総合評価は◎〇▲△の四段階。各評価ポイントは★×3が最高点。全ての競馬場の評価一覧は以下の記事をご覧ください(随時更新中)。訪問を検討されている方の参考になれば幸いです。
https://note.com/ippei_genuine/n/ne3ab24c12e85

ドンカスター競馬場 / Doncaster Racecourse 概要

所在地:イギリス South Yorkshire County
創設:1595年
開催競馬:平地競争、障害競走
馬場:芝(左回り)
開催されるGIレース:

<9月>
- St Leger Stakes セントレジャー
出走条件:3歳、距離:3mile 6furlong 115yard (2,921m)
<10月>
- Futurity Trophy フューチュリティートロフィ
出走条件:2歳、距離:1mile(1,609m)

・ 総合評価 ▲

レースの見やすさや導線の効率の高さはイギリスの競馬場の中でも上位と思われるが、全体的に機能性が重視された構造でどこか既視感があり、イギリスの競馬場ならではの来場時の驚きに欠ける印象。その分、競馬に集中できるため、馬券を楽しむのならば十分楽しめる。
GI開催日は違った華やかさがある模様だが、通常の開催の時期は、「ドンカスター、あるいは、ヨークやリーズ、シェフィールド等の周辺の都市に用事があり、ついでに競馬を楽しみたい」といった需要がなければ、他の競馬場での観戦を優先的に計画しても良いのではないか。

・ ロンドンからのアクセスの良さ  ★☆☆

- London King’s Cross駅 → Doncaster駅  (LNERの直通電車で約1時間30分)  
- Doncaster駅前のDoncaster Interchangeバスターミナル → Doncaster競馬場近くのバス停(バスで約10分、複数路線・複数のバス停あり)
- Doncaster競馬場近くのバス停→Doncaster競馬場 (徒歩で約5分)
 ※ Doncaster駅からDoncaster競馬場は徒歩のみでも約30分程度。

・ 公共交通機関のみでのアクセスの良さ ★★☆

【電車+バス+徒歩】
時間を要するが公共交通機関のみでアクセス可能。
Doncaster駅に直結するDoncaster InterchangeバスターミナルからDoncaster競馬場近くのバス停までの路線は複数ある。駅到着or競馬場出発時間に合わせ、google map等で直近のバスを検索することが望ましい。なお、GI開催日はDoncaster駅から競馬場までの臨時直通バスが運行しているため、競馬場のHPで時刻表を要確認。

・ 場内の雰囲気 ★★☆

ゴール版前のメインスタンドと第一コーナー方面のLegerスタンドは、天井が高く広々とした近代的な建物。一方、第四コーナー寄りのClock TowerスタンドとFamilyスタンドは、老朽化は否めないものの昔ながらの風情を残している。
パドックとウィナーズサークルがスタンドと芝コースの間に配置されている構造(ドバイのメイダン競馬場と類似)は、イギリスの競馬場では珍しい。レースの度に場内のあちらこちらに移動する必要がなく効率的だが、その観戦のし易さを重視してかパドック周辺はすっきりしており、だだっ広い競馬場と言うのが正直な感想。

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・ レースの臨場感 ★★☆

二本の芝コースのうち、主に内側が障害競走、外側が平地競争で使用される。スタンド前の柵とコースの埒の間に、馬が本馬場に入場する際の道があり観戦時は少し距離を感じるが、直線の攻防は十分見応えがある。また、スタンドが直線に対してやや斜めに配置されており、直線は四コーナー方向のかなり先の部分からゴールまでじっくり見渡すことができる。

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・ 競馬場周辺の観光 ★☆☆

ドンカスター中心街は、歩道がきれいに整備されていて歩いていて気持ちの良い町だが、目玉になるような観光箇所はない。競馬観戦に観光をセットするなら、電車で30分程度のYorkを拠点とすることをおすすめ。

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・ 参考情報(競馬場のHP、写真等) 

ドンカスター競馬場HP:https://www.doncaster-racecourse.co.uk/
関連写真:以下のとおり。なお、これらの写真はいずれもGIをはじめとした重賞レースが実施されていない日に撮影。大きなレースが開催される際は、観客数や競馬場の雰囲気、入場可能なエリアに違いがあると思われるため、ご留意いただきたい。

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↑ King's Cross駅からDoncaster駅へは、LNERの最新車両AZUMA(日立製作所製造)に乗車。快適な1時間半。

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↑ ドンカスター駅。右手のガラス張りの建物の一階にDoncaster Interchangeバスターミナルが入っている。

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↑ ドンカスター競馬場正門。年に二回しかGIが開催されない地方都市の競馬場の割には立派。

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↑ 全体図。パドックとウイナーズサークルがスタンド前にあり、スタンド裏手は小規模な装鞍所(プレパレードリング)のみ。

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↑ メインスタンド

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↑ Clock Tower スタンド。古いが趣あり。

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↑ メインスタンドから第四コーナー方向を望む

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↑ メインスタンドから直線を望む。

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↑ 直線出口付近は、ピクニックエリア。

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↑ Clock Tower スタンドから見たパドック越しの直線。

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↑ 残り100m付近。観戦エリアとコースの間に本馬場入場時の通路があるため、やや臨場感に欠ける。

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↑ パドックからスタンド方向。メインスタンドの隣の小さな建物がLegerスタンド。さらにその隣はホテル(Hilton Garden Inn Doncaster Racecourse)。

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↑ パドック全景

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↑ ウイナーズサークルはパドック内に配置されている。

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↑ レース勝利後、ジョッキールームへ戻る途中で取材を受けるビュイック騎手。この近さで取材の様子が見られるのは、ドンカスター競馬場の構造ならではか。

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↑ スタンド内。競馬場というよりコンベンションセンターのような雰囲気

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↑ スタンド内に飾られたセントレジャー(イギリス競馬三冠の最終関門)の歴代優勝馬のプレート。第一回は1776年。

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↑ スタンド裏手からは、1994年のセントレジャーの覇者、Double Triggerの像が見守る。Double Triggerは、セントレジャーに加え、ドンカスター競馬場で開催される長距離GIIのDoncaster Cup(3,200m)、及びグッドウッド競馬場のGI、Goodwood Cup (3,200m)の両レースを1995年から1998年にかけて三つずつ勝利。更に、1995年にはイギリス最長距離のGIであるロイヤルアスコット開催のGold Cup(4,000m)も制覇し、長距離三冠を果たしている。

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↑ ドンカスターは人口30万人程度の中規模都市。観光地としては必ずしも有名ではないが、市街地は雰囲気が良く、競馬後の一杯の場所には事欠かない。

<以上>





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